公的制度・税金関連

罹災証明書の申請と、その発行で受けられる各種の公的支援




台風、豪雨、地震が、複合的に家屋のダメージを与えている可能性あり

2018年の台風19号、台風20号、2019年の台風15号、19号の被害は甚大でした。

2020年は現在進行形で九州全域、岐阜、長野などを中心に激甚災害に指定される程の大雨や洪水、土砂災害が起こっています。

九州の熊本、鹿児島などでは、特に一か月分の平均降水量に対して3倍以上の雨が降り、過去に経験のない豪雨となっています。

さらなる土砂災害や河川の増水、氾濫、低い土地の浸水に厳重に警戒して下さい。

家の近所の危険区域をハザードマップで確認し、避難指示や避難勧告に備えてください。

地震や過去の月豪雨などの影響がまだ残っている地域もたくさんあります。地盤が緩んでいたり、山林が保水できるキャパを超えやすくなっている場所もありますので、しっかりと対策を行ってください。

また、避難指示や避難勧告が出ていなくても、「避難準備・高齢者等避難開始」の情報が自治体から出ていたら、必ず避難できる体制を整えておくか、実際に避難を始めるように心がけてください。

もし家屋が自然災害の被害に遭ってしまったら、罹災証明書・被災証明書の発行を!

最近の日本は、全国各地で本当に地震、台風、豪雨などの被害が多く、危機感を抱いている方々が多いと思います。

こうした自然災害の被害は、日本に住んでいる以上、誰にでも起こり得る可能性があります。

特に地球温暖化の進行やプレート活動の活発化は明らかであり、水害や風災、地震は、いつどこで発生しても不思議ではありません。

もしも、自然災害の被害に遭ってしまい、住み慣れた家屋に住み続けるのが困難になった場合、少しでも早く普通の暮らしを取り戻すために、適切な公的支援が必要です。

安全な日常生活を守るのためには、民間の保険会社に加入するだけでなく、お住まいの市町村にある自治体からの支援が必要不可欠です。

その支援を受けるために、罹災証明書、被災証明書を発行することが条件となります。

罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは何か?

これは、住んでいる家屋が被害に遭ったことを証明するもので、持ち家に限らず、アパートや借家に住んでいる場合も対象となります。

罹災証明書の申請をした後、調査員によって現場の調査が行われ、被害の程度を認定されます。

罹災証明書で調査されるのは住んでいる家屋のみです。

この調査によって、住家の被害の度合い、すなわち「全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊」「全焼・半焼」「床上浸水・床下浸水」が判定されます。

被害の大きさによって受けられる支援は異なり、自治体によって、この判断基準が異なります。

調査や認定には一定の時間がかかるものと思っていた方が良いでしょう。

「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」など被害の度合いが認定された後、順次、罹災証明書が発行されます。

その罹災証明書を提出することで、自治体から各種の支援を受けることが可能となります。

そのためには、早めに申請をしておくことが必要です。

罹災届出証明書とは何か?

罹災証明書は認定に一定の時間がかかり、、申請した後すぐには発行されません。被害の原因がどのようなものでも発行までに1週間以上の時間を要することがほとんどです。被害程度調査の再調査を申請したときなど、長いときは1ヶ月以上かかってしまうようなこともあります。

ところが、罹災証明書の申請をすれば、その日のうちに発行される書類があります。

それが罹災届出証明書というものです。

この書類は、実際に罹災証明書が発行されるまでの間、「罹災証明書の発行を申請している」ことを証明するためのものです。

罹災届出証明書は「罹災証明書の代わりにもなる」ため、罹災証明書の発行を待たずして、公的支援を受けられる場合もあります。

被災証明書とは何か?

被災証明書は、人、土地、家屋以外のものが受けた被害を証明するものです。

被害の大きさや程度を判断するものではなく、「被害を受けたかどうか」を証明する書類です。

その対象として、「家財、自動車、店舗、工場など」が含まれます。

被災証明書は、基本的にその日のうちに発行してもらうことが出来ます。

停電や断水を証明できれば発行してもらえる場合もありますし、家財道具が破損していれば発行されるという場合もあります。

被災証明書そのものが存在しない自治体もあります。

そのケースでは、一般的に罹災証明書が被災証明書の役割を果たしています。

罹災証明書や被災証明書は手数料無料で発行することができますが、その内容は市町村の自治体によって違います。

上記をまとめますと、

罹災証明書の発行を申請をする

調査員が現場の被害程度を調査する

被害程度が認定された後、罹災証明書を受け取る

という流れになります。

罹災証明書の発行を申請する時に、被災した本人は確認用の身分証を提示する必要があります。

何らかの事情で被災した本人による申請が不可能な場合、本人との関係を証明できる書類が必要となる場合が多いです。

同一世帯(住民票上で世帯が同じことをいい、必ずしも同居とは限らない)、罹災した法人の社員、委任された方(委任状が必要)、三親等以内のご親族、法定代理人が申請できます。

申請の際には、被害状況が確認できる写真を持っていく方が、手続きが早くて調査の判断が正確です。

撮影のポイントとして、室内の被害、浸水や損壊の跡が分かるように、家の外は4方向から写真を撮ることが望ましいと言えます。なるべく多くの写真を撮っておく方が好ましいでしょう。

今の時代、カメラはもちろんですが、スマホでも十分に綺麗に写真が撮れます。

こうした証拠があるかないかで罹災証明書の発行スピードや正確な被害状況の判断が認定されることにつながるので是非とも覚えておいて欲しい重要事項だと言えます。

また、民間の保険会社と契約しているのに、被災によって保険証券がない、あるいは、特約が付いているか分からないという場合は、日本損害保険協会 自然災害損保特約照会センターにお電話ください。

連絡先は 0120-501331 です。

午前9時15分~午後5時まで受付しています。

さらに、家屋が流されたり、浸水や損壊の被害などで、銀行のカードや通帳をなくした場合は、銀行窓口に相談に行きましょう。本人確認の手続きによって、銀行口座やカード、通帳の再発行が可能となるでしょう。

自治体の調査員(通常は建築士)による被害程度調査

調査は各自治体に認定された建築士が調査員として行います。この調査は国によって調査方法が定められており、、自治体によって大きく調査の内容が違うことはありません。

地震による被害の調査の場合

地震被害の調査に関しては、第1次調査、第2次調査に分けられます。

第1次調査ではまず調査員が現場に出向いて、外観目視のみの調査を行います。

外観の損傷状況を目視で把握し、家屋の傾きを計測します。

最後に屋根・外壁・柱など、外から確認できる構成要素を部位ごとに判定し、第1次調査は終了です。

第2次調査では、被災者からの申請があった場合にのみ実施されます。

この調査は申請者が立ち会った状態で行われます。

改めてもう一度、外観調査と、家屋内部に立ち入って調査を行います。

第2次調査では家屋に倒壊の危険性が高い場合、外観の調査のみでも可とされています。

水害による被害の調査の場合

水害による被害に関しては、外観目視調査、傾きの測定、構成要素による判定までは地震被害の調査とほぼ同じですが、浸水深による判定が加わります。

浸水深による判定では、「目視調査」により、

  • 浸水深の最も浅い部分が1階の天井までに達していたものについては全壊
  • 床上1メートルまで達していたものは大規模半壊
  • 床上まで達していたものは半壊
  • それまでに達していないものについては半壊に至らない

という判定が行われます。

※傾斜など、木造、プレハブの家屋とそうでない家屋で判断基準が異なるケースがあります。

風害による被害の調査の場合

風害による被害に関しては、外観目視調査、傾きの測定、構成要素による判定までは、上記二つの被害の調査とほぼ同じですが、外装による判定も行われます。

外装による判定

【木造・プレハブ家屋

屋根、外壁、建具などを判定

【非木造家屋】 

屋根、外部仕上げ、雑壁などを判定

外装に大きな損傷がなく、内部への浸水などの心配がない場合は、半壊に至らないと判定されます。

もし、判定結果が不服であったり、より詳しい調査を希望する際には、再調査を申請できます。

申請内容は精査されますが、再調査の必要性が認められると実施してもらえます。

※傾斜など、木造、プレハブの家屋とそうでない家屋で判断基準が異なるケースがあります。

罹災証明書の発行により受けられる公的支援

判定された被害程度によって、受けられる支援内容は変わってきます。

基本的に災害認定を受けた場合に受けられる支援は以下の通りです。

税金国民健康保険料の減免

損傷のあった家屋の土地の固定資産税や国民健康保険料は、一時的に減免または猶予される可能性があります。

被災者生活再建支援金あるいは義援金の支給

市町村内で10世帯以上、あるいは都道府県では100世帯以上の住宅が「全壊」するような被害があった時に、都道府県の拠出基金から支給される支援金のことを示します。

被害程度によって受給できる金額が異なり、世帯人数によって所得制限の金額も違ってきます。

住宅応急修理制度の利用が可能となる

全壊もしくは半壊した住宅の修理費を、「国と市町村」によって、その一部を負担してもらえる制度です。家屋の被害状況によっては、利用することが可能です。

仮設住宅公営住宅への優先入居

家屋を修復するまでの間、仮設住宅や公営住宅に優先的に入居することができます。

災害援護資金による無利息または年利3%での融資

各市町村から貸付限度額を350万円として受給できる支援制度です。被害程度によって受給できる額が異なり、世帯人数によって所得制限の金額も違ってきます。償還期間は10年で、3~5年が無利子、その後は年利3%となるケースが多いです。

⑥被災した家屋への災害復興住宅融資

住宅金融支援機構が、被災住宅を復旧するための融資を取り扱っています。この融資は、災害で住宅が「全壊」、「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」した場合に利用ができます。住宅復旧のための建設資金または購入資金に対する融資です。

※罹災証明書が発行されていれば、一部損壊も対象となりました。

民間金融機関からの低金利あるいは無利息での融資

被災認定を受けた場合、金融機関が被災者に有利な条件で融資を行ってくれるケースもあります。

全ての金融機関が実施しているわけではありません。金利や利息も違いがあります。

私立学校等の授業料減免

世帯内に私立学校の学生がいた場合、授業料が一時的に減免される場合があります。

災害保険の保険金受給

民間の災害保険に事前に加入している必要がありますので注意してください。

たとえ罹災証明書が発行され、被災認定を受けたとしても、自動的に①~⑨の支援が受けられるわけではありません。

被災した本人が自ら申請を行い、それが受理されることで、各々の支援制度を受けられます。

申請以前に家屋の修理を自己判断で行うと被害を受けていないものと判定されます。

その結果、罹災証明書を発行してもらえない可能性があるので気をつけてください。

被災している、被災していないに関わらず、支援制度の内容を知りたい時は、居住区の自治体ホームページで確認しておきましょう。



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