アメリカ中間選挙2018年開票状況

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若者世代が積極的にアメリカ中間選挙の投票へ!上院はトランプ大統領の共和党勝利、下院は民主党逆転勝利!




トランプ米大統領にとって就任後初めて国民的な審判を受けるアメリカ中間選挙の開票が、6日夜(日本時間7日朝)から始まりました。

中間選挙前の上院と下院では、共和党がいずれも過半数を握っていました。

国内外ともに問題山積のアメリカ政治情勢 自国優先主義(ナショナリズム)を掲げるトランプ政権のファシズム化

定数100議席(任期6年)の上院は35議席が改選され、定数435議席(任期2年)の下院は全議席が改選されます。

今回の記事では、若者の意識の変化を中心に取り上げていきます。

2018年4月時点のハーバード大学政治研究所による世論調査では、「11月の米中間選挙で必ず投票する」という若者は過去2回の中間選挙より多く、共和党よりも民主党に議会の過半数を制してほしいとの見方が広がっていました。

2018年11月に投票権を持つ若者の中で、37%が「必ず投票する」と答えましたが、2010年と2014年の同じくらいの時期に行われた世論調査では、2010年が31%、14年は23%と低調でした。

つまり、トランプ大統領が当選するまでは、若者の69%~77%が選挙への投票には関心がないか、行く気がなかったのです。その理由として、投票しても何も変わらないという諦めの気持ちが根底にあったのです。

そして、2016年11月8日に開票された大統領選挙の結果、共和党候補のトランプ氏が当選し、政権を握ることとなりました。それから2年経って、ロシアゲート疑惑、不倫騒動、脱税疑惑などが次々と発覚し、さらに人種差別的発言や対外的な保護主義の強化、不法移民の排斥などを推し進めてきました。

確かに就任直後の2年間、アメリカ経済は株価を中心に絶好調でした。しかし、TPP離脱、パリ協定からの離脱、イスラエルの米国大使館をエルサレムへ移転、貿易摩擦による中国との関税報復合戦、イラン核合意離脱など、「お一人様行動」と呼べる程、自己中心的で身勝手、強引で一方的な行動を繰り返してきました。トランプ大統領を非難する相手に対する口の悪さも目立ちました。選挙公約を実行する政権運営を行ってきましたが、彼の「人となり」についは、FOXニュース以外の主要メディアから何度も激しい非難を浴びてきました。

確かにグローバリズムには大きな欠陥があります。通貨が安い国や地域に工場や生産設備が移転され、海外から安い製品を購入することになり、アメリカ国内の製造業やそこに従事していた労働者の雇用と収入が不安定になるのは理解できます。

しかし、アメリカファースト「自国第一主義」を掲げ、「自分達さえ良ければ、他国のことは知らない」という非協調的・非連携的な姿勢が、ゆくゆくはアメリカが世界からの孤立を招き、立場的に不利になることも十分に考えられます。

何よりも、看過することが出来ないのは、トランプ大統領が就任して以来、移民に対しては、ごく一般の国民ですらも人種差別的な態度が以前に増して顕著になったことです。ネガティブな本音を発言することで相手を傷つけ、お互いの関係を悪化させます。また、中絶行為や同性愛者に対しても、宗教上の差別的な態度が強まっています。

そこには、謙虚さや誠実さ、相手を思いやる愛の温もり、心の余裕が全く感じられません。実際に、永住権の法的手続きを行ってアメリカに移り住んでいても、「白人ではない」という理由で、子供が学校でいじめに遭うことを心配している日本人の両親もいます。

たとえ物質的に豊かになったとしても、こうしたトランプ流の考え方は、アメリカに住む人々の心を貧しくし、将来の暮らしに不安を抱く要因となっているのです。

トランプ政権の横暴に危機感を抱き始めた若者達

上記におけるハーバード大学政治研究所の調査では、選挙権を持つ18歳~29歳を対象としていました。

当時は、フェイクニュースや大統領選挙への外国からの干渉疑惑が浮上したことで、アメリカ社会が大きく動揺していた時期です。それは、「嘘偽りのない、本当の情報とは一体何なのだろう?」という素朴な疑問です。

こうした事態を受けて、2018年4月、フェイスブックとツイッターよりもアマゾンとグーグルへの信頼を高いと若者は評価する」というハーバード大学政治研究所の世論調査が出ることになりました。

そして、若い世代の次なる関心は、過去の中間選挙では決して見られない投票行動への意欲でした。

この強い関心を半年に渡って保ち続けたのが民主党を支持する若者達なのです。

彼らは、2018年のアメリカ中間選挙では、51%が「必ず」投票すると回答しました。

そして、中間選挙投票日である11月6日、実際に、こうした強い意欲が形となって表れたのです。

連邦議会の上院ではトランプ政権の与党・共和党が勝利下院では若者が支持する野党・民主党が逆転勝利を収めて多数派となることが確定しています。

これにより、下院の民主党は過半数議席を奪還し、8年間続いた共和党支配を打ち破りました。

その一方で、上院は共和党がそのまま過半数を維持する結果となりました。

上院は100議席のうち、共和党が51議席で勝利。民主党(無所属を含む)は49議席。

アメリカ中間選挙2018年開票状況

(画像出典:朝日新聞)

(※ファシズムとは、第一次大戦後に現れた排外的政治理念とその政治体制を意味します。自由主義を否定する独裁的な国家主義、指導者に対する絶対の服従と反対者に対する過酷な弾圧を取ることを特徴とします。イタリアのファシスト党に始まります。)

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