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ビート・ホールディングスを巡る買収騒動「ノア」VS「Wowoo」VS「マッコーリー」(後編)

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マッコーリー銀行は、シドニーに本拠地を構えるオーストラリア最大の投資銀行で、総資産は368億オーストラリアドルを保有しています。銀行業務、M&Aアドバイザリー業務、株式・リサーチ業務など全世界で幅広い金融業務を提供しています。28ヶ国に70拠点、約15500人の従業員がいます。

アジア太平洋地域におけるブランド力はは極めて高く、交通、水道、エネルギーなど、インフラ専門ファドを世界各国で多数運用しています。

日本においては、近畿日本鉄道から譲渡を受けた伊吹山ドライブウェイを子会社を通じて運営しており、仙台空港の民営化に伴って、その運営企業として名乗りを上げています。

https://norain-norainbow.work/?p=626

ビート・ホールディングスがマッコリーと手を組む!?

このような巨大投資銀行のマッコリーが、ビート・ホールディングスに対して、第三者割当を内容とする資金調達の提案を行い、双方の合意に至ることが決定しました。

第三者割当とは、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与える増資のことです。

第三者割当による増資は、会社の株主資本を充実させ、財務内容を健全化させることにつながります。

(※増資=企業が新たに株式を発行して事業の元手となる資本を増やすこと)

第三者割当による増資は、敵対的買収の対象となった会社が、買収会社の持株比率を低下させるべく、防衛策の一環としてホワイト・ナイトの助けを借りる目的で行われる場合もあるのです。

その代わりに、第三者割当による増資は、既存株主にとって持株比率が低下するだけでなく、不公正な価格で新株発行が実施された場合に経済的な不利益を被る恐れもあります。

特に新株を「特に有利な価格」で発行する場合は、株主総会でその理由を開示して特別決議を経る必要があります。

そのため、マッコリーからの資金調達が上手く行くかどうかは、次の株主総会の決議にかかっていると言えます。

マッコリーと手を組むことがビート・ホールディングスの経営母体にとって有益な点は、Noahの株主提案やWowoo の提案とは異なり、「業務提携を伴わない資金調達」であることです。

ビート 新たなビジネス・モデルになるか?!

ビート・ホールディングスとしては、Noahとの資本業務提携にしても、Wowooとの資本業務提携にしても、「暗号メッセンジャーや財布機能サービスの開発、そしてユニバーサル・ヘルス・ブロックチェーン・エコシステムの開発」を速やかに進めるために資金調達を行いたいという意図があります。

IT企業による情報漏洩問題など、各種の情報伝達手段のセキュリティー対策への意識が高まるにつれて、既存のメッセンジャー・アプリを使用することへの懸念が広がっています。

そこで、個人のセキュリティーやプライバシーを守る事業開発を進めるビート・ホールディングスにとっては、新たなビジネス・モデルのチャンスなっているのです。

世界初レベルの機密性があり、電子商取引にも利用できる「財布機能」を搭載し、ICOのコミュニティー管理機能を有するプラットフォームとして使用できる暗号メッセンジャーを開発中のビート・ホールディングスにとって、こうした分野に詳しい仮想通貨運営母体は、頼もしい支援組織になる可能性を秘めています。

とは言え、Noahのように「乗っ取り」買収をされてしまっては、自社努力が水の泡となってしまい、自由にに事業活動が出来なくなる恐れもあります。

ビート・ホールディングスが開発を進めているInphoMessengerは、スマホのiOSやAndroidに対応しており、ユーザー間でメッセージを送受信できるだけでなく、機能性をさらに拡張していく方針です。

ビートに必要なのは資金調達

既存株主の多くが、Noahの株主提案やWowoo との提携に不安を抱いており、もし株主総会の議決で、この2グループとの資本業務提携がどちらも承認されない場合、自前で新規事業の開発を行う必要があるとビート・ホールディングスは考えています。

その代わりに、開発には必ず資金調達が必要不可欠となります。

そこで、マッコリーに第三者割当を行い、資金を開発に充てることで、独自の事業計画を進めようとしています。

また、上記の暗号機能を使用したメッセンジャーや財布サービスだけでなく、アプリ・データ分析や人工知能、ヘルス・コーチングを通じて、世界においてリーディング・カンパニーとなることを目指しています。

まとめますと、

暗号メッセンジャー及び財布機能

端末間のメッセージの暗号化

音声通話の暗号化

仮想通貨の財布機能

仮想通貨による電子商取引

コミュニティー管理機能

ブロックチェーン対応

などを本格的に開発し、事業として成功させていく方針のようです。

また、ビート社は、シンガポール政府が国民に対して運動を促す国家プログラムのためのフィットネス・ウェアブルを40万本以上を既に販売しており、国家プログラムのためのモバイル・アプリの開発も行っています。

ユニバーサル・ヘルス・ブロックチェーン・エコシステム事業は潜在的な需要が多いと見込んでおり、保険会社、健康関連会社及び政府を顧客とすることを目指しています。

こうした新事業の商業化を進める上で、関連技術開発の資金調達に加えて、事業化を効率的かつスピーディに実施するためにもノウハウを有するグループと協力関係を構築することが有用だと、ビート・ホールディングスは当初考えていましたが、パートナー選定は将来必要に応じて行い、資金調達を確保することが喫緊の課題だという認識に変わりつつあります。

そこで、既存株主の方々に、NoahやWowooとの資本業務提携を承認してもらえない場合は、代替プランとして、会社の事業内容や方針には干渉しない金融機関を選定することが、最も利益に資するという判断に至ったようです。

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ビートが資金調達にマッコーリーを選んだ理由

ビート・ホールディングスは、資金調達先としての金融機関の中からマッコーリーを選んだ理由は、財政状態の厳しさを踏まえて銀行など通常の金融機関からの借入は難しいこと、マッコーリーは同種の投資案件の経験が豊富であること、過去にマッコーリーとの間で新株予約権の第三者割当を行っているので、事業内容に関する一定の理解があることを挙げています。

つまり、マッコーリーとの間であれば資金調達の実行が円滑に進められると考えているのです。

ビート・ホールディングスの株価を見ながら適切な時期で新株予約権の行使を要請することにより資金調達が望めることから、マッコーリーに対する第三者割当は、関連技術開発の資金調達という目的に照らせば会社のニーズに合致したものであると判断しているようです。

以上が最近出されたIRの概要となりますが、次回の株主総会が開かれた時の議題となるのは、3つです。

  1. Noahグループによる買収提案を受け入れるのか
  2. Wowooとの資本業務提携を受け入れるのか
  3. NoahともWowooとも手を組まず、マッコーリーからの資金調達を行うことで独自路線を目指すのか

これらの提案は、どれも大規模な普通株式&新株予約権の第三者割当増資による資金の調達を予定しています。加えて、お互いに相容れない内容になっているため、株主は総会で、「いずれか1つのみを承認する」か、「いずれも承認しない」判断をすることになります。

ビート・ホールディングスとしては、Wowooが健康医療関連のエコシステム分野で知見を持っており、直接的なシナジーが見込めるのに対し、Noahとは直接的なシナジーを期待できない上に、不公平な条件を突きつけられているため、Wowooとの資本業務提携が企業価値増大に寄与すると考えています。

そのため、②のWowoo資本業務提携の提案にかかる議案の承認を望んでいます。

③の場合、最終的な新株予約権の発行数は、13,000,000個となることを想定しており、その行使により発行される株式数である13,000,000株はビート・ホールディングスの現在の発行済普通株式総数の約48.78%に相当します。

つまり、約半分を占めることとなり、経営陣が保有する株式と併せると優に過半数の51%を超えることは確実となります。

これは、「買収騒動(前編)」で説明したように敵対的買を阻止できる手段として大量の新株予約権をマッコーリーに発行するという意味で、ポイズンピルに近い防衛策となっています。

ただし、マッコーリーからの資金調達を受けるためには、株主総会で上記①と②の議題が株主によって否決されなければなりせん。

今でも筆頭株主は、Noahグループであり、彼らがどの大株主とつながっているのか、まだ不透明な部分もあります。

また、東証2部の証券取引所を通じて、株式の過半数取得を目指して動く可能性も残っています。財務基盤の脆弱さを除けば、資金力が豊富なNoahグループにとっては、それだけ上場企業を買収できるメリットが大きく、世界中に強いインパクトを与えることになるからです。

また、③が決定したとすると、株式の希薄化は非常に大きなものとなり、株価の上昇を妨げる恐れもあります。

株主総会で①のNoahグループとの議案を一番最初に持ってくるのは、ある意味では、優先順位が高いから、という深読みも出来なくはありません。

表面的には、ビート・ホールディングスが独自経営を望んでいるように見えても、実際的にはNoahグループのように肉食的なパートナーが必要と考えている幹部がいるかもしれません。また、議決権の比率によっては、公表されている大株主だけではなく、個人投資家の票で議案が決まることも考えられます。

もし、すんなりと①もしくは②の議案が決まってしまえば、③の議案が通ることはありません。

しかし、①と②の議案が否決され、③の議案が通ってしまうと、将来的に新株がジャブジャブに発行されてしまい、ビート・ホールディングスから株主が離れていき、業績が改善しないまま会社が苦しむことも想定されます。

マッコーリーはNPO法人でも慈善団体でもありません。安値で買って高値で売り抜けるファンドに近い存在なのです。半永久的にビート・ホールディングスの株式を48.78%保有し続けるとは考えられません。

となると、中長期的に、筆頭株主のNoahグループが、マッコーリーの売却した株式を淡々と取得し続けて、再び筆頭株主になる可能性も残されています。

当面は、証券取引所において、ビート・ホールディングスの株価の動きがどう動くのかによって、かなりの推測が出来ると考えています。

Noahグループが浮動株をどんどんと吸い上げて買い漁るようだと、①の議題が決まることを本気で望んでいる、というNoahグループの意向が分かります。

プレスリリースでは、業務提携や資金調達の議題が決定される臨時株主総会は、株主としての登録を6月23日を基準日とする旨が明記されています。つまり、議決権を保有する割合は、この日の株主名簿で決まっています。

とはいえ、臨時株主総会が始まる時点までに、さらに持ち株を増やしていたら、株主総会が終わった後であってもNoahグループが強い発言権を持っていることが推測されます。

あるいは、Noahグループが、ビート・ホールディングスを公にTOBにかけるという方法もあり得なくはありません。本気で欲しい企業であれば、持ち駒としてそのような手段を使う準備をしている可能性もあります。

ビート・ホールディングスの命運を左右する臨時株主総会(定時株主総会も同日)は、10月5日です。その日までに株式市場でどのような動きがあるか、世界中が固唾を呑んで見守っています。仮想通貨の運営組織が、上場企業を買収するような事態にすれば、必ず同様の事例が出てくることが予想されるからです。

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【9月7日追記】

プレスリリースにて、主要株主に異動がありました。
筆頭株主 Noah Ark Technologies Limited
Noahが保有する当社の普通株式の一部を市場外で第三者に譲渡する旨の通知を受け、本日当該譲渡がなされたため、以下のとおり、Noahは当社の主要株主ではなくなることを確認しました。株式保有比率がまだ9.9%ですが、Noahとしてはビートに対する熱意が冷めたように見える内容です。臨時総会前に何か裏口合わせがあった可能性もあります。本気でビートを買収したいのであれば、臨時総会後を踏まえても、淡々と株式を買い集めていても不思議ではありません。ここまでの情報では、ビートからの反意をダイレクトに受け取った素直な対応と見なすことも出来ます。今後の展開にも注目していきたいと考えております。

【9月26日追記】

ビート株を保有していたノア・アーク・テクノロジーズが全ての株を売却したと発表しました。ノアは10月5日に開くビートの臨時株主総会でノアへの新株予約権の付与を柱とした株主提案を提出しています。ビートはケイマン籍で、ケイマン諸島の法律に基づき、売却後も株主提案自体は有効なままです。

ビート株を売り切ったノアの意向としては、ビート社のノアに対する否定的な態度を踏まえて、総会後に株式の保有絡みでステークホルダーと関係がこじれたり、世論からの心象が悪くなることなどを避けるべく、リスクを最小限に抑え込み、ノーリスク・ハイリターンで10月5日に臨もうとしていると考えています。

【10月5日追記】2018年10月5日、ビート・ホールディングス・リミテッド(東証2部銘柄コード:9399)の臨時株主総会が行われ、その決議内容が明らかとなりました。

株主による投票結果は、マッコーリーへの第三者割当による新株予約権発行が決議されました。

第3号議案:Macquarie(マッコーリー)に対する第三者割当による新株予約権発行の取締役会への授権の提案の件

賛成 14,336,691 反対 4,942,475 可決(全投票に占める賛成割合 74%)

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