外国為替証拠金取引とは、証拠金(を業者に預託し、金決済による通貨の売買を行なう取引を言います。
一般的にこうした取引をFX・通貨証拠金取引・外国為替保証金取引などと呼んでいます。
FXは、Foreign eXchange=外国為替の略に由来しています。
FXは、取引の仕方によっては非常に高いリスクを負う可能性があり、実際の取引に際しては外国為替相場に関する十分な知識や経験が必要となります。
最近では、為替相場の動向の変化を、24時間365日常に監視できる人工知能 (AI)によって、売買できる自動売買機能を備えた個人向けソフトウェアが開発されています。
もちろん、最終的には自己責任ですが、そうしたソフトの登場により、個人投資家でも高い収益を上げることが可能になってきています。
目次
- 1 FXの取引における税金の種類は申告分離課税であり、一律20.315%である
- 2 国内FXの取引では、申告分離課税なので確定申告で3年間の繰越控除ができる
- 3 日経225など先物取引は申告分離課税として国内FXと利益や損失を相殺できる
- 4 海外FX業者を利用する人は分離課税ではなく総合課税の雑所得が適応される
- 5 海外FXを利用するに当たっての税金裏技
- 6 国内FXは分離課税に対して海外FXは雑所得 税制が異なるため相殺できない
- 7 事業所得と海外FX取引(雑所得)も利益と損失を相殺できないので要注意!
- 8 総合課税の事業所得とはどのような所得を指しているのか?
- 9 総合課税の雑所得とはどのような所得を指しているのか?
- 10 事業所得と雑所得の区分は非常に曖昧
- 11 FXの取引をした人で、確定申告の義務があるケースとは?
- 12 FXの取引にかかる税金の手続きは、利益-経費を計算して確定申告をしよう
FXの取引における税金の種類は申告分離課税であり、一律20.315%である
2012年1月1日から、個人の場合はFXの所得にかかる税金は、総合課税の雑所得から、申告分離課税という他の所得とは切り離して課税される仕組みに変わりました。
2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間は、復興特別所得税が課せられます。
(所得税15%+復興特別所得税0.315%+道府県民税2%+市町村民税3%の合計=20.315%
1.総合課税は、雑所得など他の所得と合算して課税されます。
所得が大きいほど課税額が大きくなる累進税率方式を適用します。
(例)給与所得(個人事業主)+ネットの副業+仮想通貨の利益など
2.分離課税は、単独で課税されます。他の所得との損益通算は出来ません。
どんなに大きな利益を出しても、一律20.315%の税金が適応されます。
(例)株式やFX・クリック365の取引で得た利益
株式の特別徴収を選択した場合の源泉分離課税は、確定申告が不要で証券会社が納税代行を行ってくれます。
しかし、FXは申告分離課税となるため、確定申告が必ず必要となります。
F現在は店頭取引「普通のFXの売買」も取引所取引「くりっく365の売買」も、課税の方法は申告分離課税に統一されています。
くりっく365は、2005年7月に東京金融取引所が市場を開設・運営している外国為替証拠金取引の愛称です。
くりっく365ラージは、2015年11月に上場した、スプレッドを重視する投資家及び法人等の大口投資家向けの取引所為替証拠金取引の愛称です。
日本国内のFX業者を利用した個人のFXの利益は、利益の大小に関係なく一律20.315%(復興特別所得税0.315%含む)が課税されます。
さらに、申告分離課税であることから、FXの取引で損失が出た場合は、その損失を3年間繰り越すことが出来ます。
FXの取引で1年間に損失が発生した場合は、損失の金額を翌年以降3年間に渡って繰り越し、3年間の間に利益が出た年に過去の損失の金額を差し引くことが可能です。
その代わりに、損失を繰り越すための条件として、その損失を確定申告する必要があります。
個人の口座で取引をしている場合には、1月1日から12月31日の間に行った取引の中で、売買による決済した金額を合計して、税金を計算する必要があります。
国内FXの取引では、申告分離課税なので確定申告で3年間の繰越控除ができる
国内・海外外のFXによる利益は、共に同じ「雑所得」扱いです。国内FXは申告分離課税で、海外FXが総合課税という形で区分が違うことを覚えておいてください。
もし、国内FX業者の取引であれば、今年度に300万円分の損失を計上したとしても、翌年度の利益が100万円で、翌翌年度の利益が300万円であれば、300万円-(100万円+300万円)=+100万円の利益として確定申告でより少ない納税額で済むことになります。
日経225など先物取引は申告分離課税として国内FXと利益や損失を相殺できる
国内FXの取引では、個人の場合は、分離課税として同じ区分である他の投資商品と損益通算ができます。
すなわち、国内FXは、申告分離課税である
1. 日経平均先物
2. 日経225mini
3. 商品先物取引
4.CFD
5.オプション取引
と利益や損失を相殺させることができます。
先物取引で得た利益は「先物取引に係る雑所得等の金額」として申告分離課税となり、税率は一律20.315%です。((所得税15.315%+地方税5%、 復興特別所得税(0.315%)含む)
先物取引で利益が出た場合は確定申告が必要となります。
ただし、国内FXや先物取引で得た利益は、株式取引、投資信託、海外市場におけるデリバティブ取引の損益とは通算できません。
海外FX業者を利用する人は分離課税ではなく総合課税の雑所得が適応される
もともと、国税庁の見解や金融証券取引法などを総合的に踏まえて、金融庁に未登録の海外業者については、総合課税(他の所得と合算して最大55%の税率=所得税45%+住民税10%)として確定申告するのが望ましいという意向がありました。
そこで、2016年の税制改正において、申告分離課税の対象となる取引について定めた「租税特別措置法第41条の14」には、
金融商品取引法第2条第22項第1号から第4号までに掲げる取引で同項に規定する店頭デリバティブ取引に該当するもの(第三十七条の十二の二第二項第一号に規定する金融商品取引業者又は登録金融機関を相手方として行うものに限る。)をいう。
という文言が加わり、金融庁に未登録の海外FX業者については総合課税となることが明文化されました。
そのため、金融庁に未登録の海外FX業者は申告分離課税の対象となりません。
海外FX業者を利用した場合の利益や損失は、総合課税の雑所得扱いとなり、
1.他の総合課税の所得と合算し、最大55%の税金が適応される。
2.総合課税の所得でも、雑所得以外の所得とは損失を相殺することはできない。
3.国内の証券会社を利用したFXの利益や損失と相殺はできない。
という決まりに留意する必要があります。
日本に住んでいる限りは、納税や確定申告は必ず必要になるため、海外FX口座を利用している際には、特に制度をよく知っておくことが大切です。
決して、「海外だから納税や確定申告をしなくても良い」という誤った考えを持たないようにしてください。
基本的に、お金の動きに関する情報は、銀行など金融機関が持っていています。
もし納税をしないと、その状況は国税庁や税務署が調査することで把握することになります。
FXの取引による利益は、納税をする必要性があることを知らない人がまだ多いのが現状です。
故意に納税をしないでいると、刑罰の対象となったり、税務調査で多額のペナルティの税金(追徴課税)を取られることになります。
海外に在住している場合は、日本で納税をする必要はありません。
ただし、居住している国の制度に従った納税をする必要があります。
海外FX業者の取引で、一番大きな問題は、損失を出した場合に、3年間の繰越控除が適応されず、その期間の利益と損失の相殺ができないことです。
その理由は、海外FX業者の税制は、総合課税と見なされ、1年間で損益決算が完結してしまうからです。
海外FX業者の取引では、今年度に300万円分の損失が出たとするとそれを翌年度に繰り越すことができません。
どれだけ前年度に赤字が出たとしても、翌年度の利益が200万円だとすると、課税対象も+200万円になります。
海外FXを利用するに当たっての税金裏技
事業所得の青色申告であれば3年間の損益通算が可能となります。(損失繰越・繰越控除)
一般に海外FX業者では損益通算が出来ませんが、個人事業主登録をしていて、業務で海外FXを行っている場合は、青色申告の場合は3年間の損益通算が可能となります。
雑所得から事業所得にするには、税務署に開業届けを提出する必要があります。
個人事業主の開業届けは、国税庁のHPからダウンロードできます。
リンク先をクリックしてください。それを郵送することで届けの手続きが可能です。
事業所得になると、確定申告に「損益計算書」と「賃借対照表」の2つを提出する必要があります。
「損益計算書」は売り上げと経費を記入したもので、「賃借対照表」は年度の初めと終わりの資産を記入したものです。
控除など税制上のメリットが受けられますが、青色申告はかなりの手間を要求されます。
国内FXは分離課税に対して海外FXは雑所得 税制が異なるため相殺できない
国内のFX業者と海外のFX業者は、税制が違うので、それぞれの利益と損失を合算したり、相殺することは出来ません。
海外に複数のFX業者の口座を持っている場合は、海外のFX業者同士の損益に関しては、雑所得として合算することができます。
例えば、海外のFX業者αで500万円の利益が出ていても、海外のFX業者βで500万円の損失が出ていれば、利益と損失は相殺できるので合算すると0円の利益となり、確定申告の必要性はありません。
また、
FXの取引による利益が420万円以下 ⇒ 海外FX業者の方が税金が安い
FXの取引による利益が420万円以上 ⇒ 国内FX業者の方が税金が安い
ということも覚えておきましょう。国内が一律の申告分離課税とは言え、専業トレーダーの場合、一定の利益内は海外で取引する方がお得となります。
また、含み益が出ているポジションを利確せずに保有しておけば、それに対する税金はかかりません。
海外FX業者を利用して課税対象としてカウントされるのは決済した利益のみです。
ポジション保有中に発生する含み益は所得とは見なされません。
その代わりに、利確した瞬間に納税義務が必ず発生することと、ポジション保有中に含み益が減る可能性がある、ことは認識しておいてください。
事業所得と海外FX取引(雑所得)も利益と損失を相殺できないので要注意!
また、個人の口座を通じて、海外FX業者で取引をしている人は、国内のネットビジネスや副業などの雑所得に関して、海外FX取引の利益と国内ビジネスの損失を相殺させることができます。
もちろん、両方共利益が出ていれば、利益+利益を合算して、納税しなければなりません。
ただし、気をつけなければならないことがあります。
以下は非常に重要なポイントなのでしっかりと覚えておいてください。
事業所得の利益と海外FXの取引(雑所得)による損失は相殺できません。
この点はしっかりと注意しておいてください。
総合課税の事業所得とはどのような所得を指しているのか?
事業所得とは、事業として営んだ結果、得られた所得を意味します。
一般には、農業や製造業、小売業やサービス業などの事業で発生する所得を指します。
1.継続した期間で安定した収入が得られる。
2.相当な時間を費やしている。
3.職業として認知されている
4.儲かる可能性がある
ことが判断材料となります。
総合課税の雑所得とはどのような所得を指しているのか?
雑所得とは、所得税区分の一つで、給与所得、事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得の9種類にいずれにも当てはまらないものを意味します。
個人事業主の場合は事業所得ですが、副業の場合は雑所得となります。
一般には、事業に満たない副業・副収入が雑所得に分類されます。
具体的には、雑所得は次の通りとなります。
1.文筆業や作家以外の人が、原稿料や印税、公演料や放送謝礼金を受け取った場合。
2.年金や恩給などの公的年金(遺族年金や障害年金は非課税)
3.非営業用貸金の利子
4.アフィリエイト・ネットオークション・フリーマーケットで得た収入。
(生活用動産は非課税)
5税務署からの還付加算金
6.先物取引や外国為替証拠金取引及び店頭デリバティブ取引に関わる利益
7.外貨建預貯金の為替差益
8.生命保険契約の定期年金
9.仮想通貨を売却又は使用することによる利益
事業所得と雑所得の区分は非常に曖昧
実はこの二つの違いは非常に曖昧で、税金上もはっきりとした判断基準がありません。
開業届けはあくまで税務署に開業したことを伝えるだけのものであり、社会通念上、事業として認められるかが判断基準となります。
つまり、常識的に考えて個人事業主が営む事業と言い切れるかどうかにかかっています。
事業所得となる判断基準としては、
1.短期間ではなく、相当期間継続して行っている。
2.日々、継続して時間や労力を費やしている。
3..安定して収入を得ている。
が挙げられます。
雑所得も事業所得も、収入から必要経費を引いて計算できる点では同じです。
事業所得は、給与所得との損益通算が可能ですので、副業で赤字が出た場合は、所得税などの税負担を抑えることが可能となります。
税務署では、副収入が雑所得と事業所得のいずれに該当するか、実情に合わせて判断しています。
FXの取引をした人で、確定申告の義務があるケースとは?
FXの取引をした方で、確定申告が必要なケースについてみていきます。
FXの取引で確定申告が必要な人
給与所得者(会社員)でFXによる利益が20万円を超える場合
会社員でFXによる1年間の利益が20万円を超える場合、確定申告の義務があります。
会社員の場合、給与所得による税金に加えて、FXの利益にかかる税金(申告分離課税20.315%)を申告分離課税として支払います。
国内業者を利用していれば、FXの取引による利益の大小に関係なく、一律の20.315%を納税します。
フリーランス・個人事業主として働いている人の場合
自分で事業を行っている人は、収入の額の大きさに関係なく、確定申告を行う必要があります。
フリーランス・個人事業主を行っている場合、総合課税の事業所得として所得税の金額を計算します。
個人事業主の場合、事業所得による税金に加えて、FXの利益にかかる税金(申告分離課税20.315%)を申告分離課税として納付します。
もちろん、FXの税金の計算方法は、会社員や専業主婦、年金受給者などと同じで一律の20.315%です。
FX専業トレーダーの場合
FX専業トレーダーがFXの取引で38万円を超える所得を得た場合、確定申告の義務があります。
FXの利益だけでなく、その他の不動産所得や雑所得など全ての所得を合わせて38万円を超えた場合も当てはまります。
FXの取引で確定申告が必要ない人
給与所得者(会社員)で給与所得が年間2000万円以下の場合
一つの会社から2000万円以下の給与所得を得ている会社員で、給与所得以外の1年間における所得の合計(FXの取引による利益)が20万円以下の場合、確定申告の義務はありません。
※退職所得も給与所得以外の所得となります。
専業主婦・学生・会社員として働いていない人の場合
専業主婦や学生、会社で働いていない人は、所得税の場合、38万円以上から課税対象となります。
所得の合計(FXの取引による利益)が年間38万円未満であれば、税務署への確定申告の義務ありません。
しかし、住民税については、分けて考えなければいけません。
自治体によって所得の金額が異なりますが、平均33万円以上になると住民税の課税対象となります。
※33万円は住民税の基礎控除額です。
学生や主婦など家族の扶養に入っている人は、1年間の利益が33万円(住民税の基礎控除額)を超えた場合に確定申告をしておいた方が良いです。
所得税は国へ納めるための制度であり、住民税は地方自治体へ納めるための制度です。
そのため、納税に関する仕組みが異なります。
年金を受給して生活している人の場合
年金による収入が年間400万円以下で、所得の合計(FXの取引による利益)が20万円以下であれば確定申告の義務はありません。
FXの取引にかかる税金の手続きは、利益-経費を計算して確定申告をしよう
FXの取引の場合は次のように税金がかかります。
その前に、FX取引でどれだけの経費がかかったかを計算する必要があります。
1.パソコン・スマートフォン・タブレット端末の購入費
2.インターネットのプロバイダー料金などの通信費
3.FXの知識や技術を身に付けるための書籍や新聞、有料メルマガなどの資料費
4.FXセミナー・講演会への参加費とそれに伴う交通費&宿泊費
5.FX会社や銀行からの入出金で必要な各種手数料
6.取引履歴やニュース配信など記録を付けるための筆記用具の購入費
7.FXの取引をする部屋の家賃
8.確定申告にかかる書類などの印刷費
9.書類郵送などにかかる郵便費
10.上記以外で、利益を出すために必要なもの
自分が経費だと考えるものは全て記録しておいてください。
その上で、何が経費として認められるか、そうでないかは税務署の判断次第となります。
FXの利益は、先物取引にかかわる雑所得等と見なされ、税率は株式と同じ20.315%です。
その内訳は、15.315%(所得税)+5%(住民税)=20.315%となっています。
(※所得税の中に復興特別税0.315%を含みます)
以上を踏まえた上で、FXの取引に関する税金は、(売買による利益-必要経費)×20.315%で計算できます。
例えば、FXの取引で120万円の利益を出して、30万円の必要経費を使ったとします。
この場合、税金の計算の仕方は次の通りです。
(120万円-30万円)×20.315%=18万2835円
確定申告の記入手続きは、1年間の収入を合計して、それにかかる税金を計算することで行います。
個人でFXの取引をしている場合は、1月1日~12月31日までに得た収入を出します。
確定申告書は翌年の2月16日から3月15日までに、最寄りの税務署へ提出します。
※3月15日が土日の場合は、翌週の月曜日までが提出期限となります。
ただし、法人を設立している場合は、自由に決めることができます。
事業年度は1年を超えることができないので、設立月の前月に設定するのがお勧めです。
例えば、9月に法人を設立した場合、8月決算に設定するという具合です。
確定した税金は、納付書・口座振替・クレカなどで後日に支払います。
納付し過ぎた税金が還付されて、お金が返ってくる場合もあります。