アメリカ・中国 コラム

アップル製品の中国需要後退と12月ISM製造業景況指数の大幅低下は危機の予兆か!?

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2019年1月3日、アメリカ株式相場は下落して、ニューヨークダウ平均は22686.22ドル(-660.02ドル安)、ナスダック総合指数は6463.50ポイント(-202.43ポイント安)で取引を終了しました。

1.アップル社が中国市場での需要後退を理由に売上高見通しを下方修正したこと

2.12月ISM製造業景況指数が2008年以来の大幅低下で世界的な景気後退への警戒感

という背景により、大幅下落した銘柄が多数ありました。

ISM製造業景況指数は予想に反して大幅低下 アメリカでも景気減速が鮮明に

12月ISM製造業景況指数は、発表前はエコノミスト予想の中央値は57.5と楽観的でした。

(※ISM製造業景況指数は50が活動の拡大と縮小の境目を示します。)

しかし、公表された数値の中身は、構成する5主要指数は全て下げていました。

新規受注は約5年ぶりの大幅低下となり、生産は2012年初め以来の急速な低下でした。

雇用と入荷遅延、在庫の各指数も低下しました。

新規受注は51.1に、生産指数は54.3にそれぞれ低下しています。

いずれも2016年以来の低水準です。

石油価格の下落を反映している可能性もありますが、インフレ抑制を示す新たな兆候として懸念されています。

・不動産・電気通信・サービスは上昇

・テクノロジー・精密機器や半導体・半導体製造装置は下落

といった形でハイテク系IT株が弱いトレンドにあります。

アメリカ株が売られれば当然ながら日本株も売られる傾向が出てくる

年末年始に1ドル=104円まで円高が急速に進行していました。

現在1ドル=107.66円となっているため、日本株への影響も大きくなります。

アメリカ株が売られれば、当然のこととして日本株も売られます。

そして何よりも、ドル安・円高基調が強まります。

2019年は、ネガティブ材料に押さ続けると、1ドル=100円割れも瞬間的に起こり得ると思われます。

異次元の金融緩和をしている日銀にとっては、それはまさに悪夢であり、中央銀行としての誇りを傷つけられる事態ともなります。

2019年は非連続の時間の中で始まったのではなく、2018年と連続した時間軸の中で始まっています。

つまり、2018年をより良く知っておくことが、2019年を予測する上で欠かせない要素となるのです。

激動の2018年を振り返る・2万円で踏みとどまった株式市場と為替市場における動向(1)

激動の2018年を振り返る・2万円で踏みとどまった株式市場と為替市場における動向(2)

2018年と連続した時間軸で始まった金融市場における2019年のトレンド

2018年末にアップした上記の「2記事の見出し」だけでも、2019年のこうしたアメリカ経済の様子を予測することは出来たと思います。

1.アメリカ株式市場が史上最大の下げ幅を記録 日経平均も-1500円の大幅下落
2.短期金利・長期の金利上昇がアメリカ株式市場の冷や水となる VIX指数も上昇
3.3%を目指す長期金利に株式市場は狼狽売り トランプ政権の放漫財政も悪材料
4.アメリカ・欧州・中国で貿易戦争が起こる不安が為替相場にも大きく影響
5.トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争は、1929年の大恐慌の再来となるのか?
6.アメリカの保護主義的な通商政策が、日本・中国の株安と人民元安を招く
7.IMFは貿易摩擦とアメリカの利上げが世界経済の見通しを下押しすると表明
8.原油安が長引くことで潤沢なオイルマネーが株式市場から撤退!?
9.FRBのパウエル議長は機械的にバランスシートの圧縮を淡々と行うと表明!
10.2019年 アメリカは「ねじれ議会」の中で数々の難問に挑まなければならない

ちょうど10項目をピックアップしてみました。

アメリカ経済及び世界経済が良くなるための必須条件は3つある

今後は世界の景気見通しが良くなる必須条件として、

1.アメリカ長期金利の低下、あるいはFRBが利上げを止めると表明すること

2.米中貿易戦争で両国が妥協点を探り、完全合意に達すること

3.将来不安が収まり、原油価格の下落が止まること

の3つが同時に実現することが重要です。

この中でも、最も取り組みやすいのは、米中貿易戦争とFRBによる短期金利操作を時間をずらして行うことです。

つまり、FRBはしばらくの間、ハト派路線の立場で株式市場に優しい言葉を発信し続ける姿勢が求められます。

米中貿易戦争が完全に終わった頃合に、アメリカの実体経済を踏まえて、FRBが利上げでも何でも自由に実行すれば良いのです。

【1月7日更新】1月に入ってすぐ、パウエルFRB 議長は株価の下落を嫌気して、2019年の利上げ凍結もあり得るという発言を行い、日米共に株式市場は好感した動きになっています。ただし、中国の景気停滞リスクは相当に大きく、ここから上値をスルスルと目指していくのは至難の業だと思われます。中国はリーマンショック以降~チャイナショックを経て現在に至るまで、内需拡大政策を取り続け、何と7000兆円規模の債務を抱えているため、手筈の打ちようがないという意見が多く寄せられています。

米中貿易戦争の核心はデジタル戦争という次世代高速通信(5G)の覇権争い

米中貿易戦争は、物品の輸出入を巡って自国第一主義をお互いに主張し合っているだけではありません。中国はアメリカに対して妥協の方向で話を進めたがっています。

むしろ、ファーウェイ問題に代表されるように、次世代高速通信(5G)の覇権争いがハイテク戦争・デジタル戦争・サイバー戦争という形で現れていると考えた方が納得できるはずです。

この技術は、軍事転用にも直結しますし、アメリカ・日本・オーストラリア・ニュージーランドの政府は、ファーウェイやZTEを完全に排除することを決定しています。

イギリスの通信大手BTグループもファーウェイの製品を5Gから排除する方針を採っています。

つまり、アメリカは貿易戦争という大義名分を使って、中国のファーウェイの世界的な躍進を食い止め、出来ることなら潰しにかかろうとしているのです。

今後も、1929年のウォール街株価大暴落の後のブロック経済と似たような状況下に置かれていると最悪の事態を想定すべきだと考えています。

1929年に始まった世界恐慌でブロック経済はどのような機能を果たしたか?

1929年10月24日、ニューヨーク州ウォール街で株価大暴落が発生した後、アメリカ経済に大きな打撃を与えました。

この株価暴落が、不況から世界恐慌へと発展したのは、

1.連鎖的な銀行倒産による金融システムの停止

2.FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の金融政策の誤り

が主な原因です。

当時の経済システムは、「金本位制」によって支えられ、発行できるドルの量は保有する「金」の量によって限定されていました。

アメリカにマネーの供給源である「金」が海外から流入していたにも拘わらず、FRBは通貨供給量を増やそうとせず、金利を引き上げることで、「金」の流出を抑えようとしました。

その結果、金融市場が資金不足となり、銀行が次々と倒産していったのです。

こうした、連鎖的な銀行倒産が世界恐慌をもたらし、各国は自国通貨を守るため「金本位制」を放棄せざるを得ませんでした。

1930年代、恐慌状態の中で各国は植民地を抱え込み、ブロック経済化を進めました。

ブロック経済は、1930年代の大不況期から第2次大戦中にかけて行われました。

その特徴は次の2点です。

1. 世界各国は不況対策として関税を引き上げ、輸入の数量制限を強化した。

2. 自国を中心に複数国によって排他的、閉鎖的なグループを作り,その中だけでの貿易によって経済を運営しようとした。グループ圏内で商品の確保や原料・食糧供給地の確保を行った。

この中で、2018年に始まった米中貿易戦争においては、

1.が関税の引き上げと輸入制限に当てはまります。

2.がファーウェイやZTEを締め出し、IT産業に関する貿易を同盟国だけで行うことに当てはまります。

2001年当時、中国がWTOに加盟したことで、自由・民主主義・法の支配・健全な資本主義を各国は期待していました。ところがそれが見事に裏切られ、失望する結果となりました。

それが今の中国の真の姿、国家資本主義です。民間企業の資本や技術は全て国家のものであり、法の支配よりも、中国共産党の要望が優先されます。

こうした経緯によって、IT技術がアメリカより高度化されてしまった中国潰しが最終目的となりますので、1.は短期決着で済むかもしれませんが、2.は確実に長期戦になります。

当時のハーバート・フーヴァー大統領は、「アメリカの株価暴落は経済のしっぽであり、ファンダメンタルズが健全で生産活動がしっかり行われているので大丈夫。」と発言しましたが、タイミングが遅く救いにはなりませんでした。

1月4日に発表された12月雇用統計の数字が非常に良かったのですが、「ファンダメンタルズが健全」という事態に安堵し過ぎて90年前のようにならないことを願うばかりです。

そのためにも、FRBにはしばらくの間、大人しくして欲しいと切望しています。

2019年も、株式市場・為替相場共に目が放せない年となりそうです。

【1月8日更新】パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、「金融政策を柔軟に見直す」として利上げ停止の可能性を示唆し、それに反応した日米の株価が大きく反発しています。

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