米中ハイテク戦争

アメリカ・中国 コラム

アメリカ連邦検事が産業スパイ・企業秘密窃取の疑いでファーウェイを起訴!?




アメリカのファーウェイに対する徹底した排斥の動きは全く止まりそうもありません。

そもそも、現在は貿易戦争の休戦期間だったはずです。しかも、少なくとも2月末までは!

それまでも待てない程、アメリカはファーウェイを目の叩きにしているのでしょうか?

アメリカ連邦検事が産業スパイの疑いでファーウェイを捜査・起訴する?

2019年1月16日、中国の通信機器大手であるファーウェイ(華為技術)が、アメリカ通信大手のTモバイルに産業スパイ行為を働いた疑いが持たれています。

アメリカ連邦検事は近く法的手続きに入る見通しですが、副会長の孟晩舟CFOが逮捕、釈放されてからあまり時間が経っておらず、もし本当に捜査・起訴に踏み切れば米中間の対立はさらに深まりそうです。

そもそも、2014年にTモバイルは企業秘密を窃取されたとして、ワシントン州シアトルでファーウェイに対して訴訟を起こしています。(※産業スパイ行為含む)

この民事訴訟では、Tモバイルの施設に侵入し、スマートフォンの製品テストに使われるロボット関連技術を不正流用したとの主張が認められ、2017年5月にファーウェイは480万ドル(約5億2264億円)の賠償金支払いを命じられました。

1月16日、アメリカ議会の超党派議員は、中国の通信機器関連企業が、米国の制裁措置、もしくは輸出制限措置に違反した場合、アメリカの半導体やその他の部品の販売を禁止する法案を提出しました。ファーウェイとZTEを名指ししており、明らかに2社の不正行為を意識した内容となっています。

ドイツ政府は5G入札でファーウェイ排除を検討 東欧でも締め出しが拡大

1月16日、ドイツ政府は、ファーウェイ、第5世代「5G」移動通信網整備の入札に参加することを阻止するため、セキュリティー基準の厳格化などを検討していることを表明しました。

具体的には、

1.ファーウェイが満たすことができないセキュリティー基準を設ける

2.最終手段として国内通信法の改定を検討している

という方針を示しています。

2018年12月7日10月の時点では、ドイツ政府は、5G入札で特定の業者を排除する法的根拠はなく、政府調達からファーウェイを排除しないとの方針を示していました。

しかし、アメリカ当局者の、

ファーウェイは中国政府と強く結びついており、同社のネットワーク製品には、ネット上で同社がスパイ活動を行うことを可能にする「バックドア」が組み込まれている可能性がある。

という呼びかけに応えるように、

ドイツ政府も、5Gネットワーク構築のセキュリティーには問題があると方向転換したことになります。

2018年、アメリカだけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本の政府が中国通信機器大手ファーウェイ社製品を政府調達から排除することを決定しました。

この動きは東欧にも拡大しています。中国のファーウェイとZTEのハードウェアやソフトウェアを使用すると情報を抜き取られる危険性があるという認識が広まってきたのです。

チェコは、内閣の職員に対して、ファーウェイ製スマートフォンの使用を禁止しました。(東欧では初めて)

1月8日、ポーランドでは、ワルシャワのファーウェイ社事務所の中国人職員がスパイ容疑で逮捕されており、同時に、ポーランド国内安全保障局に勤務していたサイバー対策専門家も逮捕されています。

オーストリアでも、「ポーランド政府はEU(欧州連合)とNATO(北大西洋条約機構)加盟国に対しファーウエイ対策で共同歩調を取るべきだ」と世論が警戒心の高まりを強めています。

そのため、東欧のチェコ、ポーランドだけでなく、エストニア、ラドビアなど他の東欧国でもファーウェイ締め出しの動きが広がる可能性があります。

データの相互通信が実現するIoT時代がファーウェイ排除の最も大きな要因

これは、米中貿易戦争とは違う文脈で活発化しているトレンドと捉えた方が良さそうです。

2020年に入ると、情報通信の世界では第5世代移動通信システム「5G」時代を迎えることになります。

現在の「4G」(LTE通信)よりも超高速、超大容量、超大量接続、超低遅延が実現するため、本格的なIoT(あらゆるモノがインターネットにつながる)時代が到来するのです。

5Gが実現され、IoT技術が普及していくと、家電製品や車など日常生活で使うモノがインターネットに接続され、モノ同士の相互通信とデータ収集が実現します。

現在、ファーウェイは世界170カ国でビジネスを展開しており、しかも、「5G」関連特許の10%を既に獲得済みなのです。

このままでは、ファーウェイの製品を使うだけで、世界中の「5G」利用者が中国当局に情報を抜き取られ、情報を操作されたり、ハッキングに遭うリスクが高まると懸念されています。

アメリカと中国のハイテク覇権争いは、情報通信の世界だけでなく、軍事利用の分野で最も恐れられています。

ファーウエイ製品は世界的に急速に拡大しており、そのシェアはアメリカ・アップル社を超えています。

当初はアメリカ国内だけの経済問題と受け止められていましたが、最近になってようやくファーウェイ社は、中国共産党政権と密接な関係にあるため、各国にとって安全保障に関わる重要な問題として受け止められるようになってきました。

そこで、2019年に入ってから、ヨーロッパではノルウェー政府も、ファーウェイ社を5G通信インフラ調達対象から外すかどうかを調査中という事態になっています。

ファーウェイ社の締め出しは、世界の金融界にも広がっています。

HSBC(香港上海銀行)とスタンダード・チャータード銀行(ロンドンに本店)の2行は、ファーウェイに新たな金融サービスの提供を中止すると発表しています。

日本では、格安スマホの販売だけでなく、電波基地局や中継局といった通信インフラをファーウェイ・ジャパンが担ってきましたが、他社への変更など数多くの課題も発生しています。

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