自然災害・環境問題

豪雨被災地でボランティアをしたいと思っている人に知って欲しい留意事項




7月豪雨の被災地の状況を見ていると、何かできることがないかという気持ちになりますよね。

ボランティアに参加する前に、まずは被災地のボランティア募集状況を確認しましょう。

被災地の状況は刻一刻と変化しており、被災地によってニーズも異なります。また、一日当たりの受け入れ人数の上限があったり、参加者を近隣地域の在住者に指定しているケースもあります。

無闇に自動車で被災地に向かうことは、交通網が寸断されていたり、土砂災害の危険を伴うだけでなく、地元の人にとっての迷惑となる交通渋滞を引き起こすことも考えられます。

参加先の自治体が発信する現地の情報を必ず調べるようにしましょう。

【ボランティアの心得 10か条】豪雨被災地ボランティアに出かける前に準備すべきこと

被災地にボランティアに行く際の心得・すべきことを10項目にしぼりました。

しっかり確認・準備をしてからボランティアに行きましょう。

①被災地のボランティア状況を確認すること

冒頭でもお伝えしましたが、被災地によってニーズも異なります

例えば下記のような項目に制限がある場合があります。

  • 受け入れ人数
  • 参加者の居住地

そのため、ボランティアに参加する前に、被災地のボランティア募集状況を確認しましょう。

全社協 被災地支援・災害ボランティア情報

現地に出向く前にボランティア保険に加入すること

被災地へのボランティアに参加する時は、前もって「ボランティア保険」に加入しておきましょう。

自分が住んでいる区域の「社会福祉協議会」で加入できます。

現地で加入することは、現場の受け付けを混雑させてしまい、復旧作業の妨げとなる恐れがあります。

 ③十分で適切な装備を用意すること

ボランティアに行く人は、自前で装備を準備する心構えが必要です。大きな水害の後は、乾いた汚泥が飛散したりします。

7月豪雨の後は梅雨明けしているので、熱中症対策が絶対に不可欠です。

装備を準備するにあたって、「水害ボランティア作業マニュアル」(日本財団、レスキューストックヤード発行)が大変役に立ちます。

出典:レスキューストックヤード 災害ボラの予備知識

図解で詳しく分かりやすい形で載っているので、必ず目を通しておきましょう。

④食料は自分で持参すること

被災地では流通網が寸断していたり、断水している地域が数多く存在しています。

支援物資は被災者のためのものなので、外部者として被災地に入るボランティアの方は、自分の食料と飲み物は持参しましょう。

飲み物は最低でも1.5ℓは必要です。

携帯食など食べやすく、持ち運びやすく、保存が効くものを持参しましょう。

宿泊先確保をしておくこと

複数の日程でボランティアに参加する場合は、宿泊先を確保することが大切です。

しかし、被災地の宿泊施設は、被害の影響で営業を停止している場合も考えられます。地域によっては、宿泊施設が少ないところもあるでしょう。

⑥現地では安全な水を飲用すること

浸水した地域ではなくても、井戸水は汚染されている可能性があります。

水質検査で安全が確認されるまでは飲用しないように努めましょう。

家屋の貯水タンクの水の安全性に関しては、水道配管の破損状況を確認してください。そうしないと、水道水が汚染さしているかどうかが分からないからです。

煮沸消毒をすることで緊急的な感染対策にはなりますが、なるべく飲用はしないでください。

市販ペットボトルの飲料水を選択するのが何よりの優先事項といえます。

安全な水を十分に確保できない場合、行政や支援団体などに要請して、速やかに支援を受けられるよう行動しましょう。

また、被災地では衛生に加え、節水も大切です。

例えば食器などは次のような工夫ができます。

  • 使い捨てができる紙皿やアルミホイルの使用
  • 食器にラップを巻いて使用する(食器を洗う水を節約する)

 

⑦利用できるトイレの数を確認し、そこでの規則を守ること

どのような被災であったとしても、避難所のトイレ不足は非常に多く起こります。

特に女性は、遠方まで出かけてトイレを探しに行く必要があるなど、大変な苦労を強いられる傾向があります。

高齢者にとっても、使い慣れていない野外に設置されたトイレは使いにくいと感じる場合があります。

トイレの我慢のために水分摂取を控えると、猛暑の中では、熱中症にかかりやすくなります。

誰でもが活用できるようにトイレを整備することは、被災地の感染対策において一番大切なことです。

トイレを使った後は、手洗いをしっかり行い、トイレと居住している場所の履物を別々にするよう工夫しましょう。

最低限の衛生状態を保つには、簡単に思えますがとても大切なことです。

発熱、咳、嘔吐や下痢といった症状が出た時は、すぐに医師の診察を受けること

人を助けたいという気持ちが先走るのは分かりますが、自分の健康管理が疎かになっているとかえって迷惑をかける可能性もあります。

大きな災害の後の避難生活では、感染症が流行してしまい、それに罹ってしまう可能性もあります。

今回の平成30年7月豪雨による被災地においても、感染症についての不安が広がっていくことが懸念されています。

とはいえ、決して被災地は衛生状態が必ず悪くなるということではありません。

むしろ、自治体において、衛生面や環境管理の配慮が入念になされるのが一般的です。

適切な支援体制を取ってさえいれば、特殊な感染症が流行することはありません。

日常生活の延長線上で、どのような感染症のリスクがあるかを考え、事前に対策をきちんと取っていれば十分に対応できます。

しかしながら、「発熱、咳、嘔吐や下痢」といった症状が出た場合、感染症に罹った疑いがあるので、早期の診察と治療が求められます。

ボランティアに出向いた自分自身が感染症の媒介者になってしまわないよう最大限の注意を払いましょう。

このような状況で避難所でマスクを着用することは、周囲の方々が感染症にならないためにも、自分の健康管理のためにも役立ちます。

高齢者の立場に立って避難生活の環境を整えること

避難生活の環境をしっかりと整えることは非常に重要です。

特に、高齢者が床面に直接座り続けること、硬い床面に横たわった状態で一日を過ごすこと、テーブルと椅子が十分に用意できず、無理な姿勢で食事を取ることは、心理的、身体的な負担になるケースもあり得ます。

何もせずにじっとしていることは、精神的な苦痛をもたらすだけでなく、身体機能の衰えを促すことになりかねません。

なるべく避難所の外で生活必需品を配布して、歩行が出来る高齢者の方には自ら取りに行ってもらうなど、なるべく普段の生活に近い形で身体を動かせるよう配慮しましょう。

また、皆で一緒に食事を取って会話することは、孤独感や孤立感が解消され、メンタル・ケアにつながるでしょう。

⑩傷口から感染する破傷風に気をつけること

床下浸水などの土砂を取り除こうとして、その中に生息する破傷風菌が、傷口から体内に侵入することで感染して破傷風を発症することは、大きな災害の後にしばしば見受けられます。

※家の中に流入した土砂、土壌は、細菌の塊だと認識しておいてください。適切な洗浄が必要となります。

被災後に身体(特に手足)が傷ついた状態を放置して、復旧作業に取り組んでしまうと、破傷風にかかりやすくなります。

洪水による浸水が起こった場合、土壌環境が悪化しているので、破傷風菌にさらされやすくなっています。

手足に傷があると気づいた際には、絆創膏や包帯などで傷口をふさぐように処置をしてください。

傷口を汚染した土壌につけてしまった場合は、救護所の医師に相談した方が良いでしょう。

災害ボランティア 10か条まとめ

①被災地のボランティア状況を確認する
②現地に出向く前にボランティア保険に加入する
③十分で適切な装備を用意すること
④食料は自分で持参すること
⑤宿泊先の確保をしておくこと
⑥現地では安全な水を飲用すること
⑦利用できるトイレの数を確認し、そこでの規則を守ること
⑧発熱、咳、嘔吐や下痢といった症状が出た時は、すぐに医師の診察を受けること
⑨高齢者の立場に立って避難生活の環境を整えること
⑩傷口から感染する破傷風に気をつけること

 

また、ボランティアの方が、被災地に病原体を持ち込まないように気をつけることも大切です。

ボランティアの方が不必要に避難所内に立ち入らないようにし、物資の受け渡しは、なるべく入口で済ませて、避難所の専属スタッフに任せるようにしてください。

このことは、被災者のプライバシー保護を考慮してだけでなく、感染症対策としても大きな意義があります。

以上を踏まえた上で、危険な行動は取らず、安全を最優先して、現地の皆さんに感謝されるような礼儀正しいボランティアを行ってください。



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