コラム

当面は金融緩和の出口は絶対に見えてこない。今こそ将来世代にツケを回さないためのデフレ脱却を目指そう!(2)

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世界経済の牽引役であるアメリカ経済が、貿易摩擦やトランプ大統領の政策によって、先行きの不透明感が強まっています。

2018年10月24日のアメリカ株式市場ではニューヨークダウ平均が608ドル急落し、史上最高値の3日後には2200ドル下落となっています。2018年初めの水準をも下回りました。

米中貿易戦争はこれから本格化 トランプ大統領の迷走がアメリカ経済を不安定にする

アメリカと中国の貿易摩擦が企業業績に本格的に影響してくるのは、これからです。

まだ始まってもいないと言っても過言ではありません。

予測不可能性が高い言葉を発し、唐突で極端な行動を取るトランプ大統領は、その「人となり」そのもの金融市場の恐怖感(VIX指数・恐怖指数の上昇)となって表れています。

このままの状態が続けば、いずれアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ方針を見送らざるを得なくなってくるでしょう。

アメリカの景気をもっと刺激したいという欲求が際立つトランプ大統領の言動は、逆に景気を減退させる要因になりつつあります。

彼の対応は、リスキーで安心感をもたらすものではありません。まるで運転免許を取り立ての人が、高速道路でスピード違反の暴走をしているかのようにさえ感じられます。

何よりも、赤信号を平然と渡ったり、青信号で急に止まったりする不可解さ、ちぐはぐさが、企業や投資家に不安を与えています。

アメリカという国自体が、やがて制御不能になるのではないでしょうか?少なくとも、国民の価値観・思想・心情は完全に分断されています。

政治的な信念を公にしなかった人気歌手のテイラー・スウィフトさんは、「民主党支持」を表明しています。テイラー・スウィフトさんは、日本のCMソング「シェイク・イット・オフ〜気にしてなんかいられないっ!!」でもよく知られている女性歌手です。

(出典:FNNPRIME)

この曲を収録したアルバムは発売第一週で128万枚の売り上げを記録し、全世界95カ国でiTunesのダウンロードが1位を獲得しました。音楽に限らずインスタグラムのフォロワー数は1億1200万人と大きな支持を集めています。2015年には、経済紙フォーブスで「世界で最も影響力のある女性100人」にも選ばれました。

好ましい景気で潤い、株価も絶好調だったのに、大規模な法人税減税+中間階級層への減税によって、金利上昇を招くという事態に陥っています。

トランプ大統領は、経済を浮揚させ、雇用を増加させるために手段を選ばず、アクセルを踏みっぱなしでブレーキをかけることをしません。このままでは、交通事故を起こして大きな怪我を負うことになりそうです。

日本とアメリカが良好な経済環境を維持するための政策

経済や財政を扱うに当たって、アクセルとブレーキの使い分けは非常に大切です。

トランプ大統領がアクセルを踏みっぱなしなら、過去の日本は緊縮財政と増税ばかり行ってブレーキを踏みっぱなしでした。いや、その状態は現在進行形で続いているというべきです。

アメリカにおけるトランプ大統領が取るべき行動

株価不安定+大規模な法人税減税(35%から21%へ)+中間階級層への減税+財政出動で交通・エネルギーインフラ投資(10年間で170兆円規模)

→大規模で長期に渡る財政出動と大型減税の悪影響を防ぐため、金融政策・財政政策を柔軟かつ適切なタイミングで行い、アクセルとブレーキを使い分けなけれなりません。

(※インフラとは、社会基盤のことを意味します。)

加えて、過去のグローバリズムから撤退して、保護主義あるいはナショナリズムを前面に打ち出すことの副作用を抑える政策が必要です。何故なら、昨今のアメリカ株の急落は、グローバリズムは決して揺らぐことがないという価値観を持っていた投資家が慌てて持ち株を売っていることと関係があるからです。

日本における安倍首相が取るべき行動

日銀の政策手詰まり+株価低調+個人消費の伸び悩み+法人税減税(3%の賃上げで25%減税へ)+個人への所得税増税+消費税増税(8%から10%へ)+円安・輸出頼みの企業経営

→景気を安定的に浮揚させ、インバウンド・外需ではなく日本人の個人消費・内需を拡大させるために、思い切りアクセルを踏み込んで積極的な財政出動を行わなければなりません。

「膨大な国の借金・財政赤字」という言葉に惑わされることなく、これまでの緊縮財政路線とは決別して、「教育内容の充実と科学技術の発展」「防災・減災・交通インフラ整備」「軍事力・防衛力の強化」を行うために積極的な財政出動が必要です。

さもないと、少子高齢化の影響が進むにつれて、日本はさらに衰退化し、弱体化し、他国に脅かされる貧困国に成り下がってしまいます。

日本は働き盛りの世代の満足度が経済成長の鍵を握っている

また、総務省が2018年8月7日に発表した労働力集計では、正規社員に対する非正規雇用の割合が37.55%と依然として高く、低賃金・低収入の若い働き手がまだまだ多いことから、その問題に取り組む必要もあります。統計上の数字データを見る限り、把握し難いですが、団塊ジュニア世代・就職氷河期世代の賃金アップ・収入の向上も欠かせない課題だと言えます。

何故なら、彼らの多くは子育て世代であり、結婚や出産、教育、住宅や自動車の購入にかかる費用負担も大きいからです。

団塊ジュニア世代以降の若い世代が、未婚率が高かったり、出産率が低かったり、自動車の購入をしたがらないのも、お金に関する問題を抱えている場合がほとんどであり、それが生きるモチベーションの低下や人生における目的意識の希薄さにもつながっています。

また、結婚による退社や出産、育児などが原因で、パート・アルバイト・派遣社員など非正規雇用の仕事に就いている傾向も高いので、働き方改革の一環として在宅勤務を含めた労働市場の在り方を検討する必要もあります。

世間一般には「男性21.3%・女性55.8%が非正規社員」と言われてきましたが、労働慣行を改革していくことで、正規社員の比率を高めることができると考えています。また、諸般の事情で非正規社員を選ばざるを得ないケースであっても、賃金・収入の上昇によって満足できるライフスタイルの構築をしやすい環境条件が整います。

アメリカの意向とは裏腹に、中国との関係改善を進めようとする日本

2018年10月25日に安倍首相は訪中し、東南アジアなど第三国でのインフラ整備を通じた日中協力の強化などを打ち出し、関係改善を進める考えで一致しました。

その中で合意した原則は、

  1. 「競争から協調へ」
  2. 「日中はパートナーで、互いに脅威とならない」
  3. 「自由で公正な貿易関係を発展」

といった内容です。

具体的には、日中の民間企業が共同展開で事業を行うために52件の覚書が交わされました。日本から中国へのODA(政府開発援助)は中止になりましたが、通貨危機に備えるための日中通貨スワップ協定の再開が合意されました。

通貨スワップ協定は、「通貨交換協定」とも呼ばれています。例えば、中国の通貨である人民元の為替レートが急落した時に、貿易決済や為替介入に必要な外貨が不足した場合、日本が中国の要請に応じて、米ドルなど主要な外貨を融通することになります。

中国の人民元と引き換えに、日本が保有する外貨を一時的に貸し出すことで、中国は通貨や経済の安定を図り、深刻な経済危機に陥るのを防ぐことが狙いです。

通貨スワップ協定は、「お互いに資金を融通し合うこと」が前提なので、建前上は日本が資金繰りで困った時に、中国が日本を助けることも含まれています。

日本政府としては、「一帯一路」構想には関与せず、参入する日本の民間企業が「自己責任」で中国と共同事業を展開すると表明していますが、民間企業が出資して大きな経済的損失を被ったり、技術流出が加速することを日本政府は心配していないのでしょうか?

中国の周辺国では、「一帯一路」構想には関わるべきではない、自国の土地や大切な運営権を奪われてしまう、との見解で一致しています。

実際に、タイ・マレーシア・ラオス・ミャンマーでは、中国主導の強引なプロジェクトが挫折しており、この連鎖はスリランカにも及んでいます。

中国は、日本と共同で事業展開しているという名目で、「一帯一路」構想の信頼性を高めようとしているのです。これでは、中国の覇権拡大に「日本の付加価値の一つである信用力」が利用されてしまう危険性が高いでしょう。

中国としては、こうした不安を払拭すべく「知的財産権保護の新しいフレームについて議論する」などとして、公明正大な共同ビジネスの在り方を提案しています。

中国が世界覇権を狙う「一体一路」構想は日中間の政府レベルでかなり意見の相違があります。その溝を埋める努力をしないと遅かれ早かれ、両者の関係は行き詰るでしょう。

既に中国の国力増大を警戒するアメリカは、自由貿易のネットワークから異質な中国を排除する戦略として、「中国条項」を貿易相手国に提示して動き出しています。

自由貿易のルールを守らない中国が、今後さらに経済成長していくと、誰も逆らえない技術力、軍事力、政治力を手にする事態となり、WTO体制を破壊し、世界大戦を脅し文句に、もっと傍若無人に振る舞うとアメリカは考えているのです。

中国の肥大化を食い止められなかった場合、世界中の多くの国々が中国の言いなりとなり、何も逆らえない状態になることをトランプ政権は危惧しています。

日本とアメリカの2国間で交渉中の「日米物品貿易協定(TAG)」においても、「中国条項」を組み込むよう要求する方針です。

その結果、中国とアメリカの板挟みに苦しみ、日本政府の舵取りは難しくなっていくことが予想されます。

まさに「前門の虎、後門の狼」の立場に安倍政権が置かれつつあります。

アメリカは日本との貿易交渉で有利になるため、為替条項という禁じ手を使ってくる

アメリカのムニューシン財務長官は、交渉中の「TAG」(日米物品貿易協定)で日本側に円安誘導を制限する「為替条項」の導入を求めました。

これは、円高ドル安を誘引するための脅しでもあります。となると、今のままでは、アベノミクスは勢いを失い、日本が深刻な不景気に見舞われる懸念も出てきます。

それだけ、日本の内需(特に個人消費)を重視した企業経営を行っておらず、輸出で稼ぐ外需頼み、インバウンド頼みの経済構造が全く変わっていないのです。

特に自動車、電機、機械といった輸出産業は、2013年からアベノミクスの金融緩和によって復活しました。しかしそれは、日銀が大量に円を刷り散らかして円安が進み、外需が潤って増収増益が続いてきたに過ぎないのです。

もし、アメリカが日本に為替条項を本気で振りかざしてくれば、たとえ金融緩和の出口戦略を検討しなくても、あっという間に1ドル=90~100円の方向に円高が進み、それだけで外需頼みの企業業績は悪化し、訪日外国人観光客は減少に向かいます。

その状態がしばらく続くと、まず労働者の賃金・収入が減少し、消費が伸び悩みます。そこに追い討ちをかけるように、消費税10%の重荷が圧し掛かり、不景気の波が押し寄せてきます。

加えて、3%台と金利の高いアメリカ国債を買って運用している日本の金融機関(銀行・保険など)は、急激な円高ドル安の影響で、多額の為替差損(含み損)を抱えることになります。

過去の歴史が証明しているように、銀行の体力低下や財務体質の悪化は、信用収縮をもたらし、資金の融通が滞り、金融危機のリスクが発生します。

いつの時代のどんな環境でも、金融危機の発端は、銀行の業績不振から始まるのです。

詳しくは、リーマンショックから10年、次の金融危機の震源地はどこか?をご覧ください。

すると、赤字経営の企業には、不良債権化を防ぐために、銀行が融資したお金の貸し渋り、貸し剥がしが起こり、資金繰りに行き詰った企業が倒産の危機に直面する事態が訪れます。

こうした最悪の条件では、日本の長期金利を上げる訳にはいかないので、麻薬の中毒患者のように日銀は金融緩和を続けざるを得ません。そして、アメリカとの政治的な摩擦が大きくなり、両者の関係がこじれる危険性も想定されます。

アメリカとも中国とも関係を良好に結べないとなれば、日本は、外交、安全保障、経済の面でトリプルパンチの打撃を受けて、国家衰退に向かうことになりかねないのです。

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