自然災害・環境問題

台風21号の暴風でタンカーが関空連絡橋にぶつかる!




4日午後1時半頃、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋(大阪府泉佐野市)に、タンカー「宝運丸(全長89メートル、2591トン)が衝突しました。

第五管区海上保安本部によると、タンカーは積み荷の航空燃料を関空に下ろした後、連絡橋南側の海上で「碇(いかり)」を降ろして停泊していましたが、台風21号の猛烈な強風に流され、タンカーは漂流して関西連絡橋と平衡の状態でぶつかってしまったのです。

乗組員11名は無事 タンカー船が関空連絡橋に衝突

「宝運丸」が衝突したのは関空側から20メートル付近で、船体の右舷側側が連絡橋にめり込み、連絡橋の一部がひしゃげるように破壊されました。

(動画出典:時事通信社)

関空では観測史上最大の58.1メートルを記録していたこともあり、海上保安庁の関係者は「強風で一度漂流し始めると、操縦して立て直すのは難しく、なす術がなかったのではないか」と話しています。

タンカーは停電してエンジンが動かせず、自力航行ができない状態となったため、翌日に他船の力を借りて、現場から脱出しました。

タンカー内には怪我人はおらず、皆無事で何より安心しました。

ところが、いくつかの課題が残ったままとなりました。

①タンカーを安定して固定するための碇(いかり)がどうしてすぐに外れたのか

②燃料の積荷を降ろした後、それに変わる同重量の水のコンテナを積んでいたら簡単には流されなかったのではないか

③もし連絡橋から遠いところに停泊していたら、事故は防げたのではないか

という疑問点が浮上しています。

台風から14日後 関空連絡橋の鉄道が復旧

西日本高速道路会社は6日、タンカー衝突で通行止めになっている関西国際空港のアクセス道路である関空連絡橋7日午前3時に復旧すると発表しました。ただマイカーは走行禁止とし、バス便とバス便利用が困難な人が乗車するタクシーは走行できます。

また、関空から大阪府内の対岸へ向かう方向は南海泉佐野駅・JR日根野駅と空港を往復する臨時シャトルバスが運行されています。

そして、関西空港に停めていた車に限り、関空連絡橋を通り関西空港道、阪和道や阪神高速湾岸線にアクセスできるようになりました。

国土交通省は7日、台風21号で被害を受けた関西国際空港の早期復旧を目指した「関西国際空港の早期復旧等に向けた対策プラン」を公表しました。その中で、タンカーが衝突するなどして損傷し再開の見通しが立っていなかった関空連絡橋の鉄道部分については、概ね4週間後を目処に運行を再開を目指す方針を示した。

同省の発表によれば、鉄道部分については鉄道部分に寄りかかった道路橋の撤去作業を行った後、速やかに鉄道橋の修復が行われる計画となっています。

道路の損傷部分については、鉄道によりかかった道路橋の撤去に2週間、後に損傷を受けた下り線橋梁の工事を始め、復旧時期を確定する予定です。

JR西日本、南海電鉄は7日、復旧の目処が立ったため8日の始発列車から、JRは関空快速の天王寺~りんくうタウン駅間、南海は空港線の泉佐野駅~りんくうタウン駅間で始発から運転を再開しています。

空港については、浸水するなどの被害を受けたA滑走路を9月中旬をめどに暫定運用していく方針で、日本航空や全日空の国際線、国内線の運航、ピーチや春秋航空の定期便をさらなる回復を目指すとしています。

また、インバウンド(訪日外国人旅行者)の代替の空港として、伊丹空港や神戸空港への国際線・国内線の振替を想定中しており、物流関係では成田空港や中部国際空港の増便にも対応していく予定です。

【9月24日更新情報】関空連絡橋を通る「りんくうタウン駅~関西空港駅間」についても、9月18日からJR・南海電鉄ともに運転が再開されました。

空港の運用についても、はじめは被害を受けていないB滑走路で運用を再開し、A滑走路も9月14日に運用を再開。ターミナルは、第2ターミナルが9月7日に、第1ターミナル南側は9月14日に運用再開。残る第1ターミナル北側も9月21日に再開し、関西空港は全面復旧となりました

関西国際空港連絡橋の高速道路下り線は2019年4月末のゴールデンウイーク前に復旧させるとの目標を発表しました。タンカーが衝突して大きな被害を受けた橋桁は再利用可能な一部を除き新たに建造することになります。

渋滞防止のため、マイカー、レンタカーの通行を禁止し、タクシーも原則通行できません。来年のゴールデンウイークまではこういう状況が続きそうです。



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