平成30年台風第21号は、25年ぶりの「非常に強い」勢力を保ったまま9月4日に日本に上陸し、近畿地方を中心に大きな被害をもたらしました。
日本の南海上は海面水温が27℃以上あり、台風の発生、発達に十分過ぎるくらいの温かい水温を保っています。また、対流活動が活発なエリアで台風が発生すると、発達を続けて北上することになります。
(出典:気象庁)
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2018年9月 非常に強い勢力の台風21号が関西を直撃
2018年は、8月に発生した台風の数は9個となり、これは1951年統計開始以来2番目に多い数です。台風21号は速いペースで発達し続け、8月31日9時には「猛烈な」勢力に発達しました。
この後、非常に強い勢力を保ったまま9月4日12時頃徳島県南部に上陸し、14時頃には兵庫県神戸市付近に再上陸しました。
この四国上陸から神戸への再上陸の12時~14時の間が、関西全域にとって台風被害の悲劇の真っ只中となってしまいました。
台風の接近に伴って、近畿、北陸、東海を中心に記録的な暴風となり、最大瞬間風速は全国99地点以上で観測史上最大を記録しました。
さらに、大阪湾と紀伊水道の沿岸では記録的な高潮となり、6地点でそれまでの観測史上最高潮位を超えました。大阪と神戸では1961年の第2室戸台風時の記録をも超える高潮となりました。
低気圧に伴う海水面の吸い上げ効果と、強い南風による吹き寄せ効果がその原因とされています。
台風による暴風は、関西国際空港で58.1メートル(4日13時38分)だけでなく、大阪府大阪市でも、47.4メートル(4日14時03分、約50年ぶりの記録)となりました。
また、高潮の最高位は、大阪府大阪市が329センチ、兵庫県神戸市が233センチ、和歌山県御坊市が316センチとなっており、いずれの地点も過去の最高潮位を越えています。
不幸中の幸い 2つの要素
不幸中の幸いだったのは、二つの要素があると考えています。
①台風の進行スピードの速さ
まず一つ目に、台風の進行スピードが非常に速く、ひとつの場所を通過する時間が短かったことです。これにより、内陸部、沿岸部の両方共に被害がやや減退されたと推測しています。もし台風がゆっくりと進行していたら、被害はさらに拡大し、多くの家屋が吹き飛ばされていた可能性があります。それくらい体感的には、かつて誰もが経験したことがない恐ろしい有り様でした。
②上陸のタイミング
そして二つ目は、満月や新月のタイミングを外れていたので、満潮時における海水面の潮位の上昇が、想定される最悪の事態を免れたことも、大阪や神戸の内陸部が浸水被害に遭わなかった理由として考えられます。
満月や新月の時期には、引力の影響でもっと強く海水面が上に引っ張られ、満潮時にはさらに潮位が上がります。すると高潮の被害は想像を絶するものとなっていた危険性があります。
そうした高潮被害の最悪事態を避けることができたこと、加えて、台風の通過スピードの想定外の速さが、高潮被害を最小限の沿岸部だけに食い止めることができた幸運に結び付いたのだと思っています。
今回の台風は、再び発生するであろう「高潮被害への対策という課題」を熟慮する時間的余裕を提供してくれたのだと解釈しています。
関西における台風21号の被害状況
死者9人 行方不明者0人 負傷者467人(重傷27人、軽傷422人、程度不明18人)
住家の全壊1棟、半壊3棟、一部破損1068棟、床上浸水3棟、床下浸水20棟
公共建物被害1棟、その他比住家被害42棟など
大阪府堺市や河内長野市、吹田市では、屋根やベランダを修理しようとして転落により怪我あるいは死亡というケースが多くありました。兵庫県西宮市甲子園浜2丁目では、高潮による浸水の後、約100台の中古車が炎上しました。神戸市の六甲アイランドでもコンテナが炎上しています。芦屋市などでは流出したコンテナが漂着したという報告が入っています。
また、大阪府咲洲庁舎付近で車20台以上が横転するなど、強風により各地で車が吹き飛ばされたり横転したりする被害が発生しています。
強風による直接的な人的被害としては、大阪港区で飛来したスレート材が窓ガラスを突き破って破片が当たり、死亡者が出ています。
京都府京都市ではJR京都駅の中央改札口付近で、駅ビルの天井ガラスの破損により3名が負傷しました。
(動画出典:朝日新聞デジタル)
最大風速58.1メートルを記録した関西国際空港の被害状況
関西国際空港では、高潮によって滑走路やターミナルビルが浸水し、停電などで閉鎖されました。
その時、屋内アナウンスや情報開示が機能せず、日本人・外国人を合わせて8000人が関空内に取り残され、停電でクーラーが全く利かず、暑くて寝苦しい一晩を過ごす事態となりました。
次の日に、屋内アナウンスや情報開示もなく、高速船で神戸方面へ、あるいは泉佐野駅へのシャトルバスで大阪府内に戻るために、バス停における待ち時間で6~8時間以上かかりました。それでも全員が1日で無事に関空から出られたとは限らず、次の日のバスの運行でようやく帰路に着けたという方々も数多くいました。
生活インフラは完全に復旧できているのか?
関西の大阪府、和歌山県、兵庫県など8府県で約160万8000戸、東海の愛知県、岐阜県など5県で約69万5320戸、北陸の富山県など4県で約1万3930戸が停電しました。
強風による電柱の倒壊が相次いだり、電線が切れたり、電柱の変圧器に飛来物が当たって故障したことなどが原因です。
福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の2府5県で800本の電柱が折れる被害が出ており、台風被害としては平成で最大となっています。
福井を除いた約5万1千戸で停電が長期化する見込みとなっています。2018年9月9日の5時30分時点で、未だに大阪府の多くの地域では電力が復旧していません。和歌山県も同様です。
大阪府・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県の停電情報
大阪府全域:約11,970軒
大阪市全域:約20軒 平野区:約20軒 岸和田市:約2,790軒 泉大津市:約90軒
高槻市:約50軒 貝塚市:約330軒 泉佐野市:約1,950軒 大東市:約10軒 和泉市:約5,930軒 箕面市:約110軒 泉南市:約460軒 四條畷市:約10軒 交野市:約20軒
泉北郡 忠岡町:約210軒 泉南郡 熊取町:約10軒
台風通過から3日が過ぎた9月7日現在でも完全復旧に至っていません。交差点700カ所以上で信号が点灯しなくなる障害が発生しています。スーパーや医療機関が利用できなくなり、学校の休校も相次いでいます。日常生活への影響は計り知れない程に大きくなりました。
大阪府泉南市内では、停電だけでなく、何本もの電柱や道路標識が折れ、道路が数百メートルに渡り塞がっているところもあります。飲食店やガソリンスタンドが軒並み休業していたり、営業するコンビニに客が殺到して食料品の棚が空になっている場所も生じています。
(動画出典:被害地地域の方の投稿)
紅葉の季節における関西地域の台風21号の爪痕【11月13日更新】
大阪ミナミの繁華街の入口
南海難波駅からすぐのスクランブル交差点近くにあり、終日多くの人や車が行き交う場所に、強風で外壁や屋根などが崩れ、がれきが積み上がった木造2階建の空き家が放置されたままになっています。大阪市は所有者を捜していますが、未だ特定できていません。
(画像出典:産経新聞)
大阪府と奈良県との境に位置する葛城山・金剛山・生駒山
関西各地のハイキングコースで被害が相次ぎ、通行止めになるなどの影響が出ています。そのため、紅葉のシーズンを迎えていますが、来訪者が減った状態が続いています。
台風が通過する前には存在していた橋が流失したり、大きい岩や倒木で道のあちこちが塞がれたままの場所があちこちにあります。大阪府は職員を派遣して、倒れた木をのこぎりで切るといった活動を行っていますが、山の中には険しい場所も多く、完全な復旧には時間がかかる見込みです。
倒木の撤去には、山中の土地所有者の承諾を得る必要がありますが、権利関係の把握に難航しています。
金剛山の入口付近は、登山道の復旧が完了していますが、山林の中の登山コースは倒れた木に道を塞がれ、通行に支障がある場所も少なくありません。
生駒山でも同様の被害があり、大阪府は危険な場所について山歩きの自粛を呼びかけています。
大阪北部の箕面山でも、自然歩道沿いに植林されたスギやヒノキが次々となぎ倒され、「倒木多数。通行はお控えください」という張り紙をしたり、立ち入り禁止のテープを貼ったりして通行規制を行っています。
京都の観光名所 鞍馬山の由岐神社・貴船神社
京都府の鞍馬山にある由岐神社では、1千年以上続くとされている「鞍馬の火祭」が、台風21号の影響で中止されました。本来であれば、毎年10月22日に行われています。
(画像出典:京都新聞)
倒木が山道を塞いでおり、非常に多くの木々がなぎ倒されたままになっています。
鞍馬寺と由岐神社のある鞍馬山では、暴風の生々しい傷痕が残った状態です。
鞍馬寺の本殿までは10月27日からケーブルカーで参拝できるまでに復旧しました。
由岐神社より先の参道は通行止めのままで、11月中旬の復旧を目指しています。
ところが、本殿から貴船に至る奥の院方面は、復旧の見通しがまだ立っていません。
台風21号の被害に遭われた方が火災保険を利用する際の留意点
火災保険を扱っている損害保険会社は、それぞれ独自の商品を販売しています。
そのため、サービスの内容が会社によって異なり、同じ補償内容ではありません。
また、火災保険の加入や見直しをする際にも、複数のプランのうち、いずれか一つのプランを選択する必要があります。
具体的には、水災(水害)を補償してくれるプランと、そうでないプランがあります。
また、水災(水害)を補償してくれるプランの中でも、さらに細かく内容が分かれています。
補償してくれるプランの内容は、次のように区別されています。
水災を補償する契約で、火災保険の対象が建物の場合
- 洪水で床上浸水し、建物が損傷してしまった。
- 集中豪雨の影響で、土砂崩れが発生して、建物が全損になった。
- 住んでいる近くの河川が氾濫して、建物が床上浸水の被害に遭った。
水災を補償する契約で、火災保険の対象が家財の場合
- 床上浸水によって、半数以上の家具が使えなくなった。
- 床上浸水によって、1階の家電製品や家具が使えなくなった。
・建物と家財の両方を補償してくれるプランに加入しているか。
・どちらか一方だけ補償してくれるプランに加入しているか。
・どちらも補償してくれないプランに加入しているか。
によって、水災(水害)に対する補償の内容が変わってきます。
どの場合であっても、単に建物が老朽化したことで発生した雨漏りは補償対象になりません。
次に台風や竜巻に対するプランの区別を見ていきます。
風災を補償する契約で、火災保険の対象が建物の場合
- 台風、竜巻等による強風によって、屋根瓦が破損した。
- 台風、竜巻等による強風によって、飛んできたものが家屋を直撃して、外壁が破損した。
風災を補償する契約で、火災保険の対象が家財の場合
- 台風、竜巻による強風によって、窓ガラスが割れて、風雨が入り、家電製品が壊れてしまった。(うっかり窓を閉め忘れていた場合は、補償の対象外)
・建物と家財の両方を補償してくれるプランに加入しているか。
・どちらか一方だけ補償してくれるプランに加入しているか。
によって、風災(台風、竜巻)に対する補償の内容が変わってきます。
住宅(家屋)を対象とする火災保険については、台風で屋根瓦が破損したり、飛んでしまうような風災による損害は補償対象となっているプランがほとんどです。
ただし、自己負担額なし、自己負担額を選べるといった形で、補償の充実度を変更できるケースもあります。
一般的に、火災保険が適応されない場合は以下の通りです。
・過去5年以内に屋根修理や外壁塗装・外壁張替えを含む修理をしている
・修理が必要になった日から3年以上経過している
・修理費用が20万円以下である
・保険契約者、被保険者等の故意もしくは重大な過失または法令違反がある
・経年劣化(サビ、ひび割れ、コケ、カビ、塗装剥離など)が明らかである
(特に建築後30年以上が経過している)
修理業者が作成する見積もり書には「足場組み立て費用」を必ず見積もり項目に入れてもらうようにしてください。そうすれば、修理費用が20万円以上にはなるはずです。
屋根の修理業者は「金属屋根の工事業者」と「瓦屋根の工事業者」があり、それぞれ得意分野、不得意分野を持っているケースが多いです。
外壁の修理業者は、費用面だけに限らず、「親切丁寧に対応してくれる」「見積書が見やすく作られている」ことを選ぶ上での基準にしましょう。
「今使われている屋根・外壁(修理・補修)」や「新たに使おうとする屋根・外壁(リフォーム)」によって依頼する業者を適切に選ぶようにしてください。
火災保険の加入や見直しを検討しているのであれば、「火災保険の窓口」は無料で火災保険に特化した一括見積もりを行っているので、非常に心強いです。
人気の高い火災保険ランキングで紹介されているサービス内容の充実した保険会社がズラリと並んでいるので、ぜひご覧ください。
「ネットからお申し込み→電話にて保険内容の詳細ご確認→見積もりのご提示→比較検討/契約」
という一連の流れになっています。
火災保険は自分の住まいに合ったサービス内容を的確に選ぶことがとても重要です。
何かあった際には担当者の方が窓口になってくれます。加入時だけではなく加入後も安心できます。
サービス内容をしっかりと比較して、火災保険の加入や見直しを検討しましょう。