現在、世界の多くの国々で、環境汚染が森林、河川、海洋の生態系に与える影響を真剣に考え、対策を打とうと努めています。
その理由は、ほとんどの国で自然の猛威が人々の暮らしを脅かし始めているからです。
これを防ぐための代表的な行動の一つとして、プラスチックを原材料とするレジ袋の使用を規制する動きが活発化しています。
今回は、プラスチック禁止の理由や、地球環境が置かれている現状についてお話したいと思います。
目次
原油を材料とするプラスチックの使用禁止が世界中の国々で始まっている



ところが、昨今では、政府レベルあるいは民間企業レベルで、原油を材料とするプラスチックの使用禁止が相次いでいます。
これは、プラスチック・ゴミが環境汚染に重大な影響を及ぼすため、世界各国で緊急に対処が必要だと判断しているからです。
完全にプラスチックまたはポリエチレンの使用が認められなくなった国や地域もあります。


プラスチックゴミが増え続けると2050年には魚よりもゴミの方がが多くなる
ビニールでできたレジ袋は分解するのに1000年かかり、海洋生物や鳥類をはじめとする生物にとって脅威になるという環境保護団体の見解もあります。
具体的には以下のような事例が起こっています。
1.セレブの観光地として有名なモルディブでは、ウミガメがプラスチック製ボトルの破片を食べているショッキングな写真が話題となりました。
2.プラスチックでお腹がいっぱいになったクジラのニュースが世界中に広がりました。
3.オーストラリアの海岸に打ち上げられた1羽のウミドリの体内から234個ものプラスチック片が出てきたという報道もあります。
4.ウミガメの鼻にささったプラスチック製のストローを抜く痛々しい映像がネットで3000万回以上再生されています。
それだけ、たくさんの人が関心を持ち始めているのです。
ポイ捨てなどで投棄されたプラスチック・ゴミは、最終的に河川などを通じて海洋へ流れ込んでいます。
もし何の対策も講じなければ、「2025年までに魚3トンにつき1トンの比率にまで増え、2050年には、魚よりもプラスチック・ゴミの方が多くなる」というイギリスのエレン・マッカーサー財団の報告もあります。(2016年世界経済フォーラム・ダボス会議)
先進国も発展途上国も相次いでプラスチック製品の使用を禁止している現実
1988年に国土の大半が水没した大洪水が起こったのは、投げ捨てられた大量のビニール袋が排水管を詰まらせたことが原因だと判明したバングラデシュ─では、2002年という早い時期にレジ袋を禁止しています。
また、世界で最も幸せな国として名高いブータンでは、グロース・ナショナル・ハピネス(GNH・国家全体の幸福)を重視する政策で知られていますが、その一環として、2007年にレジ袋や街頭広告などを禁止しています。
先進国においては、2015年にアメリカ・ハワイ州のホノルルで使い捨てのプラスチック袋が使用禁止になったことで、こうした気運が高まってきました。
経済成長著しいインドでは、その発展と同時に環境問題も年々深刻になってきています。そこで、2016年からプラスチック袋、プラスチック皿、カップ、スプーン、ラップといったプラスチック製品を使用したり、売ったりすることができなくなりました。
アメリカ全土やEU諸国でも、大手スーパーで配布されていた使い捨てのレジ袋やスチロール(ポリスチレン)、プラスチックボトルを禁止にする動きが確実に広まっています。
特に2018年は、欧州議会(European Parliament)でストロー、フォークやスプーンなどの食器類、綿棒の柄、風船の持ち手といった使い捨てプラスチック禁止法案が可決されました。
この法案では、プラスチックの皿やカップ、ファストフードの容器などが禁止の対象となっています。
使い捨てプラスチックは海洋や海岸のごみの70%を占めているとして、欧州連合(EU)域内でこうした製品を禁止する採決が行われたのです。
2021年までの発効を望む声がありますが、法案が施行されるには、加盟各国や欧州委員会などで承認を得る必要があります。
なるべくプラスチックゴミを出さない日常生活を送るにはどうすべきか?


今後、世の中の価値観が急速に変わっていく中で、買い物のレジ袋を使う代わりにエコバックを使うことをお勧めします。
スーパーでも、レジ袋を使わない場合、ポイントが貯まったり、5円を余分に支払わずに済むといった工夫がされています。
エコバックを選ぶ際には、たくさんの買い物をして、重たくなった場合でも大丈夫な耐久性のあるものが良いでしょう。
こうした選択は、確かに経済的メリットの面もありますが、それ以上に環境保護を意識するという大義名分の方が遥かに大きいです。
2018年、私達日本人は全国各地で、集中豪雨や強い勢力の台風の被害に苦しむことになりました。
もう既に、地球温暖化や気候変動の影響が確実に出始めているのです。
もちろん、今までの習慣を変えるのは簡単なことではありませんが、新しい害のないライフスタイルを実践していくことは本当に有意義なことです。
例えば、次のような商品は日々の暮らしの中でとても便利です。





こうした気持ちも十分に分かりますが、マイクロビーズは、化粧品・洗顔剤・ボディソープなどの「パーソナルケア製品」に含まれており、その成分の「微細なプラスチック粒子」は殺虫剤などの化学物質が付着しやすいという傾向を持っています。
マイクロビーズを食べた動物プランクトンや魚が、体内に有害物質を蓄積することで、食物連鎖を通じて生態系全体を汚染し、結果的に人間の身体にも重大な影響を与えるリスクが高まっているのです。
消費量の多いプラスチックストローを代替製品に切り替える方法はあるか?
もう一つの深刻な課題として、アメリカ国内での1日のストロー消費量は約5億本で、その多くがリサイクルされずに捨てらているという現状があります。
しかし、プラスチックストローを禁止する動きは、既にスターバックスやマクドナルドといった多国籍企業で始まっています。
日本でも、プラスチックゴミに危機感を募らせる企業が出てきており、ストローがなくても飲める透明のフタに三角の穴が開いている特製の容器の導入が一部の店舗で試験的に始まりました。



東京の原宿にあるハンバーガーショップでは、紙製のストローに切り替え、それを継続しようと努めています。しかし、紙製のストローは、プラスチック製のストローに比べてコストが10倍になるという問題が発生しています。


ガラスのストロー製品は日本で販売されています。例えば、次のような商品です。
お店の飲食店は、プラスチック以外の代替ストローを使う方向に、そして、一般顧客はマイストローを持参する時代が来ているのかもしれません。
お店で買ったお弁当を食べる時にマイ箸を使うことは、いつの間にか普通になってきています。
代替ストローも、気がついたら流行になっている可能性があります。
冬の保温用だけでなく、フィットネスジムでよく見かけるマイボトルも、ごく自然なライフスタイルとして持ち歩きが浸透しています。
基本的に、日本のプラスチック・ゴミのリサイクル率は84%と高い水準を保っています。
とは言え、世界全体では年間800万トンものプラスチックが海に流れ込んでいて、生き物や環境に深刻な被害を与えているという事実があります。

プラスチック汚染を食い止めるためには、日常生活を送る個人と民間企業と政府が力を合わせて取り組まなければいけません。
そうしないと、いつまで経ってもプラスチックに依存した暮らしから脱却できず、最終的には、人間自らが大きな被害を受ける危険性が付きまとうからです。
マイバッグやマイボトルを使用することで、ちょっとした毎日の変化を楽しんでください。
みんなで一緒にプラスチック汚染を止める活動に取り組んでいきましょう。
