保険 自然災害・環境問題

台風で屋根瓦が飛んだ場合、修理代は誰が負担すべきか?

更新日:

平成30年台風第21号は、9月4日に日本に上陸し、25年ぶりに「非常に強い」勢力を保ったまま、近畿地方を中心に大きな被害をもたらしました。

TVの報道やSNSの動画、写真のアップを見ていると、北海道地震と同レベルかそれ以上のインパクトで関西地域が物理的に傷つき、痛んでいるのがよく理解できます。

そのような状況の中、もしも自宅の屋根瓦や所有物が落ちて、他人に怪我をさせてしまったり、他人の家屋に大きな被害をもたらして近隣トラブルが起こった場合、どのように対処するのが良いのかをお話していきたいと思います。

自宅の一部が何らかの形で他人や近隣の家に迷惑をかけることがある

台風に限らず、地震や竜巻などの影響で、モノが飛んでいった結果、意図せずして他人に迷惑をかけてしまう可能性は十分にあり得ます。

  • 自宅の屋根瓦が強風で飛ばされて、隣の家の家や車を傷つけてしまう
  • 自宅の庭の植木鉢が強風で飛ばされて、隣の家の壁を傷つけてしまう
  • 庭のバケツが強風で飛ばされて、道路に転がってしまい、そこを通りかかった自動車が避けようとして事故を起こす
  • 子供が歩いている最中に、店舗の看板が飛んできて怪我を負ってしまう
  • 店舗の看板が強風で飛ばされて、近くの家のガラス戸を割ってしまう

などがその具体例として考えられます。

台風や地震などの自然災害では、個人に賠償責任は発生しない

屋根瓦や植木鉢が飛ばされた原因が台風などの自然災害が原因の場合は、一般的には、個人に賠償責任は発生することはありません。

家を建てた後の維持やメンテナンスといった管理能力が原因ではないからです。

とは言え、加害者の管理能力の有る無しとは無関係に、もし所有物である家や車を傷つけられた時は、被害者に損害賠償を請求したくなる気持ちが生じてしまうのは仕方がないものです。

原則として、台風や地震、竜巻などの自然災害では、被害者に対して賠償義務はありません。

自然災害による被害の修復は、自己責任の問題として法的に判断されるためです。

「予測できない事態から発生した自然災害による事故「賠償責任は発生しない」というのが法律上の見解となります。

こうした考え方は、火災でも同じです。台風や地震で自宅が大変な火事に遭い、周囲の家々の多くを延焼させてしまう被害を出したとしても、自然災害による事故なので、賠償責任は発生しません。

発生した事故や損害は、加害者(所有者や管理者)の側に「明確な管理責任がない」と判断できる時は、「賠償義務を免れる」ことになります。

家屋に不具合があるのに補修をしなければ、賠償責任が発生することがある

ただし、自宅の管理能力に「重大な落ち度」があるケースは違います。

これは、自宅がすでに古い状態にあり、「いつ屋根瓦が落ちても不思議ではないと分かっている」にも関わらず、長い間ずっと放置したまま補修工事をしていなかった場合などです。

また、周囲の家の屋根瓦はほとんど飛ばされていないのに、自分の家の屋根瓦だけが飛ばされて被害を与えるような状況においては、損害賠償の支払い義務が生じるリスクが高まります。

屋根瓦が「落ちそう」「落ちるかもしれない」と分かっているのに、その状態を無視していたために発生した事故の際には、個人への賠償責任を免れることはできません。

台風や地震が起こる前から、ちょっとの風で屋根瓦がずれ落ちるような状態であったり、ベランダから落下した植木鉢が不安定な場所にあった状態、あるいは家の外壁が腐食して剥がれ落ちそうになっていた状態には、個人への賠償責任が発生すると捉えるべきです。

特に、災害前の時点で近隣の人から注意喚起やクレームの声があった場合には、個人への賠償責任は明らかに認められます。

何故なら、そのような状況では管理者が予防策や改善策をきちんと取るべきだからです。

とは言え、住宅の強度や築年数など総合的な要素を調べる必要があるので、「重大な落ち度」かどうかの判断は難しい面もあり、個々の案件によって異なってくると言えます。

老朽化していた落下物が分譲マンションで起こった場合はどうなるか

防水用の張り板が剥がれかけていたのに、「それを放置していた」という事情が認められると、メンテナンスの仕方に不備があったこととなり、マンションの管理組合にも責任が発生する可能性が出てきます。

予想される程度の強風に対して、針金で屋根に固定するとか、止め金で固定するとかして十分な備えをすべきであったのに怠ったとして、損害賠償義務を負わされることがあります。

このように台風であれば全て免責される訳ではありません。

過去にも台風の経験があり、予想される程度の強風に対して屋根に補強を施すなど、充分な備えを施していなかったならば、充分な防止措置を取らなかったものとして、損害賠償義務を負うことになる場合も生じます。

ただし、損賠賠償を請求するにはやはり証拠をきっちりと用意することが重要です。「普段から安全管理に問題があった」と被害者が主張したとしても、「証拠がない」と否定されてしまうと法的な責任が問われない事態も考えられます。

客観的に所有者が注意や安全性の確認を怠っていたと認められる場合は民法の717条で定義されています。

民法 債権 第717条【土地の工作物等の占有者及び所有者の責任】

① 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

「土地工作物」とは、建物、家屋や塀、看板など、不動産やそれに付着しているものを意味します。

そのため、屋根の張り板、屋根瓦なども土地工作物の一部です。

工作物に関して、外に置いて使用することが想定されるものについては、一定の風雨に耐え得ることを想定して設計されている必要があります。

そうした設計がされてないのに、自然災害で被害を与えた場合は、製造物の欠陥により損害が生じた」と考えられ、製造業者が責任を問われます。このことは、製造物責任法でも定義されており、PL法とも呼ばれています。

自宅の家屋で痛んでいる部分には目を配り、天候が荒れている日には庭に置いてあるものが風で飛ばされないように配慮するといった気配りが、後で悔やむような法律上のトラブルを回避する最善策だと言えます。

自宅や車の安全と安心を守るにはどうすれば良いのか

家屋に関しては、自然災害による被害は「自己責任で修復費用を負担すべき」ということになります。

でも、民間の保険に加入しておくことで、金銭的な負担から解放される場合が数多くあります。

住んでいる家で火災保険に入ることは、まさにその代表例です。

火災保険が金銭的な負担から守ってくれる領域は非常に広く、火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災害、雪災などの自然災害に限らず、建物外部からの落下、飛来、衝突、盗難など様々なものがあります。

加入する火災保険の内容によって補償される充実度や守ってくれる領域はかなり違いますが、火災だけが保険適応の対象ではないということを覚えておきましょう。

火災保険においても、充実したプランの中には、洪水や高潮、土砂崩れなどの水災を対象とするものもあります。エコノミープランでは、これらを対象外とする商品もありますので、契約の際にはきちんと確認しておきましょう。

突風や強風といった風害に関しては、ほとんどの火災保険が補償対象となっています。

ところが、台風で床上浸水したときは水災扱いとなり、エコノミーなプランでは補償されない場合もあります。※充実したプランの保険商品ですと補償されます。詳しくは、人気の高い火災保険ランキングをご覧ください。

自動車に関しては、「車両保険」に加入していれば、台風や洪水で車が水没してしまうような水害でも補償されるので安心だと言えます。

一般の車両保険でもエコノミータイプの車両保険でもどちらも対応可能です。

台風によって外壁や屋根瓦、トタンが飛んできて自動車が壊れた場合は、「飛来物」という扱いで自動車保険が適応できます。

ただし、地震は予知不能で広範囲ということもあり、「保険金が払われない場合・地震」と約款に明記されています。

地震による自動車の損害が生じた時の補償として、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金」「地震・噴火・津波車両特約」を用意している保険会社もあります。

この特約を付加している自動車が全損となった場合、中古車購入や生活再建のために臨時に必要となる費用の一時金として50万円が支払われます。

個人賠償責任保険は心強い人生の味方となってくれる

もし、普段の生活で屋根瓦や植木鉢、バケツ、看板などについて、必要な対策を取っていなかったことで他人に怪我をさせてしまったり、他人の物を壊してしまった場合であっても、個人賠償責任保険に加入しておくことは非常に大きな備えとなります。

この保険に加入していれば、個人への損害賠償責任が発生した場合であっても、賠償金や弁護士費用を支払った際に、その金額を補償してくれます。

個人賠償責任保険に単独で契約することもできますが、火災保険や自転車保険、傷害保険などに特約として加入する方法もあります。

最近では、クレジットカードの付帯サービスで加入する方法が主流です。

日常生活の中では、意図せずして他人に対して怪我をさせたり、他人のモノを壊してしまったりして法律上の損害賠償義務を負うことがあります。

もし他人に負わせた怪我が重症で後遺障害が残った場合には、数千万円単位の損害賠償を請求される事態もあり得ます。

特に自転車の事故に関しては、数千万円の損害賠償判決が数多く出ています。こうしたケースでは、自転車保険で備える方法もありますが、補償の対象が自転車事故に限定されている場合も少なくありません。

個人賠償責任保険に加入しておけば、そんな不意の大きな出費が必要になったとしても、精神的に動揺しなくて済みます。

もし個人の賠償責任が問われる出来事が起こり、実際に金銭的な賠償請求をされてしまったら、預貯金では到底払えない高額な負担になってしまいます。そんな場合でも、個人賠償責任保険で補償することは可能です。

以下のようなケースで、個人賠償責任保険は適応の対象となります。

  • キャッチボールをしている子供が、他人の家の窓ガラスを割ってしまう
  • マンションで洗濯機の排水ホースが外れて階下に水漏れする
  • 自転車で駅に向かう途中で、他人にぶつかって大怪我をさせてしまう
  • スポーツをしていて他人と衝突し、後に残るような傷を負わせてしまう
  • 食事会でワインをこぼしてしまい、他人の高級な衣服を汚してしまう

個人賠償責任保険にはどのようにして入るか?

自分が加害者として他人に対する大きな怪我や事故を起こした場合に、個人賠償責任保険に加入しておくことは、心強い人生の味方となります。

一般的に、個人賠償責任保険のみで販売している保険会社は少ないです。

「特約」として何か別の保険でセットするケースが主流となっています。

自分が加入している損害保険があれば、それに「個人賠償責任特約」が付加されているか確認してみましょう。

もしも、「特約」が付加されている場合は、補償の範囲が日常生活に係わる事故となっているかも確認してみてください。

個人賠償責任保険のメリット 保険料が安い

保険期間1年で1億円など高額な補償であっても、2,000円~3,000円程度の保険料です。

保険料がお手頃なために、うっかりと重複して加入しているケースも珍しくありません。

火災保険、自動車保険、傷害保険、特にカードに付帯されている傷害保険などの「特約」は、必ず確認をしておいてください。

保険商品によっては国内の事故や特定の事故のみに限定しているものあるので気をつける必要があります。

家族全員が補償対象で安心

基本的に、1つの契約で家計を共にしている同居の家族全員が補償対象となります。

  • 本人
  • 配偶者
  • 同居の親族

加えて、別居していても、仕送りをしている未婚の子供、下宿している大学生の子供が損害賠償責任を負った場合にも補償が適応されます。

補償対象を本人のみなどに限定している商品もあるので、補償内容はしっかりと確認してください。

保険金支払いの対象

治療費、修理費、慰謝料などの損害賠償金

弁護士費用、訴訟になった時の費用、調停、和解、仲裁にかかった費用

他人の「身体」や「財物」に与えた損害が対象となります。

名誉棄損やプライバシーの侵害といった精神的な被害に関しては支払い対象外となります。

以上、個人への賠償責任が発生しない自然災害と、賠償責任が発生する場合の備えについてまとめてみました。

動画出典:一般投稿者

-保険, 自然災害・環境問題

Copyright© ファイナンシャルプランナーが教える円満生活 , 2018 All Rights Reserved.