2018年日経平均株価

株式投資

2019年は日経平均株価2万円以上を維持することがアベノミクスの至上命題(1)




2019年の株式市場におけるヒントが満載なので、昨年の政治・経済の動きについて重要な部分を考察し、2019年に余波を与えるであろうテーマを述べていきます。

日本銀行がEFT買いで保有する日経平均株価の簿価は1万8400円です。つまり、そのラインを割ってしまうと、日本円通貨の発行母体であり、政府の連結子会社でもある日本銀行が株式で含み損を抱えることになります。

既に公的年金を運用するGPIFは18兆円を超える含み損を計上しています。

アベノミクスにとって、日経平均株価が2万円を維持できることは、セーフティネットの条件ではなく、バイタルネット(命綱)の条件です。

2019年がどれだけ波乱に満ちた年となるかは、「日経平均株価2万円の攻防ライン」をどれだけ守れるかにかかっているのです。

目次

2018年の株式市場はスタート絶好調でバブル再来の誤解を与えてしまった

2018年1月の相場環境について

1月前半は、ニューヨークダウが2万6000ドルを越え、日経平均も2万4000円を超える高値水準で始まりました。

この時点では、2017年12月の米雇用統計で、平均時給は前年同月比2.5%上昇と市場予想並みであったことから、FRB(アメリカの中央銀行・連邦準備制度)は利上げを加速しないとの見方が強まりました。

1月5日に日経平均は、1992年1月6日以来、約26年ぶりの高値を付けました。

まさにバブル経済の再来かと思わせる程でした。

日経ジャスダック平均・東証マザーズ指数といった新興市場に資金が流入

日経ジャスダック平均は、1月15日に1990年7月16日以来およそ27年6カ月ぶりの高値を付け、東証マザーズ指数も、11年4カ月ぶりの高値を付けました。

2018年における年初の東京株式市場は、東証1部の大型株だけでなく、新興市場の中小型株にも同時に大量の買いが入りました。

そのため、信用取引を行い、短期売買をするデイトレレーダーなどの個人投資家にとっては、絶好の相場環境でした。

物色された銘柄は、

1.ブロックチェーン・仮想通貨関連
(ルーデン・ホットリンク・ ロックオン ・オウケイウェイヴ・アイリッジ・メタップスなど)

2.カジノIR関連
(イチケン・テックファーム・インターライフ・ピクセル・櫻島埠頭・杉村倉庫・山九など)

3.全固体電池
(古河電池・FDK・オハラ・三井金属 ・安永・日立造船・出光興産・トヨタ・村田製作所など)

4.量子コンピューター
(エヌエフ回路設計ブロック・フィックスターズ・YKT・NEC・三菱電機など)

5.AI(人工知能)
(メンバーズ・ALBERT・チェンジ・FRONTEO・日本サードパーティ・テクノスジャパンなど)

6.EV(電気自動車)
(田中化学研究所・戸田工業・昭和電工・日本カーボン・日立化成・ステラケミファなど)

といったの人気テーマが挙げられます。

※2018年12月時点において、ALBERT(年初から約10倍)チェンジ(年初から約2倍)が上昇トレンドを形成しています。AI(人工知能)の将来性が評価されていることが強く示されています。

北朝鮮が平昌冬季オリンピックに参加決定 南北の対立が溶けて融和ムード

1月9日、韓国と北朝鮮は、軍事境界線がある板門店で南北閣僚級会談を開きました。

その結果、北朝鮮は、韓国で開催される平昌冬季オリンピックに参加することが決定しました。

この辺りから、北朝鮮リスクが低下し始め、地政学的リスクの収束が起こりました。

ドル安円高が日経平均の上値を重くするも新興市場はバブル的な上昇基調に

アメリカ株式市場は力強い上昇を続けていましたが、外国為替市場では1月からドル安・円高トレンドとなったため、日経平均株価は、2万4000を超えてからの上昇はなく、上値が重い展開が続きました。

とはいえ、相場全体は力強い状況で年初来高値更新銘柄数は520銘柄に達しています。

また、日経ジャスダック平均や東証マザーズ指数は、まさにバブルの再来を思わせる上昇ぶりでした。

ECB(欧州中央銀行)が金融緩和の出口を模索し、円高トレンドが鮮明に

ところが、1月中旬~下旬にかけて日経平均株価は停滞気味が続きました。

その理由は、ECB(欧州中央銀行)が市場の想定より早く金融緩和の出口を探ろうとしており、円高基調が鮮明になったからです。

ドルがユーロに対して売られ、それに連動する形で円買い・ドル売りの展開となっていました。

株式市場では主要な3指数が最高値を更新 好景気を謳歌するアメリカ経済

それとは裏腹に、1月22日のアメリカ株式市場では、ニューヨークダウ、ナスダック指数、S&P500種株価指数が最高値を更新していました。

アメリカ主要企業の2017年10~12月期決算が好調な業績だったからです。

とは言え、こうした値動きも、今から思えばバブルだったのだと考えられます。

相場が強い時は個別の材料株も勢い良く上昇 新興市場は完全にリスクオン

日本株の個別銘柄では、2018年中にカジノ法案が可決される見込みであることから、杉村倉庫・櫻島埠頭・テックファームなどが買われました。

また、中国の株式市場における上場準備で話題となったレカムも一段高を演じました。

とにかく日本の新興市場の雰囲気は、完全にリスクオンであり、強い値動きの株を買い続ける動きが特徴でした。

1月23日の日経ジャスダック平均株価は、4243.66円で、連日で過去最高値を更新し、東証マザーズ指数も1339.58ポイントで高値圏を更新しました。

この頃の熟練した個人投資家の多くは、大きな利益を出していました。

また、1月の新興市場の上昇には、バイオ関連株の上昇が大きく寄与していました。

特に、アンジェスが、厚生労働省に対してHGF遺伝子治療薬(再生医療製品)の製造販売承認申請を行ったことが好感されました。

材料のテーマが次々と変わる循環物色が行われ、相場に上手く乗れる人とそうでない人との明暗が分かれました。

国際通貨基金(IMF)はアメリカの好景気を基に世界経済を楽観的な見通しへ

この頃、国際通貨基金(IMF)は「世界経済見通し」で、2018年の経済成長率を上方修正しました。

その理由として、アメリカの1.5兆ドルという大型減税を10年間行うことで、アメリカ景気が上触れすることや、日本・中国など貿易相手国の外需が高まることが挙げられていました。

景気絶好調がアメリカ金利上昇の原因に 初めてネガティブ材料が意識される

ところが、1月29日に10年物のアメリカ国債利回りが、3年9カ月ぶりの水準となる2.72%まで上昇したことを受けて、景気回復による金利上昇がネガティブ材料として意識され始めるようになりました。

さらに、欧州では、ECB(欧州中央銀行)は、資産購入プログラムという量的緩和を9月末で終了すると明確にすべき、とオランダ中央銀行のクノット総裁が発言したことで、ECBの金融政策の正常化が加速するという見方がが浮上しました。

黒田日銀総裁も、1月26日のダボス会議で「ようやく2%の物価目標に近づきつつあると思う」と述べ、金融緩和の出口を模索していることが意識されました。

つまり、金融引き締めが徐々に行われていく、という将来を先取りした雰囲気がこの頃から漂い始めていたのです。

その結果、1月第第3週・第4週と海外投資家は、約6000億円の売り越しを行っています。

日本株の売り越しを続けて、買いの手控えムードが広がり始めました。

ドル安円高基調が転換しないことなども売り要因につながっています。

インヴァスト証券「シストレ24」

突然に暗雲が立ち込める株式市場 ニューヨークダウは史上最大の下げ幅に

2018年2月の相場環境について

そして、1月末~2月に入る頃に、株価暴落が日本とアメリカで顕著になりました。

アメリカ株式市場が史上最大の下げ幅を記録 日経平均も-1500円の大幅下落

2月5日にニューヨークダウが前日比-1175.21ドル(4.60%)安と史上最大の下げ幅を記録しました。

2月6日はこれを受けて、日本でも日経平均は-1500円超の大幅下落を記録しました。

2017年~2018年1月にかけて、適温相場(金融緩和・低金利・好景気・為替の安定)が続いていたのですが、2月上旬の一週間の暴落で世界の株式市場の時価総額が約5兆ドル(540兆円)溶けてなくなりました。

この金額は、日本の国家予算の約5年分に相当します。

FRBが景気絶好調のアメリカ経済に対して利上げを行う必要がありと判断

長期金利の上昇だけでなく、こうした株価暴落の背景には、アメリカのFRBによる短期金利の利上げがあります。

FRB(連邦準備銀行)が「フェデラルファンド(FF)金利」(=政策金利・短金利)の誘導目標を引き上げることで、景気の引き締めを進める、という意図を明確に打ち出したのです。

(※フェデラルファンド(FF)とは、アメリカの民間銀行が支払準備金としてFRBに預けた無利息の準備預金口座のこと。)

金利の上昇は、預貯金の利子が付くだけでなく、国債の利子も高くなるため、安全資産に資金が流れていく傾向が強まり、リスクオフのムードが相場に漂います。つまり、多くの投資家が危険な行動を取ろうといないという意味です。

ということは、株式市場にとってはネガティブ材料となります。

トランプ大統領は、大型減税など景気刺激策によって景気を浮揚させることばかりに注力していました。

2017年12月、上院と下院の両方で連邦法人税率が35%から21%に引き下げる税制改革法案が可決され、今後10年で1.5兆ドルという巨額減税が議会を通過しました。

トランプ大統領は、「米国史上、最大の減税であり、記録破りなことを成し遂げた」と演説しています。

法人税率の大幅引き下げによって「企業と雇用の流出に歯止めをかける」とも主張しました。

さらに個人所得税は最高税率を39.6%から37%に下げることで決着し、今後10年間の個人減税は1兆1266億ドルという規模に達します。

2017年は、「巨額減税を米国民のクリスマスプレゼントにする」と強気で誇っていたのです。

このような個人の懐にも企業の利益にも優しい大胆な政策で、大きな支持と人気を集めようとしてました。

ところが、それから1年後(2018年12月下旬)には、トランプ大統領は、周囲から大きな非難を浴びて、ホワイトハウスで孤独にクリスマスを過ごし、国内外の難題に追われる日々を嘆いているという変わり様となりました。

短期金利・長期の金利上昇がアメリカ株式市場の冷や水となる VIX指数も上昇

そのため、アクセルばかりを踏み込むことに夢中で、好景気による自然な長期金利の上昇と、FRBによる短期金利の引き上げについては、頭の中になかった模様です。

また、ニューヨークダウは、VIX指数(恐怖指数)の急上昇によって、「フラッシュクラッシュ(瞬間的な急落)」が発生しました。

(フラッシュクラッシュとは、人工知能などのハイテク売買機能が瞬間的に反応して大量の売り注文を発動すること。高速・高頻度取引などアルゴリズム取引が関係している)

VIX指数は50.3まで急上昇 2015年の世界同時株安と同じ水準で危険視される

2月6日にVIX指数は50.3まで瞬間的に上昇し、危険水域の目安とされる20を大きく超えました。

この事態は、中国の人民元切り下げで世界同時株安が発生した2015年8月以来のことです。

以下は恐怖指数として知られるVIX指数のチャートです。

VIX指数 2018年

 

 

 

 

(出典:TradingView)

インフレを良いと判断するか景気の冷や水と判断するか  株式市場の反応は?

アメリカの株安の原因として、米長期金利の上昇が指摘されましたが、一般的に、株式市場はインフレの実体経済においては上昇する傾向があります。

そのことは、経済学の教科書で述べられています。

1.景気が良い(=需要が旺盛で物の値段が高くても売れる)

2.企業業績が潤う → それを好感した株式が買われる

という好循環が続いていくからです。

この頃は、アメリカ経済の企業業績を背景に、期待インフレ率(これからも景気が良い状態が続くことで、物価が上がるという想定)が高まっていました。

また、日本経済は、GDP世界第1位を誇るアメリカという外需に依存している面が大きいため、アメリカ経済が好調であれば、それに引っ張られる形で日本経済も好調になる傾向があります。

しかし、株式の世界では、アメリカ長期金利の上昇を受けて、アメリカで株安が起こり、それに連れ安する形で、日本株も大きく売られました。

この時点では、日本は「日銀による異次元金融緩和+安倍長期政権+主力企業の好決算」で景気が腰折れすることはないと多くの識者が考えていました。

確かに年初から11月にかけて、日経平均が2万円割れをすることはなかったので、この理屈は多くの投資家に支持されていたものと思われます。

3%を目指す長期金利に株式市場は狼狽売り トランプ政権の放漫財政も悪材料

2月12日、アメリカ国債10年物利回り(長期金利の指標)は2.90%に上昇し、2014年1月15日以来4年1カ月ぶりの高水準を付けました。

同じく2月12日、アメリカのトランプ大統領は2019会計年度の予算教書を米議会に提出し、国防費と公共事業費の積み増しで歳出が膨張し、財政赤字は9840億ドルと大きく悪化しました。

この事態が、アメリカ国債の発行増加に歯止めがかからないことに対する警戒感が金融市場に強まりました。

日銀とGPIFが日経平均株価を買い支え、何とか2万円台をキープする

その頃、日銀によるETF買いや年金資金GPIFの買いが入ったことから、日経平均株価は、何とか2万1000円前後で踏みとどまり、2月14日の2万0950円が当面の底値の基準となりました。

市場関係者によると、日経平均株価が2月14日まで下落を続けていく中で、個人投資家の信用取引による大量の追証が発生し、相当量の投げ売りが出てしまいました。

2月は、運用のプロであるヘッジファンドも、悲惨なパフォーマンスとなっていました。

その一方で、日経平均が2万1000円台の底値圏で買って、上手に底値を拾えた個人投資家の多くは長期投資家でした。

短期売買のトレーダーは、ヘッジファンドも個人投資家も大打撃の2月相場

短期売買を好む、デイトレーダーの多くは2月14日までの時点で資金力が乏しくなり、その後の戻り局面に上手く乗れていませんでした。

海外勢は、1月~2月第3週まで7週連続で日本株を売り越し、累計売越額は6兆円に達しています。

その一方で、日本の個人投資家は5週連続で買い越し、信託銀行は6週連続で買い越しました。

「まずは生き残ること。儲けるのはそれからだ!」というのは著名な世界的投資家であるジョージ・ソロスの明言です。

無理なギャンブルをして一発退場を食らってしまっては、投資の世界に戻ることができなくなります。

2月はほとんどの投資家が金利上昇を起因とする株価暴落に苦しめられました。

トレイダーズ証券みんなのシストレ

2018年3月の相場環境について

トランプ大統領が中間選挙で勝利するため保護主義的な通商政策を打ち出す

3月に入ると、投資家はアメリカの保護主義的な通商政策、いわゆる貿易戦争に困惑する事態となりました。

3月1日にトランプ大統領が「鉄鋼に25%、アルミは10%の追加関税を課する」と断言したこときっかけで、世界中の株式市場が大きく揺らぎました。

3月2日、トランプ大統領はツイッターで「ほぼすべての貿易相手に対して何十億ドルもの金を失っている米国にとって貿易戦争は良いことで、しかも楽勝だ」とコメントしました。

それに対して、EU(欧州連合)のユンケル欧州委員長は、WTOへの提訴や緊急輸入制限の検討に入りました。

これは、EU(欧州連合)がアメリカへの報復措置をとった、という意味です。

トランプ大統領は負けずに、「欧州車に輸入関税を課す」とツイッターで対抗する構えを見せました。

同じく3月2日、中国商務省は「アメリカの最終的な措置が中国の利益を損なえば、我々は他の国々と共に自らの利益を守るために適切な措置を取る」という声明を出しました。

アメリカ・欧州・中国で貿易戦争が起こる不安が為替相場にも大きく影響

こうした各国の報復的・対抗的な措置を準備しているという対応を受けて、アメリカと日本の株式市場では、「アメリカ・欧州・中国」の間で貿易戦争が起こると、多くのアメリカ企業にとって悪影響が及ぶという不安が広がりました。

各国の株式市場が不安定になるだけでなく、外国為替市場でアメリカ・ドルが他国の主要通貨に対して売られました。

3月3日、日経平均株価は、2万0937円となり、2017年10月以来の安値となりました。

トランプ大統領はアメリカに有利な貿易交渉を進めるための駆け引きを行う

3月5日、トランプ大統領は、「鉄鋼とアルミへの関税は、新しく公正なNAFTAが署名された場合に限り解除する」とツイッターにコメントしました。

この内容は、NAFTA(北米自由貿易協定)の合意を引き出すための駆け引きの道具として、関税の引き上げを使うことを示唆したものです。

(※NAFTAとは、北米自由貿易協定のことを示します。アメリカ・カナダ・メキシコの3か国による域内の貿易自由化をめざす協定で、関税の引き下げ・撤廃、金融サービス市場の開放、投資の自由化などを内容とします。)

円高と保護主義の通商政策が実体経済を鈍化させると見抜けなかった専門家

それでも、多くの識者、エコノミスト、専門家、学者達は、アメリカ経済のファンダメンタルズは変わらず好調で、日本経済もアベノミクスと黒田日銀の異次元金融緩和で力強いという見解を疑うことはありませんでした。

こうした柔軟でない硬直した意見が、多くの個人投資家の判断を誤らせ、必要以上の損失を出してしまう結果になったと考えています。

この頃になると、円高に対しても、「円高になると輸出採算が悪化し、業績が落ち込む」のは考え過ぎだという気運が高まっていました。

3月9日、ニューヨークダウは2万5335ドルまで回復し、ナスダック総合指数は、7560ポイントと、1月26日に付けた過去最高値をほぼ1カ月半ぶりに更新しました。

その背景には、平均時給の伸びが市場予想の0.2%上昇を下回ったことで、緩やかな賃金上昇が続いてはいるが、インフレを加速させる程ではないと好感され、FRBが利上げを加速するという見方が後退したことにあります。

森友学園問題が安倍政権を窮地に追い込む 財務省のずさんな体質が明らかに

3月上旬、アメリカ株式市場は好調でしたが、東京株式市場については、国内の政治要因でかなり不透明感が出てきました。

3月12日、学校法人「森友学園」への国有地売却問題が再び浮上し、安倍政権を追い詰めることとなりました。

財務省が「森友学園」への国有地売却の決裁文書に関する調査結果を国会に報告し、財務省や近畿財務局が途中で書き換えた文書や安倍昭恵首相夫人に関する記述を削除していたことが発覚しました。

9月の自民党総裁選で安倍晋三首相が当選できないリスクが意識される

「森友学園問題」で野党が強く反発し、国会が空転したことで重要法案の審議が停滞しました。

3月中旬になると、日本・アメリカ共に政治リスクが高まり、金融市場が動揺しました。

日本は森友問題深刻化と内閣支持率の急低下によって、9月の自民党総裁選における安倍晋三首相の3回目の当選に暗雲が漂っていること日本の株式市場は嫌気しました。

アメリカの保護主義政策によってドル売り フェイスブックで情報漏洩が発覚

アメリカはトランプ政権の「米国第一主義」とトランプ陣営の選挙活動における個人情報の不正入手問題が発覚しました。

11月6日にはアメリカで中間選挙が実施されますが、トランプ大統領は支持基盤である白人貧困層に恩恵のある政策をアピールしていたのです。

この結果、国際協調よりも保護主義を推進する動きが強まり、政権幹部が次々と退任していきました。

こうした傾向は、良好なアメリカ経済が悪化する要因となるため、ドルが他国の主要通貨に対して売られることとなりました。

さらに、2016年のアメリカ大統領選挙でトランプ陣営が契約したデータ会社、ケンブリッジ・アナリティカが、フェイスブックの顧客データ5000万人以上の個人情報を収集していた、という事実が発覚しました。

これを受けて、フェイスブックの株価が急落し、IT関連企業に対する不信感が強まり、リスクオフによってアメリカの株式市場は大幅に下落しました。

日本の大手企業の多くは、為替レートの前提を1ドル=110~111円としていますが、この頃の為替レートは1ドル=105〜106円台の円高基調にあり、企業にとっては、業績が下振れる要因となります。

インヴァスト証券「トライオートETF」

2018年4月の相場環境について

IT企業の個人情報流用と米中貿易戦争の報復合戦によって投資家はボロボロに

4月に入ると、トランプ大統領がツイッターで、配達料金や税金を巡ってアマゾンを強く批判していることでアマゾン株が下落しました。

個人情報の不正流用が問題となったフェイスブックの影響で、政府による規制強化・介入を通じて、アマゾン、フェイスブックなどのハイテク系IT企業の成長鈍化が懸念され始めました。

4月2日、中国は、アメリカ国産の豚肉やワインなど計128品目に最大25%の関税を上乗せすを実施しました。

これは、米国が通商拡大法232条に基づき、中国産を含む鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限したことに対する報復措置となります。

中国は第2、第3の報復措置を準備しており、株式市場では米中貿易摩擦への懸念がさらに強くなってきました。

4月2日の時点では、市場関係者によると、「個人や投資顧問の顧客で積極的に売買する人はほぼ全員、満身創痍で資金力も心もボロボロ」だという声が聞かれました。

既に日本の個人投資家は、2018年4月において、「成すすべ無し」の状態にあった模様です。

1ドル=104円台のドル安円高で、好調な企業業績にも黄信号が点灯する

3月23日、為替相場は1ドル=104円台と1年4カ月ぶりの高値を付け、その後も105円台〜106円台の円高水準で推移しました。

この状態は、企業にとって、業績の大きな下振れ要因となります。

4月第1週~第2週になると、海外投資家の買越額は2429億円と、連続の買い越しとなりました。

北朝鮮と韓国の首脳会談で朝鮮半島の緊張が緩和の方向へ

4月20日、北朝鮮の金正恩委員長が朝鮮労働党の中央委員会総会で、21日から核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を中止すると表明しました。

4月27日、南北首脳会談では、文在寅大統領と金正恩委員長が初対面を午前中に行って、歓迎行事や晩餐会も開催され、朝鮮半島の緊張が緩和しました。

東証1部の2017年9月以降の売買代金は、22000円~23000円の間で約140兆円に達しています。

つまり、相場が上昇トレンドになっているタイミングで飛びつき買いをして、その後、下落して株式の損失を抱えたまま塩漬けしている人が多いということが分かります。

そのため、少しでもこの22000円~23000円の価格帯に戻ると、「売り圧力」が出やすくなります。

トレイダーズ証券みんなのシストレ

2018年 5月の相場環境について

アップルの好決算によって世界中のIT関連企業にポジティブな見方が広がる

5月1日、アメリカでアップルの決算発表があり、IT関連株を取り巻く環境が大幅に改善しました。

好調なサービス事業が牽引したことで、市場予想を上回る増収増益となりました。

5月4日、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が、「1〜3月期に7500万株を買い増した」と明らかにし、アップル株を「100%保有してもいい」と回答したそうです。

この好材料を評価した買いが膨らんで、アップル株だけでなく、世界中のIT関連企業にも肯定的に作用しました。

※2019年に入り、2018年10月~12月期のアップル社決算は減収減益となりました。中国経済の弱体化がダイレクトに影響しています

アメリカの代表的なハイテク系IT株であるGAFAあるいはFANG

アメリカの代表的なハイテク系IT株をGAFAと呼ぶ場合があります。

GAFAは「 Google 」「Apple」「 Facebook 」「Amazon」の頭文字を集めた呼称となります。

「 Google 」は 検索エンジン・ 「Apple」はデジタル デバイス ・「 Facebook 」はSNS・「Amazon」はネットショップとそれぞれの分野で市場を席巻している企業です。

その一方で、同じくアメリカの代表的なハイテク系IT株をFANGとと呼ぶ場合もあります。

FANGは「 Facebook 」「Amazon」「Netflix」「 Google 」の頭文字を集めた呼称となります。

Netflixは、アメリカで最大級の動画配信サービスです。全世界での会員数は1億人を超え、アメリカを中心に成長を続けています。最近は海外にも注力しており、2015年から日本でもサービスを開始しました。

「致命的な欠陥がある」とイラン核合意から離脱したトランプ大統領

5月8日、トランプ大統領は、「致命的な欠陥がある」「衰えて腐っており、恥ずかしいものだ」としてイラン核合意から離脱すること発表しました。

イランは核兵器開発の疑惑をかけられていましたが、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国・ロシアと2015年7月に結んだ取り決めのことをイラン核合意と呼びます。

その内容は、イランが核開発を大幅に制限する見返りとして、2016年1月からアメリカと欧州が融制裁や原油取引制限の制裁を緩和することです。

イラン核合意には

1.イランが核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産しない

2.ウランを濃縮する遠心分離機を大幅に削減する

3.国際原子力機関(IAEA)が確認した後、経済制裁を段階的に解除する

ことが盛り込まています。

ところが、トランプ大統領は、

1.核合意の内容に弾道ミサイルの開発規制が盛り込まれていない

2.核開発制限に期限が設定されている

ことを理由に挙げて、離脱を表明したのです。

アメリカ以外の当事国は合意継続を表明しています。

イラン核合意には紆余曲折がありました。

2002年、イランで核兵器への転用が疑われるウラン濃縮施設が確認

2003年、ウラン濃縮活動の停止を発表

2005年、保守強硬派のアフマディネジャドが大統領が就任。再びウラン濃縮を稼働

2013年、穏健派のロウハニが大統領が就任。一転して国際協調路線へ、

イランでは、長期の経済制裁によってイラン人の国民生活が困窮していました。

それを象徴するかのように、1983年~1984年に日本のNHK連続ドラマとして放送された「おしん」が高い人気を集めており、「我慢強く、忍耐強くある」ことを美徳とする国民性を持っています。

オバマ政権の時に、アメリカとの関係改善を優先してイラン核合意へと至り、原油輸出金融取引を対象にした制裁措置が解除される運びとなりました。

国連の安全保障理事会でも決議され、イラン核開発に対する緊張が緩和していきました。

ところが、制限付きでも核能力は維持されたため、トランプ大統領が非難し続けていたのです。

アメリカのイラン核合意から離脱した後、ジワジワと中東情勢や原油価格に悪影響を与える懸念があります。

トランプ大統領は、イラン核合意からの離脱によって「イランに対する経済制裁を再び実行する」と強調しました。

これに対して、イランは、ウラン濃縮再開に向けて準備を始めていることを明らかにしています。

濃縮ウラン原子力発電だけでなく、核兵器開発の要となり得ます。

イランのロウハニ大統領は、「アメリカは約束を守らないつもりだ」と強く批判しました。

それと同時に、「もし他の締結国との協力で核合意の目的が達成されるなら、現状を維持する」と伝えています。

GW後に日経平均は2万3000円を回復 ニューヨークダウも2万5000ドルを回復

5月7日、日本の東証マザーズ市場の売買代金は543億円、ジャスダック市場の売買代金は508億円と活気に乏しく、2市場合計で活況の目安となる2000億円を完全に下回っています。

5月21日、日経平均株価は、2万3002円と、3カ月半ぶりに大台を回復しました。

5月21日のニューヨークダウも、2万5013ドルと、2カ月ぶりに2万5000ドル台を回復しました。

日本とアメリカで株式市場が上昇した背景には、米中の貿易協議で、中国が米国製品の輸入を増やし、双方が追加関税の発動を保留することとなり、米中貿易摩擦への懸念が後退したことがあります。

加えて、この頃から、ドル高・円安のトレンドが完全に形成されるようになり、企業業績に対しても大きな追い風となりました。

5月21日には、1ドル=111円12銭と、1月23日以来、約4カ月ぶりの安値となったのです。

ドル高の最も大きな理由はアメリカ長期金利の上昇でした。

5月21日のアメリカ10年物国債利回りは3.06%と、3%大台を超えたのです。

それまでは、長期金利の上昇を悪材料と捉えていた株式市場が、ドル高円安基調という好材料と捉えるか、あまり反応しない状態へと変化しました。

「米長期金利上昇とドル高・円安」が固定化されることで、日本が誇る主力の輸出関連企業の収益が向上する見込みが出てきました。

4月下旬~5月にかけて、海外投資家は6週連続で日本株を買い越しました。

加計学園の獣医学部新設を巡って安倍晋三首相のスキャンダルが疑われる

しかし、日本の国内政治で再び暗雲が立ち込めました。

5月21日、2015年2月に加計学園の加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と面談して、獣医学部新設について説明したという文書を、愛媛県が参院事務局に提出したと発表されたのです。

安倍晋三首相は、「ご指摘の日に加計理事長と会ったことはない。念のため、昨日、官邸の記録を調べたが、確認できなかった」と説明しましたが、この問題は国会で大きな争点となりました。

5月22日、新興市場にはようやく明るい兆しが見えてきました。

日経ジャスダック平均が、1カ月半ぶりに4000円の節目を上回りました。

5月21日、東証マザーズの売買代金は1136億円と、活況の目安となる1000億円を超えてきました。

イタリアでも積極財政と雇用対策を唱える政党「五つ星運動」が勢力を持つ

5月28日、ユーロ圏で第3位の経済規模を持つイタリアでは、マッタレッラ大統領がにIMF元高官に組閣を委任したことを、議会第1党のポピュリズム政党「五つ星運動」のディ・マイオ氏が強く非難しました。

その結果、外国為替市場では1ユーロ=126円台後半と、11カ月ぶりの円高・ユーロ安となりました。

2018年は短期売買を好む個人投資家にとって利益を出しにくい災難の年に

この5月くらいから、日経平均の上げ下げに関係なく、2018年は、多くの個人投資家が株式で全く儲かっていないことが確たる事実となり始めました。

その度合いだけ、材料株が跳ねる期間が短く、新興市場に活気が戻っていない様子が伺えます。

売買代金や出来高も閑散としている銘柄も多く、非常に難易度の高い相場環境となりました。

こういう相場環境では、「無理に投資をしない」「現金を寝かせて待っておくのが良い方法だと考えています。

海外投資家が大幅な買い越しをしなければ、日本株の「小幅高」はあっても、「急騰」はないことは明白です。

2018年で投資に成功した人は、大型株だけ売買しているか、1年に数回程度しか売買しない個人投資家だけでした。

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2018年6月の相場環境について

メルカリが新規公開(IPO)で高い人気を集める 時価総額は4000億円と最大級

6月19日には、フリーマーケット・アプリで国内最大手のメルカリの新規公開(IPO)が大きな注目を集めました。

上場時のメルカリの時価総額は4000億円と、上場する企業としては最大級となります。

メルカリの人気は高く、大手ネット証券の抽選では200倍を超える倍率でした。

公開価格は仮条件の上限である3000円でしたが、上場時に市場で購入したい投資家の買いが殺到し、初値は公開価格を大幅に上回って、5000円を付けるという結果になりました。

バイオ関連株とIPO株の急落が東証マザーズ指数の悪化につながる

6月25日、東証マザーズ指数は、1073ポイントと年初来安値を更新しました。

2017年9月27日以来、9カ月ぶりの安値となっています。

6月25日時点での東証マザーズ市場の信用買いの評価損益率は、-20.56%と非常に悪い水準になっています。

このように東証マザーズ指数が悪化の原因として、バイオ関連株の急落が大きいと指摘されています。

まだ指数に組み入れられていない直近のIPO銘柄も急落しており、この二つを触った投資家はかなり手痛い思いをしているはずです。

基本的に、IPO銘柄は、新規上場日の翌月末に指数の中に組み込まれます。

メルカリ・ショックとバイオ株の急落が新興市場全体の売り圧力へ

6月は、メルカリのIPOで盛り上がったものの、その影響はほんの短い間しか続かず、新興市場全体が売り圧力に押され、投資家の資金が溶けていく惨状となりました。

バイオ関連株で下落したことをきっかけに地合いの悪化が長引き、他の業種も見るに耐えない酷い有様でした。

中国以外にも欧州連合・トルコ・インド・ロシアが関税の報復措置を表明

多国間の通商問題については、6月22日、EU(欧州連合)がアメリカの鉄鋼とアルミニウムの輸入制限に対抗して報復関税を発動しています。

トルコも6月21日に報復関税の発動を表明し、インドやロシアも報復措置を取ることとなりました。

NAFTA加盟国のカナダやメキシコも何と報復関税の準備しているという有様です。

一体、何のための誰のための関税引き上げ・貿易戦争なのでしょうか?

トランプ大統領は、自国に利益をもたらそうとして、自分の首を絞めているようにしか思えません。

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