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接種開始から7か月で日本人のワクチン2回接種が全人口の50%を超えた!




2020年12月上旬、イギリスで新型コロナウィルスのワクチン接種がようやく始まりました。

それまで三密を避ける、社会的距離(ソーシャルディスタンスを取る)、手洗い、うがい、マスクをするといった方法でしかこのウイルスに対抗する手段がなく、EUの多くの地域ではロックダウン(都市封鎖)が行われ、1929年~1930年代に起こった世界大恐慌クラスの経済的ダメージが各国を襲いました。

2020年においては、多くの国々が大規模な金融緩和と財政出動をパッケージで行い、企業への無利子無担保融資・休業補償や個人への給付金、家賃補助、税金の減免措置などを行ったため、何とか大倒産・大恐慌を逃れていますが、それでも飲食業・宿泊業・旅行業界・百貨店・鉄道・航空業界へのダメージは大きく、これまで安定していた業績が急激に悪化している企業も少なくありません。

2020年は「人の活動を止める」「飛沫感染を防ぐ」という風にウイルス対策を優先すると、社会経済活動をどれだけ停滞させてしまうのかが、非常によく分かる時期となりました。

今後、ワクチン接種によって、世界は元に戻っていく可能性はあるのでしょうか?

また、ワクチン以外の方法で、ウイルスに打ち勝つ方策は出てくるのでしょうか?

新型コロナのワクチン接種が普及した国では、感染者・死亡者が減少した!

(左:国別の接種を完了した人数 右:国別の100人あたり接種完了人数)

この図を見ると、2021年3月17日時点においてアメリカやイスラエルなどでワクチン接種が進んでいることが分かります。

つまり、この3国の新型コロナウィルスの感染状況(鈍化ペース)を見ていけば、ワクチンの効果や持続性が分かるということになります。

まず、「平均で1日55,321人」の新規感染者が報告されているアメリカでの感染者数は減少傾向にあります。

この感染者数は感染ピークだった2021年1月8日の22%(約8割減)に該当します。

 

(1月9日のアメリカ感染者ピーク時と3月17日のワクチン普及後の人数の違い)

このように1月から3月にかけて大きく感染者が異なっていることがグラフから見て取れます。

※1月9日と3月17日の無作為抽出で25%減少となっています。

(250927人÷62716人=4.001004、つまり4分の1まで少なくなっている)

同様に、「平均で1日1,920人」の新規感染者が報告されているイスラエルでは、1月16日の感染ピーク時から21%減少しています。

 

(1月16日のイスラエル感染者ピーク時と3月16日のワクチン普及後の人数の違い)

この2国のデータを見ると明らかにワクチン接種と感染者減少の間に相関関係があると言えます。

さらに、ベルギーのプールスドイツのマールブルグにファイザー・ワクチンの製造工場があり、EU全体で18億3500万回分を契約していることから、ヨーロッパ各国でもワクチン供給が進んでいます。

ワクチン普及で感染者が減少するEUだが変異株が猛威を振るうフランス

フランスでは、3月15日の時点で75歳以上の40%余りが少なくとも1回の接種を受けました。

その結果、3月以降、感染者は3分の1、死者も3分の1に減少しています。

しかし、高齢者以外は深刻な状況が続いています。特にイギリス由来の感染力の強い変異ウイルスの影響で流行の第3波が懸念され、3月20日午前0時からパリなど首都圏を中心に1か月間のロックダウンが再開されます。

現時点でイギリスの変異株がフランスの感染例全体の75%を占めると指摘されています。

ドイツでは2020年12月から新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まりました。

80歳以上の人や高齢者施設の入所者などが最優先とされ、このうち、1回目の接種を受けたのは80歳以上の人で52%、高齢者施設の入所者で91%となっています。

3月16日までに人口の8%にあたるおよそ680万人が少なくとも1回接種を受け、このうち、およそ300万人が2回目の接種を終えています。

ドイツにおける現在の感染拡大は子供や若者が中心で85歳以上の人たちの感染は減少傾向にあります。

イギリスでは、2020年12月から高齢者を優先にワクチンの接種が始まり、人口のおよそ38%にあたる2520万人余りが1回目の接種を受けました。

地域ごとに普及率は異なり、ロンドンのあるイングランドでは、65歳以上の約90%が1回目の摂取を終えています。

保健当局の分析によると、ワクチン接種によって80歳以上の高齢者の死亡が83%減少したと見られています。

スペインでも、2021年1月からワクチン接種が行われ、高齢者の感染者、死者が減少するなど、確かな効果を示しています。

3月には高齢者施設の入所者は、97%が1回目の接種を、87%が2回目の接種を受けています。

ボルソナロ大統領は新型コロナ対策に消極的 ブラジルでは変異株拡大の悲劇

その一方で、ブラジルでは、インドを抜いて新型コロナウィルスの感染者数・死者数が世界ワースト2位となっています。

その背景には、

1.ブラジルのボルソナロ大統領が新型コロナの深刻さを軽視している

2.ブラジルでは変異株が猛威をふるっており、連日7~8万人ペースで感染が拡大している

という要因があります。

しかも、ブラジルの変異株はワクチンの効果が低いという指摘もされています。

直近のイギリス・オックスフォード大学の研究では、ワクチンの効果は3倍程度弱まるものの、なおブラジル株に効果がある可能性が指摘され、現在承認されている新型コロナ用のワクチンがブラジル変異株の予防にも有効である可能性が示されました。

一方、南アフリカの変異株に対するワクチンの効果は、アストラゼネカ製で9倍、ファイザー製で7.6倍低下することが判明しました。研究者は南アフリカ変異株に対するワクチンの開発が「世界的に急務」との認識を示しています。

世界最速でワクチン接種を進めたイスラエルはファイザー社に大規模なデータを提供

2021年3月11日、アメリカの製薬大手ファイザーは、開発した新型コロナウイルスワクチンについて、イスラエルでの大規模な接種のデータから、

ワクチンの2回目の接種を受けた人と接種を受けていない人を比較した場合、

1.新型コロナの無症状の感染者になることを予防する効果は94%

2.新型コロナの発症や入院、死亡を予防する効果は少なくとも97%

という分析結果を発表しました。

特に、無症状の感染者は自覚がないままウイルスを広げる可能性が非常に懸念されてきたため、ファイザーは「世界的な感染拡大を止める上で重要な意味を持つ」としています。

トランプ政権は「ワープ・スピード作戦」で9ヶ月でワクチンの実用化に成功

トランプ元大統領の大号令の下、ワクチンの早期開発に向け「ワープ・スピード作戦」を展開し、普通なら実用化までに何年もかかるワクチン開発を、100憶ドル(約1兆700億円)という巨額の政府投資と官民連携によって、アメリカは約9ヶ月で新型コロナウイルスのワクチン開発及び実用化に成功しました。

米食品医薬品局(FDA)は、

2020年12月11日、アメリカ・ファイザー社(2回摂取型)

2020年12月18日、アメリカ・モデルナ社(2回摂取型)

2021年2月27日、アメリカ・ジョンソン&・ジョンソン社(1回摂取型)

が開発した新型コロナウイルスワクチンを緊急承認したのです。

これにより、アメリカ・イギリス・イスラエル「軍事・安全保障・経済面」お互いに強い協力関係にある3国はいち早くワクチン接種を行い、感染者の拡大スピードと死者数の増加を抑えることが出来ました。

イギリスの製薬大手アストラゼネカ社とオックスフォード大学が開発した新型コロナウイルスのワクチンは2020年末にイギリスで承認を得た後、2021年年1月には欧州連合(EU)域内での使用を認められました。

加えて、2021年2月中旬には世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに加えられ、低・中所得国での使用が許可されました。

アストラゼネカのワクチン接種後に血栓の副反応で死亡者 ワクチンと因果関係はあるか?

2021年3月に入り、欧州のドイツ、フランス、イタリア、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ブルガリア、アイルランド、オランダがアストラゼネカ社のワクチン接種を一時中断しました。

ワクチン接種後に血栓の副反応が起きるという疑い事例が発生し、因果関係は不明ながらも死亡者が確認されたことが主な要因です。

しかし、3月18日、英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンの接種後に血栓ができる事例が報告された問題で、欧州連合(EU)の専門機関、欧州医薬品庁(EMA)「ワクチンは安全で効果が見込める。感染による重症化を防ぐ利点は、副反応のリスクを上回る」と結論づけました

しかし、アストラゼネカ社のワクチンの使用はアメリカでは未だに認められていません。

また、欧州ではファイザー社のワクチン需要が高まり、欧州全体としてのワクチン接種計画がさらに遅延する影響が出てくると見込まれます。

ワクチン供給で世界を救う町 ベルギーのプールスとドイツのマールブルグ

日本での接種開始に向け成田空港に12日到着した新型コロナウイルスワクチンは、ベルギー北部プールスにあるアメリカ製薬大手ファイザー社の工場で製造されたものです。

人口約2万5000人の小さな地方都市は、「世界を救う町」とも呼ばれ大きな注目を集めています。

また、アメリカのファイザー社ばかりが注目されますが、実はファイザー社提供のワクチンは、ドイツのビオンテック社と共同開発で新型コロナウイルス用のワクチン開発に成功し、実用化に至っています。

ビオンティック社の工場は、ドイツのマールブルグにあり、欧州医薬品庁(EMA)の承認を得て3月中に製造を開始できる見通しです。

限られたワクチン供給量に対し欧州で仁義なきワクチン争奪戦が起こっている

ファイザー製のワクチンが最もトラブルが少なく効率的に摂取が進んでいるため、欧州内でワクチンの総奪戦が起こり、日本へのワクチン輸送が遅れるといった懸念が生じていました。

実際に、イタリア外務省は3月4日、国内で製造したアストラゼネカ製ワクチンについて、オーストラリア向けの輸出を差し止めたと明らかにしています。

「EU=ヨーロッパ連合やイタリア国内向けの供給に支障を来す」と判断したからです。

欧州がワクチン確保で揺れているのは、ワクチン製造メーカーの供給不足が原因です。

イギリス・アストラゼネカ社は「EU=ヨーロッパ連合」に対して、生産トラブルで1~3月期の予定量の40%しか供給できないことを伝えました。

その前にはアメリカ・ファイザー社もワクチン供給が遅れることを明らかにしています。

EU加盟国はワクチン調達を執行機関の欧州委員会に委ねていますが、ワクチン調達が遅れ、接種が進まないことにいら立ちを強めています。

そのため、欧州委員会はEUから海外向けのワクチン輸出を規制することを発表しました。

また、アストラゼネカにはイギリス産ワクチンを「EU=ヨーロッパ連合」に供給するように要求し、、イギリスでは大きな反発が広がっています。

この背景には、ヨーロッパ各地で生じている問題として、

1.ワクチン接種が進んでいない国では感染拡大を抑制できず、死者数が増えてしまった。

2.都市封鎖の影響でユーロ圏の2020年12月期GDPは前期比6.8%減(1996年以来で最悪の落ち込み)

3.医療現場の負荷軽減と同時に景気回復の手段としてワクチン接種への期待が高まっている。

といった事柄が大きな影響を与えています。

この問題は、日本にとって対岸の火事ではありません。

予定通りに日本にファイザー製のワクチンが供給されるのか、不安視されています。

【追記】2021年9月6日、河野太郎ワクチン担当大臣は米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンについて、2021年の契約分およそ1億7000万回分の輸入が10月中に完了する見通しだと発表しました。

先行接種した医療従事者を対象に3回目のワクチン接種を実施する場合はこの供給分を充てる可能性も示唆しています。

仕事が速い河野ワクチン担当大臣によるワクチン接種計画は前倒しの見通し

ファイザー社の新型コロナワクチンの供給の見通しとして、

輸送便での到着予定は、

医療従事者等への接種に係るワクチン供給

○1回目の接種分
・ 3/1の週 500箱
・ 3/8の週 500箱
・ 3/22の週 200箱
・ 3/29の週 200箱
・ 4/12の週 1,200箱
・ 4/19の週 1,200箱
・ 5/10の週 1,000箱 (1回目接種・2回目接種分の合計)
○2回目の接種分
・ 3/22の週 500箱
・ 3/29の週 500箱
・ 4/12の週 200箱
・ 4/19の週 200箱
・ 5/3の週 1,200箱
・ 5/10の週 1,200箱
・ 5/10の週 更に1,000箱 (1回目接種・2回目接種分の合計)

となりました。

その後、国民一般への接種に向けた供給見通しは、

【第1クール】 4/5の週 100箱 (各都道府県2箱、東京・神奈川・大阪は4箱)
【第2クール】 4/12の週 500箱 (各都道府県10箱、東京・神奈川・大阪は20箱)
【第3クール】 4/19の週 500箱 (各都道府県10箱、東京・神奈川・大阪は20箱)
【第4クール】 4/26の週 1,741箱 (全ての市区町村に1箱)
〃 5/9までに更に 4,000箱
【第5クール】 5/10の週・5/17の週 16,000箱
※第5クール以降では、1バイアルから6回接種が可能な注射器を配布します。
【第6クール】 5/24 の週・5/31の週 16,000箱
【第7クール】 6/7の週・6/14の週 13,500箱
【第8クール】 6/21の週・6/28の週 16,000箱
【第9クール】 7/5の週・7/12の週 11,000箱
【第10クール】 7/19の週・7/26の週 10,600箱
【第11クール】 8/2の週・8/9の週 10,000箱
【第12クール】 8/16の週・8/23の週 10,000箱
【第13クール】 8/30の週・9/6の週 9,244箱
【第14クール】 9/13の週・9/20の週 10,000箱 程度(予定)
【第15クール】 9/27の週・10/4の週 10,000箱 程度(予定)

となっています。

厚生労働省は、希望する全ての対象者の接種完了を見据え、12歳以上の人口の8割の方が2回接種するためのワクチンを届けられるよう取り組んでいます。

日本国内のワクチン摂取に関しては、

①2月17日から、 約4万人の医療従事者への「先行接種」が始まりました。

②3月1日から、約500万人の医療従事者への「優先接種」が始まりました。

③4月12日から、約3600万人の高齢者への「優先接種」が始まりました。

④4月以降から、820万人の基礎疾患のある人と高齢者施設職人の「優先摂取」が始まりました。

ところが・・・、

⑤夏以降、16歳以上の一般の人々への摂取が始まる予定でしたが、ワクチン供給量は十分であるものの、各地方自治体の在庫調整が機能していないと河野ワクチン担当大臣が判断したため、7月中旬~8月にかけて、供給スピードがややダウンしています。

医療従事者に関しては、5月前半までに、2回接種に必要なワクチンを全都道府県に配送し、医療従事者500万人分のワクチンは5月10日の週に配送が完了されました。

高齢者に関しては、6月末までに全員が2回接種するのに必要なワクチンを配送する見通しです。高齢者3600万人向けのワクチンは6月末までに供給を終えることとなりました。

3月12日、日本政府は新型コロナワクチンの接種に向けた6月分までの調達スケジュールを発表しています。

この段階で、累計1億回分を超えるアメリカ・ファイザー社のワクチンを確保できています。

これは、医療従事者や高齢者向けの4000万人のワクチン供給にメドがついていたたことを意味します。

河野太郎規制改革相は、ファイザー社ワクチンについて、5月に4300万回分が欧州連合(EU)から到着することを明らかにしました。

6月到着分も5月分を上回ると説明しています。

ファイザーはヨーロッパにおける製造拠点の生産能力を増強している真っ最中です。

河野太郎ワクチン担当大臣は、日本向けの生産能力増強が確実となるのは4月下旬からで、日本への供給が十分な量に達するのは、5月中と見込んでいました。

とは言え、3月と4月の輸入量も上方修正されています。

これまで3月に266万回分、4月に1026万回分が届くと表明していたのですがが、3月は466万回分、4月は1226万回分に増えるため、200万回分が早く到着することになります。

5月到着分に関しては、なんと4月分の3.5倍に拡大します。

その結果、2~6月の供給見通しの合計は約1億400回分に達します。

日本政府はファイザーと2021年中に1億4400万回の供給を受ける契約を結んでいますが、6月までに少なくとも全体の7割程度を確保する見通しとなっています。

河野大臣氏はファイザー社のワクチン1瓶あたり6回接種できる特殊な注射器の調達状況も公表しました。

医療従事者は4月12日の週に供給するワクチンから6回打ちの注射器を使うことができます。

高齢者向け接種の注射器に関しては「6回の注射器は間に合わないので、5回で始めてもらう。調達ができたところで切り替えたい」と説明しました。

政府はこれまで1瓶5回を前提に接種日程を組んできたため、今後の接種のペースについて「6回になればその分前倒しになる」と摂取回数が増える期待を示しました。

(厚生労働省の資料を元に作成)

日本政府は、

1.ファイザーから年内に計1億9400万回分(9700万人分)の供給を受ける契約を結んでいる。

2.アストラゼネカから1億2000万回分(6000万人分)の供給を受ける契約を結んでいる。

3.モデルナから5000万回分(2500万人分)の供給契約を結んでいる。

ため、ワクチン接種のスピードはさらに早まる可能性もあります。

特に、アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンは2月5日に承認申請しており、モデルナ社のmRNAワクチンも、日本での供給を請け負う武田薬品工業が3月5日に申請しました。

順調にいけば5月には承認され、国内で3つの新型コロナウイルスワクチンが使えるようになる見込みです。

ただし、アストラゼネカのワクチンは、海外の摂取者で血栓が出来たという報告もあり、日本での承認審査に影響がおよぶ可能性が不安視されています。

【追記】2021年7月30日、新型コロナ変異株のデルタ株の感染が拡大したこともあり、アストラゼネカのワクチンも予防接種法に基づいて公費で接種できるようになりました。接種年齢は副反応も考慮された上で原則40歳以上となっています。

菅首相の最優先政策であるワクチン接種計画は想定通りにいかなかった?

ワクチンの需給は継続的に世界中で逼迫しており、供給に遅れが出ている「EU=欧州連合」では、域外へのワクチンの輸出に事前申告と許可の取得を義務付けました。国内の接種スケジュールは供給に大きく左右され、綱渡りの状況が続いていました。

日本では、新型コロナウイルスに対応する医療従事者らへのワクチン優先接種が3月に入って本格化しました。

医療従事者のワクチン摂取対象者(医師・薬剤師・看護師・実習中の医学部生・救急隊員・消防団員)は統計に基づく推計値だった約370万人から約500万人に増えることとなりました。

安全性を調べるための先行接種は2月中旬から全国100病院の4万人を対象に開始され、3月3日から一般の医療従事者向け接種が始まりました。

尚、日本人の65歳以上の高齢者人口は約3600万人です。【2021年9月追記:高齢者88.6%がワクチン接種済み】

基礎疾患のある約1030万人は患者調査や国民生活基礎調査などの統計から20~64歳の入院者や外来患者、肥満の人を推計しています。

高齢者施設などの従業者約200万人も各種調査からの推計値であり、厚労省の担当者は実際の人数について「推計値通りにはいかない」と指摘されていました。

【追記】ところが、チャートで見る日本のワクチン接種状況・コロナワクチンのグラフ(出典:日本経済新聞社)を見ると、2021年6月以降、順調に接種回数が増えていることが分かります。

また、一日あたりの日本人ワクチン接種回数(出典:日テレNEWS)は最大で7月6日に163万回を超す水準となりました。

その後、河野ワクチン担当大臣の要請もあって、少しずつペースダウンしましたが、9月11日時点では約74万回となっています。

2021年8~9月からは各民間企業の職域接種も進んでおり、自衛隊が運営するワクチン大規模接種会場において主に16~39歳を対象に優先枠を設けたワクチン接種が東京・大阪など大都市圏を中心に行わています。

(※大規模接種センターではモデルナ製ワクチンを使用・大阪は18歳以上がワクチン摂取対象)

接種開始から7か月で日本人のワクチン2回接種が全人口の50%を超えた!

【追記】2021年9月13日、政府の発表により、日本国内における新型コロナウイルスのワクチンの2回目の接種を終えた人が全人口の50%を超えたことが分かりました。

政府は、10月から11月の早い時期に日本人の希望者全員のワクチン接種がを完了する見通しを示しました。

アメリカのCDCは感染・入院・死亡の割合について、ワクチン接種者と非接種者の間でそれぞれ大きな差があると報告しています。

8月にはデルタ株の影響で、日本国内でも感染爆発が起こり、自宅療養者が10万人を超える事態となっていました。

とはいえ、2021年9月末まで緊急事態宣言は続いていますが、足元の感染者の数は減少傾向にあります。

イギリス・オックスフォード大学によりますと、新型コロナウイルスワクチンの接種を終えた人の割合は、9月12日時点で世界の人口の29.9%という報告がされています。

世界のワクチン接種状況は以下の通りです。

第1位 UAE(アラブ首長国連邦) 78.3%

第2位 シンガポール 75.9%

第3位 スペイン 75.0%

第4位 カナダ 68.4%

第5位 中国 67.2%

第6位 イギリス 64.5%

第7位 イタリア 63.9%

第8位 イスラエル 63.1%

第9位 フランス 62.5%

第10位 ドイツ 61.6%

第11位 アメリカ 53.1%

第12位 韓国 39.1%

第13位 ブラジル 34.0%

第14位 ロシア 27.2%

第15位 インド 12.7%

となっています。世界GDP第2位の中国、世界競争国ランキング1位(2020年)のシンガポール、感染症を安全保障の問題と位置付けるイスラエルを除いて2回目の接種率50%を超えているのは、アメリカとヨーロッパ諸国だけです。

WHO=世界保健機関は、アフリカのほとんどの国が人口の10%が接種を終えていないと発表しています。

先進国と途上国の間の「ワクチン格差」がより深まりつつあります。

最終段階の治験が困難な塩野義製薬の葛藤  緊急使用許可の体制作りを訴える

3月16日、塩野義製薬が開発を進めてきた新型コロナウイルス予防ワクチンの2021年内の供給が、困難な見通しであることが明らかになりました。

イギリス・アメリカなどでワクチンの実用化が進み、最終段階の治験(臨床試験)を年内に実施することが難しい状況となっているからです。

塩野義製薬では、ワクチンの安定供給と、日本特有の変異株出現に備えるため、安全性を担保した上で使用を認める緊急使用許可の仕組みの必要性を訴えてました。

塩野義が開発を進める新型コロナウイルス予防ワクチンは現在、治験の第1・第2段階にあたる第1/2相試験を国内で実施しています。

最終段階の第3相治験では、偽薬を用いた世界の流行地域の数万人を対象にした治験に向けて準備を進め、予算額は数百億円規模を見込んでおく必要があります。

ところが、世界ではアメリカ・ファイザー製やイギリス・アストラゼネカ製など既に実用化したワクチンの接種が広まっているため、2021年内に未承認のワクチンの大規模な治験参加者の確保が難しいのが現状です。

塩野義製薬はこれまで、開発と同時に国内工場を拡充し、年間3千万人分を供給できる生産体制の構築に取り組んできました。

引き続き、大規模治験に向けて模索していますが、アメリカでファイザー社などがワープ・スピード作戦で成功し、実用化されたように、日本国内でもコロナ禍の非常事態を考慮した「緊急使用許可の仕組み」を整える必要があると訴えています。

日本の国産ワクチンで現在、人に接種する治験に入っているのは、

①第2/3相治験を行っている創薬ベンチャーである「アンジェス」

②第1/2相治験を行っている塩野義製薬

だけで、今後は、第一三共製薬とKMバイオロジクスが3月中に治験に入る予定です。

イギリスでは、毎日30~40万人という急速なペースで接種が進んでいるのに対して、日本のコロナワクチン接種率は世界最低レベルです。

国産ワクチンの開発には、基礎研究+企業の資金+開発能力+人材+政府による財政支援が必要です。

まだまだ、国産ワクチンの登場には時間がかかります。

今のところ、ファイザー製・モデルナ製ワクチンの日本での接種が予定通りに進むことを願うしかなさそうです。それを補足する形でアストラゼネカ製ワクチンが希望対象者に摂取していくことで、ワクチン接種率80%以上を日本は達成することになると考えています。



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