コラム

パンデミック条約は日本の国民主権と基本的人権の尊重を脅かすのか?




世界の指導者たちは、新型コロナウイルスの蔓延に終止符を打ち、将来的に同じようなシナリオを繰り返さないための措置をつくるべきだと主張しています。

そのためには、世界で皆が一つとなる「連帯」が必要だと繰り返し訴えているのです。

具体的には、

安全で効果的、かつ手頃な価格のワクチン、医薬品、診断をする製品への普遍的かつ公平なアクセスを確保することに取り組む

とい内容です。

「予防接種は世界的な公共財であり、できるだけ早くワクチンを開発、製造、配備できるようにする」ということも目的としています。

目次

2020年から始まったパンデミック条約成立への議論と取り組み

この条約の成立に関して、一番最初の発端は2020年であり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中でした。

特にヨーロッパ諸国では死者・重傷者が非常に多く短期間で出ている状況でした。

この危機に対処するため、各国と国際機関、さらには民間団体や慈善活動家との様々な形での協力を含む、世界規模での重要な取り組みが行われました。

2020年4月、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、他の世界的指導者ら共に、パンデミックへの備えと対応のための国際条約に関する議論に参加しました。

この議論は、将来のパンデミックに対する能力と回復力を強化するための包括的なアプローチを促進することを目的としています。

ビル・ゲイツは、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を通じて、パンデミックへの世界的な対応にも積極的に取り組んでいました。

同財団は、命を救うワクチンと治療法への公平なアクセスの必要性を強調し、貧しい国へのワクチンの開発と配布を支援する資金を約束しました。

世界の健康安全保障を改善し、将来の健康上の緊急事態への備えを確保するという共通の目標に向かって取り組む国際指導者と慈善活動家の意見が一致したのです。

彼らは、世界保健の相互関連と、その課題に対処する際の連帯と協力の重要性を訴えています。

その時のイベント参加者は以下の通りです。

テドロスWHO事務局長・エマニュエル・マクロン(フランス大統領)・デア・ライエン(EU欧州委員会委員長)・ビル・ゲイツ(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)・グローバルファンド・CEPI(感染症対策イノベーション連合)・FIND・GAVIアライアンス(ワクチン連合)・世界銀行グループ(World Bank Group)

2021年12月の特別会合で、世界保健機関(WHO)加盟国はパンデミック条約の創設に関する議論を開始することに同意しました。

2023年の総会では、WHO加盟国は2024~2025年の予算に対する各国の拠出額を20%増額することに承認しました。

この動きは、指定された寄付への依存を減らし、予算執行の柔軟性を高めることを目的としています。

さらに、2024年中のWHO総会でのパンデミック条約の合意を目指しています。

目標は、将来のパンデミックに対して世界規模で協調して対応するための枠組みを確立することです。

2023年5月30日、WHOのテドロス事務局長は、「加盟国にとっての課題は12か月以内にしっかりとした条約を交渉することである」と強調しています。

提案されている条約には、病気の発生に対する早期警戒メカニズムと、ワクチンの開発と配布を強化する戦略に関する規定が含まれます。

パンデミック条約は、パンデミックの予防、準備、対応を強化するための世界的な取り組みだと言えます。

WHO(世界保健機関)は、パンデミック条約が世界の健康安全保障に向けた重要な一歩を表しており、その成功は国際協力と加盟国の関与にかかっていると表明しています。

パンデミック条約の目標はどんなこと?

この条約は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後の新たな病原体に対する世界の防御を強化することを目的としています。

これには、データの共有、研究開発への資金提供、感染拡大への対応に関する規定が含まれます。

監視システムと早期警報システムが強化され、医療用品の備蓄が強化されることでしょう。

パンデミック条約の成立向けたWHOの今後の予定

世界保健機関(WHO)では、2024年5月を目標に法的拘束力のある協定を結ぶ交渉が進行中です。

WHOのテドロス事務局長は、この条約が感染症へのパニックと無関心を繰り返さないための「世代を超えた約束」であると強調しました。

WHOが定めている既存の規制

WHOはすでに、公衆衛生上のイベントにおける各国の義務を定めた国際保健規則(IHR)と呼ばれる拘束力のある規則を定めています。

ただし、この規制は、地域的な流行(エボラ出血熱など)には適切であると考えられていますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような世界的なパンデミックには不十分です。

しかも、現時点において新型コロナウイルスは弱毒化しており、その意義は本当にあるのか疑問視される意見も出ています。

パンデミック条約に加盟する国々

加盟国は、新しい条約が署名者に対して法的拘束力を持つべきであることに同意しました。

これは、2003年のタバコ規制枠組条約に次いで2番目の健康協定となります。

イギリス、ドイツ、フランス、EU(欧州連合)、タイ、南アフリカなど25の国と地域がこの提案に署名しました。

影響を与えるという意味で重要だと思われる順序にその国とリーダーを並べてみたいと思います。

パンデミック条約の加盟国

ヨーロッパ諸国

ボリス・ジョンソン(イギリス元首相):アンゲラ・メルケル(ドイツ連邦元首相):エマニュエル・マクロン(フランス大統領):マリオ・ドラギ(イタリア元首相):マルク・ルッテ(オランダ元首相):ペドロ・サンチェス(スペイン首相):アントニオ・ルイス・サントス・ダ・コスタ(ポルトガル首相):エルナ・ソルベルグ(ノルウェー元首相):キリアコス・ミツォタキス(ギリシャ首相):クラウス・ヨハニス(ルーマニア大統領):アレクサンダル・ヴチッチ(セルビア大統領):エディ・ラマ(アルバニア首相)

アジア諸国

文在寅 (韓国元大統領):ジョコ・ウィドド(インドネシア大統領):プラユット・チャンオチャ(タイ首相):ヴォロディミル・ゼレンスキー(ウクライナ大統領)

オセアニア諸国

ジョサイア・ヴォレンゲ・バイニマラマ(フィジー首相)

アフリカ諸国

シリル・ラマポーザ(南アフリカの大統領):ウフル・ケニヤッタ(ケニア大統領):ポール・カガメ(ルワンダ大統領):カイス・サイード(チュニジア大統領):マッキー・サル(セネガル大統領)

中南米諸国

セバスチャン・ピニェラ(チリの前大統領):カルロス・アルバラド・ケサダ(コスタリカ大統領):キース・ローリー(トリニダード・トバゴ首相)

国連機関

テドロス・アダノム・ゲブレイエシュス博士(WHO事務局長)

パンデミック条約に加盟していない国

日本、アメリカ、中国、ロシアはまだ加盟していません。

WHOへの権限移譲に批判とその対応

SNS上の批判者はWHOへの権限委譲について大きな懸念を表明しています。

WHOはこれに反論し、各国政府が交渉を主導しており、協定を拒否する自由があることを強調しているのです。

日本政府の対応について

日本政府は他の国々に比べると、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを比較的上手に乗り越えてきました。

日本政府は、法的拘束力を持たない(罰則なしのお願いベース)ですが、緊急事態宣言やまん延防止措置によって、新型コロナウイルスの感染爆発を効果的に管理するための措置を講じてきたからです。

しかし、世論の厳しい批判もあって、パンデミック中に 2人の首相(故安倍晋三氏・菅義偉氏)が辞任しました。

パンデミック条約とIHR改正がもたらす重大な影響力

パンデミック条約とIHR改正について、世界的な議論が続いています。この問題は複雑であり、多くの人々がその重大性に気付き始めています。

その背景として、WHO(世界保健機関)や国連の背後にいる世界の権力者たちが、パンデミックを利用して世界中を独裁支配統治することを目的としていると「考えている人々が多数いる」からです。

この計画は非常に長い時間をかけて進められており、世界統一政府を樹立し、一般市民を奴隷支配することを目指していると警戒されています。

それは被害妄想であり、見当違いの見解だと思っている人々もいます。

実際には、パンデミック条約が発効(法的な効力を持つ)されてみないと何とも言えません。

現在、WHOが進めているのは「次の世界的な疫病の流行、パンデミックに備えて、世界各国が連携して対策を行う」ための国際的なルールを形作ることです。

2020年頃から世界中を大きく変えた新型コロナウイルスのようなパンデミックが今後再びどこかで起こる危機的状況を想定しているのです。

しかし、そうなると仮定した場合、新型コロナウイルスの免疫機能獲得研究を止めさせることを条件に加える絶対的な義務が必要です。

何故ならこうしたウイルスの機能獲得研究は世界各地で行われており、新型コロナウイルスの変異は人為的だという研究者の報告が査読済みの論文で発表されているからです。

2020年に世界中に広がった新型コロナウイルスは、アメリカの大統領医療顧問アンソニー・ファウチ氏が所長を務める国立衛生研究所(National Institutes of Health; NIH)が、エコヘルスアライアンスという民間企業に委託し、間接的に資金援助することで中国の武漢生物化学研究所が開発したウイルスだったという事実が発覚しています。

それが故意にばら撒かれたのか、それとも管理不足で漏れてしまったのかの真相は全く分かりません。

どちらにしても、あれだけ感染力が強ければ、細心の注意を払ったとしても、周囲に漏れてしまう確率は非常に高いのです。

こうした経緯がTV(BS-TBS報道1930)を含めた大手メディアで報道されたことがきっかけとなって、2020年のパンデミックは人為的に計画されて引き起こされたと考える人々が世界中で一気に増えました。

その一方で、WHOはパンデミックが人為的に引き起こされたものではないと否定しています。

このように世界中の一般市民とWHOという国連機関の間には大きな意見の溝が生まれています。

もちろん見解の相違はあって然るべきだと思います。

しかし、WHOは一歩踏み込んで「次のパンデミックが起こった際には、世界各国がWHOの言う通りにする体制を今のうちに整えましょう」と主張しているのです。

それを主張するならば、まずは各国のウイルス機能獲得研究を止めさせるべきです。

さもないと、多くの一般市民は納得できないでしょう。

こうした中で、アメリカの共和党支持者やヨーロッパ諸国の政治活動に熱心な人々を中心に、WHOとダボス会議に対して抗議の声をあげています。

日本でも多くの人がWHOの対策には重大な欠陥があることに気付き、反対の声を上げ始めています。

ところが現在、WHOは日本でパンデミック条約の新たなルールを制度化しようとしているのです。

パンデミック条約は、正確には「WHO CA+」「WHO convention agreement」と名付けられています。

岸田文雄首相と原口一博議員のパンデミック条約に関する答弁内容

2023年11月26日に岸田文雄首相に対し、立憲民主党の原口一博衆議院議員が国会で「国際保健規則改正とパンデミック条約に関する質質」を提出したのですが、岸田首相の回答は非常にあやふやであり、「何をどうするのか」を明確に答えませんでした。

詳しくは、リンク先の答弁本文情報・令和五年十一月二十八日受領・答弁第五〇号をご覧ください。

「お尋ねに予断をもってお答えすることは差し控えたい」と3回も述べているのです!

一国の重責を預かる立場として何かおかしいと思いませんか?

本当に仕事やる気ありますか?

国民がどうなっても良いと投げやりになっていませんか?

と問い質したくなる対応でガッカリしました。

さらに衝撃的な発言が外務大臣から飛び出しました。

上川陽子外務大臣の民主主義を軽視した衝撃的な発言

2024年2月27日に行われたWCH議連勉強会で、日本の上川陽子外務大臣は「パンデミック条約」について衝撃的な発言をしました。

具体的には、勉強会での質疑応答は次のような内容です。

林千勝氏の質疑:厚生労働省と外務省は、法的拘束力を持つ国際的約束を、国会の審議もなしに締結しようとしています。国民の声や国会議員の意見を無視し、憲法に逸脱する事項を強引に決定しようとしています。

戦後の日本には「大平三原則」(1974年2月20日の第72 回国会衆議院外務委員会における大平正芳外務大臣の答弁内容)が慣行として存在しています。

「大平三原則」に従えば、「法律事項、財政事項、政治的に重要な国際約束は、国会で審議承認されるべきであり、現在の手続きは憲法違反です。

こうした林千勝氏の質疑に対する上川大臣の態度には驚きました。

上川陽子外務大臣の回答:国会の承認を求めない立場を取り、「締結行為を取らずに、その拘束力を受け入れる」

と述べたのです。

この発言は非常に問題があります。

国会の承認を経ずに国際的な拘束力を受け入れる方針だからです。

完全に民主主義のプロセスを軽視した強権的な態度を取っています。

これは今後の日本が繁栄していくか、衰退していくかの試金石となると言っても過言ではありません。

この問題について、さらなる議論と検討が必要ととなるはずです。

上川陽子外務大臣は、東京大学教養学部を卒業し、アメリカのハーバード大学ケネディ・スクールで政治行政学修士号を取得した聡明な女性政治家です。

そのため、将来の首相候補と目されている一人です。

彼女は安倍政権で法務大臣を務め、オウム真理教事件の死刑囚の死刑執行を行ったことで、「胆力がある政治家」として評価されました。

しかし、最近のパンデミック条約に対する強硬な発言は、彼女の経歴に影響を及ぼす可能性があります。

国会や国民の声を無視し、憲法に逸脱する事柄を強引に決めようとしているとの指摘もあります。

彼女の今後の政治活動に注目が集まっていることは間違いありません。

実際にパンデミック条約が発効されると日本はどうなるのか?

パンデミック条約は、感染症対策の強化を目指す取り組みです。

複雑な問題を簡素化して理解しやすくする一方で、実際には慎重なバランスが求められます。

パンデミック条約が発効した際、日本には以下のような影響が予想されます。

まず、メリットとして考えられる点を挙げていきます。

1.早期対策の実施

これにより、感染が拡大する前に対策を講じることができます。

条約は感染に関連する情報を迅速に共有することを強調しています。

新たな感染症の情報が速やかに共有されることで、日本もすぐに対策を立てることができます。

これにより、感染拡大の抑制や医療体制の逼迫を防ぐことが期待されます。

2.医療資源の確保

条約により、医薬品やワクチンなどの医療資源が公平に分配されることが保証されます。

日本でも必要な医療資源を確保しやすくなります。

3.医療体制の強化

日本の医療体制が強化されることで、重篤化した場合の対応力が向上します。

他国からの支援を受け入れることで、より強固な対策体制を構築することが可能となります。

危機管理能力の向上は市民にとっても良い医療サービスを提供することにつながります。

とは言え、パンデミック条約は細かい内容が非常に複雑であり、国民がすぐに理解するのは難しいです。

基本的には世界中が協力して感染症に立ち向かうための決まりです。

条約の加盟国は、この条約により、新たなパンデミックによる社会的混乱を防ぎ、国民の生命と健康を守るための体制を強化することができると考えています。

でも、ウイルスの機能獲得研究が中止されていない状況で、本当に機能する条約となるのでしょうか?

大きな疑問を感じざるを得ません。

では、デメリットとして考えられる点を挙げていきます。

1.法的拘束力

条約が発効すると、加盟国はWHOの指示に従わなければなりません。

これは、国内の法的手続きや個人の権利を制限する可能性があります。

2.予防的な宣言

パンデミック宣言は、問題が発生する前でも行われる可能性があります。

このため、個人の自由や権利が二の次となり、損なわれる懸念があります。

3.強制的な治療とワクチン使用

条約により、WHOが推奨する治療やワクチンを使用することが必須となります。

これは、個人の自由な選択を制限する危険性があります。

交渉期限が迫るパンデミック条約に反対する国と人権の規定を求める市民

2024年3月時点において、パンデミック条約に関する交渉は最終局面に入っていますが、「病原体情報へのアクセスと利益配分」「医薬品への公正なアクセスを担保するための様々な制度提案」に関して先進国(消極的)とグローバルサウス(積極的)の意見の溝が埋まっていません。

そのため、2024年5月のWHO総会での提出と採択を目指しているものの、パンデミック条約の採択にはWHO加盟国の3分の2以上の賛同が必要であり、現時点では正式決定には至る可能性は低いと言えます。

ハンガリーやアルゼンチンなどの国々は、政府レベルでWHOの横暴に反対の意向を示しています。

また、交渉が進む中で、パンデミック対策に必要な様々な要素が薄められ、内容が空洞化しつつあるとの指摘もあります。

主権国家の政府を主役とする交渉で問題視されているのが人権に関する規定です。

パンデミック条約における人権に関する市民社会連合(CSA)は、「パンデミック条約において人権を置き去りにするな」(Do not leave human rights behind in WHO Pandemic Agreement)を発表しました。

今になって、「人権を最優先にすることが重要だ」という意見が強調されてきたのです。

CSAが提起する要点は以下の通りです。

1.保健への権利

保健への権利が条約において明確に定義づけられていない。国家レベルで脆弱な状況に置かれた人々の保健への権利の確立を目指すことを明記すべき。

2.人権の完全な実現

最新の交渉では「人権の尊重」を一般的な原則として掲げている。各種の国際人権条約等と調和化した形で、人権の「完全な実現」「非差別と平等」「参画」「透明性」「アカウンタビリティ」を入れるべき。

3.人権の制限に関する規定

パンデミック時における人権の制限に関する規定が最新の交渉で削除されたが、国際人権法との調和の観点から復活させるべき。

4.国際援助と連帯

パンデミック対策における人権を、国境を越えて完全に実現する必要性がある。そのための国際的な協力について明記すべき。

また、2024年2月28日、イタリアを議長国とするG7(カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本・イギリス・アメリカの7か国)保健大臣声明を発表しました。

この声明は、2024年5月のパンデミック条約策定、国際保健規則改定について強く意識し、交渉の最終段階においてG7の姿勢を明確化したものとなっています。

2024年5月までに新しい世界保健機関(WHO)の条約、合意、またはその他の国際的な手段(WHO CA+)と国際保健規則(IHR)の改正を採択することが重要

ということを第一義に掲げています。

つまり、5月には必ず条約を成立させるぞ!と意気込んでいるのです。

その上で、次のような内容を盛り込みました。

1.各国が平等に共有できる取り組みだと信じている

2.公的と民間の利害関係者の参加と関与による技術的専門知識が必要

3.健康安全保障を達成するためにWHOからの支援を期待

4.効果的なプロジェクトでグローバル・コミュニティを形成

ここまでは表層的ですが、次第に深掘りしています。

5.実施可能な規定を整備し、お互いの信頼を再構築する

6.パンデミックと緊急事態の対応には持続可能な資金調達が不可欠

7.寄付者からの説明責任を含めた資金調達の枠組みが必要

G7の声明によりますと、製造能力強化や技術移転について「国家と製薬企業など」の「双方の合意に基づく自発的な技術移転」によるものとすべきとし、立場に上下関係ができないよう警戒しています。

つまり、民間企業や慈善団体の方が、国家よりも上に立つ可能性を懸念しているのです。

それだけ、今の時代は国家に比べて収益力が高く資金を出せる民間組織に権力が集中しやすい傾向があるのかもしれません。

パンデミック条約が成立すれば、WHOに服従して国家主権が奪われる?

SNSではかなり過激なパンデミック条約反対の声が上がっています。

その背景には、パンデミック条約が成立すれば、WHOの命令(こ服従する義務が生じ、国家主権が奪われてしまうという危惧があるようです。

また、ワクチン接種が強制的となり、長距離移動にワクチンパスポートが強制されることも心配しているようです。

さらに、民主主義の国家であっても、基本的人権が尊重されなくなり、人権が制限されることを不安に思っているようです。

果たして本当にそうなのでしょうか?

確かにパンデミック条約が発効されると、加盟国への拘束力は強化されます。

しかし、罰則や制裁などの強制的な規定は存在していません。

各国の主権を尊重する条文も盛り込まれています。

仮にWHOの勧告があるとしても「お願いベース」に留まります。

しかし、パンデミックの状態では人々の行動に制限がかけられやすいのも事実です。

問題はそれがパンデミック条約に起因しているかどうかです。

条約が全くなかった2020年~2021年の時期でも、ロックダウンや外出自粛はありました。

ですので、緊急事態下では同調圧力(集団内で起こる心理的圧力)がかかるのはある程度仕方がないと言えます。

WHOに対する資金拠出をめぐる大きな問題点:利権構造が成立しつつある

WHOへの資金拠出の割合は、過去の傾向としては、アメリカが最大の拠出国であることが知られていました。

ところが、アメリカはトランプ政権の2020年にWHOの対応に不満を持ち、脱退を表明したことがあります。

バイデン大統領に代わってからWHOに復帰はしましたが、世界保健機関)WHO)に対するアメリカの資金拠出は約25%減少したことが暫定データで明らかになっています。

アメリカの拠出額:2018年~2019年年の8億9300万ドル → 2020年~2021年は6億7200万ドル

2023年時点ではビル&メリンダ財団が83億ドルを支出という報道も出ています。これにより世界第2位の資金拠出を行う組織となりました。

このように、企業や個人からの寄付もWHOの重要な資金源となっており、WHOの活動を支えている状況があります。

その背景には、国家レベルでWHOのテドロス事務長に対する不信感や新型コロナウイルスのパンデミックに対するWHOの過去の対応への批判があります。

2024年時点において、ビル&メリンダ・ゲイツ財団 は、世界保健機関 (WHO) に対してマラリアや熱帯病 (NTDs) の終息を目指す研究のためだけに4年間で1億4000万ドルを拠出しています。

特にこの資金援助はアフリカの研究機関による研究の発展を大きな目的としています。

ゲイツ財団は、世界的な公衆衛生問題に対して積極的に資金を提供しており、WHOの活動にも重要な役割を果たしています。

ところが、公衆衛生の研究には「するべき研究」と「やってはいけない研究」があります。

特にウイルスの機能獲得研究については公表を義務化するべきです。

次々と明らかになるビル・ゲイツ財団とワクチン製薬会社の密接なつながり

ビル・ゲイツ氏は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じて製薬会社と多くの形で関わっています。

この財団は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンや治療薬の開発に巨額の資金を提供し、世界の保健医療水準を高めるための活動にも積極的に参加しています。

また、財団は製薬業界における人脈や資金を活用して、感染症の脅威から人々を守ることを目的としたプロジェクトにも関与しており、特に途上国向けの医薬品開発で日本の製薬大手とも連携しています。

ビル・ゲイツ氏と製薬会社の関係は、公衆衛生の改善という共通の目的に基づいており、その活動は世界中の人々の健康を支えるためのものです。

ただし、これらの活動には様々な意見があり、一部の科学者や一般市民からの反対意見も多数存在しているので、情報が正しいかどうか慎重に確認することが重要です。

特に「免疫学の父」と呼ばれるイスラエルの免疫学者、イェフダ・シェーンフェルト (1948年2月14日生まれ)が、「自己免疫疾患の壊滅的な大流行」について警告しています。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団が関与している日米の企業や組織

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、以下のような日本の企業や組織と協力関係にあります。

1.塩野義製薬株式会社

感染症治療薬の研究開発に長年取り組み、COVID-19のワクチンや治療薬開発にも関与。

2.サラヤ株式会社

医療現場改善や感染予防文化の推進、顧みられない熱帯病(NTDs)対策に取り組む。

3.エーザイ株式会社

熱帯病への医療薬品の提供を行っており、途上国の現場へ無料で届けている。

4.公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 (GHIT Fund)

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の代表が評議委員の一人。日本の製薬企業との協力を通じて、グローバルヘルスの技術振興に貢献。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、以下のようなアメリカの企業や組織と協力関係にあります。

1.メルク(Merck)

新型コロナ経口薬「モルヌピラビル」の低所得国での普及促進に最大1億2000万ドルを投資。

2.富士フイルム(本社は日本)

新型コロナ治療薬の開発を後押しするプロジェクトから薬の製造を受託。

ビル・ゲイツ氏とmRNAワクチンに関連する企業との関係

ビル・ゲイツ氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応するため、mRNAワクチンの開発と普及に資金を提供しています。

具体的には、

1.ビオンテック(BioNTech・ドイツ)が開発したmRNAワクチンの研究と配布を支援

2.モデルナ(Moderna・アメリカ)が開発したmRNAワクチンの研究と配布を支援

3.アフリカでのmRNAワクチン製造に約60億円を投資

4.無針mRNAワクチン技術に資金を提供

という形で、様々なプロジェクトを支援しています。

ビオンテックはドイツのベンチャー企業ですが、アメリカ製薬会社大手ファイザーを含め、数多くのグローバルな製薬企業と幅広い協力関係を築いています。

また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は新型コロナウイルスのワクチンが開発された場合の生産量の増加を確保する契約を製薬会社16社と締結したこともあります。

ビル氏の元妻であるメリンダ・ゲイツ氏は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューで、

ワクチンメーカーが利益を上げることは許されるべきであり、その理由は「彼らがビジネスを継続することを望むからだ」

と話しています。

さらに、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のマーク・スズマンCEOは、

1.財団が世界のこの分野の支配的ポジションに就こうとしているのではなく適切な対処を行っている。

2.「選挙で選ばれたわけでもない億万長者が世界のアジェンダを決めている」という批判に対し、国連の「持続可能な開発目標」を指針としている、

と持論を述べています。

こうした意見が次々と出てくるのを踏まえると、ビルゲイツ氏を嫌う陰謀論者が増えるのも当然のように感じられます。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団には、誠実で丁寧な対応と透明性の高い情報公開を行って欲しいと考えています。

パンデミック条約と日本国内の法律との関係性について

パンデミック条約と国内法(特に日本国憲法)の関係性については、以下のポイントを考慮する必要があります。

1.憲法の最高法規性

日本国憲法は、国の最高法規であり、憲法98条1項の条文に反する法律、命令は効力を持ちません。

そのため、憲法に反する内容の条約は、日本国内で適用されない可能性があります。

したがって、憲法が最終的な基準となります。

2.条約の効力

一般的に、条約は国と国との間で合意された国際法の一部であり、国内法として効力を持つこともあります。パンデミック条約が国内法として効力を持つかどうかは、各国の国内法によって異なります。

3.解釈と判断

日本国憲法と条約の優劣関係は、法的な解釈によって判断されます。

通常は「憲法 > 条約 > 法律」と考えられますが、具体的な事件においては裁判所が解釈を行います。

3.違憲無効の可能性

パンデミック条約が憲法に反する場合、その条約は違憲無効とされるはずです

日本学術会議に任命されなかった大学教授が国に文書の開示を求めて訴えたように、法学者や有志の弁護士が、国を相手に裁判を起こす可能性もあります。

最終的には違憲かどうかの判断は裁判所が行い、憲法と条約の優劣を考慮しつつ解釈を定めることが予想されます。

また、有害事象などを考慮すると、民事事件による損害賠償をめぐる裁判が大幅に増加する可能性が考えられます。

なぜ参政党がパンデミック条約に反対しているのか?

参政党がパンデミック条約にに反対しているのはどうしてでしょうか?

参政党は、パンデミック条約に反対している理由を以下のように述べています。

1.国家主権と民主主義の否定

パンデミック条約は、ウイルス感染症対策としてWHOに対し、法的強制力のある各国への指示権限を与えようとするものです。

参政党は、これが各国の国家主権と民主主義を根底から否定して人間から自由を奪うものであると考えています。

2.緊急事態条項に反対

参政党は、感染症の流行に際して政府による非科学的な国民の行動制限やワクチンの接種強制などにつながりかねないような緊急事態条項を憲法に盛り込むことに反対しています。

この条項が民主主義への重大な影響を及ぼす可能性を指摘しています。

3.ワクチン政策の是正と救済策

参政党は、ワクチン接種に伴うリスクとベネフィットについて自ら判断できない子ども世代への接種に反対しています。

ワクチン副反応被害者に対する救済策を検討し、具体的な仕組みを整備することを提唱しています。

このように参政党は、国民の健康や自由、権利を守る観点から、パンデミック条約に対して慎重な立場を取っています。

参政党以外でパンデミック条約に反対意見を持っている人々はいるのか?

パンデミック条約に反対する立場を取る人々は、世界中でさまざまな背景や理由で存在しています。

そして、以下のように行動し、問題点を掲げています。

1.市民の署名運動

日本国内でも市民が署名を行い、パンデミック条約に反対する意見を示しています。

例えば、1万2千285名の市民が署名し、政府に対して反対の立場を表明しています。

2.知的財産権の課題

日本政府は、知的財産権に関連する問題について強硬な立場を主張しています。しかし、一部の政治家や市民は、知的財産権の柔軟性を重視し、医薬品の製造や技術移転について議論しています。

3.国内法との整合性

反対意見は、パンデミック条約が国内法とどのように整合するかに焦点を当てています。

一部の人々は、憲法や国内法を尊重しつつ、国際的な協力を進めるべきだと主張しています。

これらの意見はパンデミック条約に対する人権上の懸念や異議を示すものであり、議論が続いています。

個人的にはパンデミック条約は必要ないと考えていますが、参政党を応援する立場ではありません。

パンデミック条約に反対する参政党はどういう政治思想なのか?

参政党は日本を大切にする理想的な政治思想を持っているという認識が広まり、Youtubeの公式動画サイトは大きな人気があります。

参政党は芸能人を含め、オーガニック志向やスピリチュアル好きの人々からの支持を受けている傾向があります。

参政党は、さまざまな政策で自民党に対して反対の立場を取っています。

以下にいくつかの例を挙げてみましょう。

1.TPP(環太平洋パートナーシップ協定)とグローバリズムへの反対

参政党は、ナショナリズム、反グローバリズム、移民政策反対などの立場を取っています。

そのため、農林水産業と地域を破壊し、国民の食の安全を脅かすTPP参加に反対しています。

具体的には、米・麦・大豆などの基幹食料の増産、野菜、畜産飼料、種子を含めた食料、水産物、木材の自給率の100%を達成することを目指しています。

産業政策が外資の思惑に左右されたり、有事の際に飢えたりしように国内で完結する自給体制の確立を掲げています。

地元農産物の消費意欲を刺激し、国内の農家を支援するために、食材を伝統的な方法によって栽培することに資源を集中する政策を重視しています。(培養肉や昆虫食の開発、普及の中止)

アメリカのトランプ元大統領とよく似た経済ナショナリズムの思想を持っているようです。

2.積極的な財政出動による経済成長を目指す

積極的な財政出動によって名目成長率4%の経済を実現することを目指しています。

その内訳は、①インフレ目標2% + ②実質成長率2%であり、インフレ目標達成までは財政拡大によるマネー増大と日銀による国債購入を継続することを掲げています。

いわゆる現代貨幣理論(MMT)の立場を取っています。

政府発行デジタル円という新しい通貨基盤(いわゆる政府紙幣:日銀が発行する紙幣とは異なる)の構築によって、国債をお金に換えることで、子孫に負担を残さない経済政策を目標としています。

3.憲法改正についての立場

参政党は、自民党の改憲案に反対しており、自主憲法を時間をかけて作る「創憲」の立場を取っています。

今後、「創憲」を提起していくに当たって、その基本原則は、以下の3点です:

国の守りの強化・国民の自由と権利の尊重・日本の国柄を反映した憲法

現行憲法も自民党の改憲案と言われているものも、これらの点で十分な内容とはなっていないと考えています。

特に自民党案には、緊急事態条項が含まれており、次なる感染症パンデミックなどに際して、国民の自由や人権が不当に抑圧される事態への懸念があります。

国会による改憲発議の前に、できるだけ多くの国民の参加によって、憲法をめぐる議論を進めることが不可欠だと考えています。

国際法上、警察と大差がないとされる自衛隊のままで日本の国家防衛が十分といえるのかについても、広く国民と共有する必要があると解釈しているようです。

そして、「国民の決意を尊重して実現する憲法」に創り変えることを目指しています。

参政党が掲げる独自政策と支持層の特徴

参政党が掲げている独自路線の政策としては「子供の教育」「食と健康・環境保全」「国のまもり」が挙げられます。

1.子供の教育

子供の教育については、学力(テストの点数)よりも学習力の高い日本人の育成を目指しています。

また、「国や地域、伝統を大切に思える自尊史観の教育」を掲げており、日本国家を卑下し、他国に媚びるような自尊史観をなくそうと努めています。

2.食と健康・環境保全

自然食品や有機野菜などを好んで摂取する消費者意識の高い人々が参政党を支持しているようです。

彼らは平均所得と同じかそれ以上のお金を稼いでおり、比較的富裕な暮らしをしています。

そのため、日常生活にある程度の余裕があり、自分の子供には食の安全を提供しよう真剣に考えている子育て世代の女性から圧倒的な人気を集めています。

化学農薬等を使用しない有機栽培の農産物を普及させ、化学肥料や化学農薬の使用、遺伝子組換えを認めない方針が支持されています。

参政党の支持者は、ヨガ教室のレッスンに通うことが好きだったり、パワースポットと呼ばれる場所に旅行に行くのが趣味だったり、都会から地方に移住して大自然に囲まれた優雅な生活に憧れたり、実践している場合も多いです。

3.国防の意識が非常に高い

安全な国家を守るという視点から、日本の政治や経済の舵取りに外国勢力が関与できない体制作りを掲げています。

「外国資本による企業買収や土地買収が困難になる法律の制定」

「外国人労働者の増加を抑制し、外国人参政権を認めない」

という形で保護主義的な特徴が表れています。

中国など海外の民間企業や富裕層に日本の広大な土地や水源を買収されている現状を危惧しています。

国土を守り、安心と安全を提供できる社会作りを提唱しています。

急速に大きくなった参政党が抱えている問題点

1.急速な成長による党内の課題

参政党はわずか2年で10万人の党員を集め、国会議員を送り出しました。

ところが、急速な成長に伴う課題が多くなっています。

現に参政党はとても不安定な立場にあり、党運営が上手くいっていない様子がうかがえます。

党内の意見対立があり、方針の統一が難しい状況に直面しています。

参政党は以前は無党派だった国民からの大きな支持を集めている一方で、こうした課題を一つずつ解決しながら党を発展させていく必要があります。

率直な感想として、政策そのものよりも党を代表する人物の振る舞いに関する事柄が目立っているように感じられます。

2.党首の性格上の問題

参政党の党首である神谷宗幣氏は、一部の人々から性格上の問題を指摘されています。

2023年8月、参政党代表を務めていた松田学氏が辞任し、後任の新しい代表に参議院議員の神谷宗幣氏が就任しました。

参政党の事務局長を務める神谷宗弊氏は党運営をめぐる見解の違いが表面化し、松田学氏から代表を辞任する申し出があったと発表しています。

神谷氏は参政党の創設者であり、唯一の国会議員でもあります。

参政党の指導者として党員の支持を得ながら、党員を引っ張っていく立場が求められています。

ところが、2023年12月27日、参政党は党外部アドバイザーだった武田邦彦氏を11月30日付で除籍処分にしたと発表しました。

その他、赤尾由美氏や吉野敏明氏などが離党しています。

2024年2月には、神谷宗幣氏の元公設秘書の急死について、暴言などパワハラが関係していたという話も浮上しています。

こうした一連のの問題が党内で不信感や分裂を引き起こしている可能性があります。

3.不透明な政治資金の流れ

参政党は、独自の政治資金パーティを開催していますが、その運用や透明性に疑問が投げかけられています。

資金面での問題が党内の不和を引き起こしている可能性があります。

ただし、多くの政党にとって党の運営や優秀な人材の確保、健全な資金作りには課題があります。

そのため、安直に「参政党はこういう党だ」とは決め付けず、長い時間の中でどういう変化を遂げていくのか客観的に見ていく姿勢が求められていると思います。



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