コインチェックのNEM流出事件を受け規制を強化している日本の金融庁ですが、現在のところ、まだまだ仮想通貨に関するトラブルが頻発しています。
世界中を見渡しても、ハッキングなどのセキュリティ不全、仮想通貨取引所の横領疑惑、サーバーのシステムトラブルなど、普通に株式や為替で金融商品を売買するのとは違い、大きな「不安定さ、危険性」を伴っています。
さらに、仮想通貨の発行による資金調達をICOと呼びますが、その8割は詐欺案件とも言われています。
こうした中で、仮想通貨市場が健全に育っていくには、規制と法律による明確な秩序と安定が求められます。
昨年に比べて、下落している仮想通貨が多いですが、こうした規制や法律を通じて健全な取引(所)を育成していくためには、仕方のないことでしょう。既にフェイスブックやグーグルなどのIT大手も仮想通貨に関する広告を禁止する意向を表明しています。
株式がそうであるように金融商品取引法などの詐欺案件の出ない仕組み作りが早急に求められています。さもないと、仮想通貨市場が順調に育っていくことはないでしょう。
こうしたネガティブな材料とポジティブな材料で、仮想通貨市場は一喜一憂にさらされています。
もちろん、今をチャンスと捉え、国家プロジェクトとして仮想通貨を幅広く普及、浸透させようとしている動きもあります。
仮想通貨の歴史が今作られている
バイナンスという大手取引所が、香港から日本に移転する予定でしたが、結局はマルタ島に移転することになりました。
まだ法的整備が未成熟なこともあり、ユーザー保護の観点から、金融庁の賢明な判断だったと解釈できる一方で、ブロックチェーン技術の発達や新たなテクノロジーの開発や人材育成を見据えると、少しもったいない話だという見方も出来ます。それ以外にも、交換業登録の審査に時間がかかるため、ICOで資金調達したい企業の海外移転が加速しているという兆候も見受けられます。
この分野に関して、フィリピンでは、仮想通貨特区を作って海外から誘致しようという動きが活発です。エストニア、ベネズエラ、ジンバブエなども国策として仮想通貨を積極的に取り入れることが決定しています。
それとは逆に、インドでは、仮想通貨を規制したい中央銀行と、その推進を容認する高等裁判所といった風に見解が真っ二つに分かれています。
こうしたアクセルとブレーキの拮抗の中で、仮想通貨の歴史が一歩一歩形作られようとしています。
仮想通貨の市場規模
仮想通貨の市場規模は、今現在、時価総額が40兆円ほどですが、将来的にはその100倍の4000兆円になるとの試算も出ています。
これは、実際に2万5000%の運用益を出したファンドの予測なので、あながち無視することも出来ません。
加えて、総資産100兆の巨大金融グループである、アメリカのゴールドマンサックス社も、ビットコインの先物取引を開始します。
ウォール街でも、もはや無視できる存在ではないと思われ始めている模様です。大口の資金が入ってくれば、市場規模はすぐに膨れ上がることでしょう。
ブレーキとなる規制以外の懸念材料があるとすれば、米国債の長期金利上昇と、仮想通貨市場の規模に因果関係が生じるかどうかです。
実際に2018年1月下旬から数ヶ月、ニューヨークダウが暴落を繰り返しましたが、それとほぼ同時期に仮想通貨市場も下落基調が鮮明になりました。
これは、利息の付かないキャピタルゲインだけの仮想通貨と、配当が付く株式、利息が付く債券との違いなのかもしれません。
仮想通貨に投資すべき?
仮想通貨に投資する魅力は、そのボラティリティ(値動き)が大きいことです。
1年で数十倍、数百倍も珍しくありません。言い換えれば、1年で数十分の一、数百分の一もあり得るのです。
大型優良株や優良債券では、こうしたことは起こりません。
こうした面から考えても、仮想通貨は、目下の時点では、リスク性、投機性がきわめて高いといえるでしょう。
その意味では、仮想通貨に関連する株式銘柄を選んだ方が安全だと言えます。
どちらに投資すべき、という訳ではありませんが、脚光を浴びている株式銘柄を探し出すことによって、今、仮想通貨市場では何が起こっているのかを知ることが出来るでしょう。
新たなビジネスモデル
5月16日には、東証マザーズ上場のメタップスが、「三菱UFJ・三井住友・みずほのメガバンク3行と決済事業で提携へ」という情報が出ています。
まだ未確定であり、正式な発表ではありませんが、これらのメガバンク3行が、オンライン決済事業を手がけるメタップスが提供するスマホ決済システムを活用することで合意した、ということです。
子会社のメタップスプラスはCardano(カルダノ/ADA)という仮想通貨と提携しており、モバイル決済プラットフォームにおいてADAの取り扱いが始まると言われています。
多くの銀行口座数を抱えるメガバンクが共通のサービスインフラを使うことで、小売店やユーザーの利便性を向上させ、スマホ決済市場で大きなシェアを確保することは、新たなビジネスモデルの構築につながるはずです。