経済ゼミナール

お金の世界でも歴史は繰り返す~マネー経済から見た通貨価値の行方~

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ロシアからマネー経済の歴史を学ぶ

アジア通貨危機の後、タイや韓国は、IMF(=国際通貨基金)の援助もあって何とかピンチを脱出できたのよ。

タイは「農業政策の成功」と「農作物の輸送技術」の進歩によって、新鮮な野菜や穀物が輸出できるようになったので、タイ経済は再び回復してきたわ。それに、バーツの通貨安もあって、「輸出による利益」が増大したの。

現在もそうだけど、韓国も、サムスン電子、LG電子などの会社が「コンピュータに関する電子部品・機器」に強くなり、IT産業の世界的成長もあって、ものすごい勢いで回復していったわ。韓国も「ウォンの通貨安」が経済の回復に寄与したのね。

元々、発展の余力があった国々は、海外投資マネーの流出が止まると経済成長しやすいのね。

ところが、ロシアの場合はそうはいかなかったの。

ロシアは当時、政府が経済を管理する「計画経済=社会主義の経済体制」から、お金の流れと経済がマーケットの動向を左右する「市場経済=自由資本主義」へと移行して、大動乱の末にようやく落ち着き始めたばっかりだったの。

1992年から1995年にかけて、とんでもない「ハイパーインフレ」で苦しむロシア経済は、IMFの懸命な援助や指導によって、何とか安定を取り戻したのだけど、アジアの新興国と同じで、海外からの投資マネーによって支えられていたのね。

信用度が低いため、20%以上の利息がつく「ロシア国債」をたくさんの外国人に買ってもらうという形で、ロシアに海外からの投資マネーが再びもたらされ、財政と経済は少しずつ持ち直してきたのよ。

でも、アジア通貨危機の影響で、やっぱりロシアに対する不安感が大きくなってきて、リスクの高い「ロシア国債」が買われにくくなってきたの。

もともと危ない国の経済は、やっぱり危ない、という心配が出てきたのね。

物価が4年で1800倍になるという恐怖

ロシアは「計画経済」の時代が長かったせいか、まともに一生懸命働いたり、税金を国に納めたりする習慣が一般市民にすぐには根付かなくて、「市場経済」に移行しても、国全体にお金がきちんと回らなかったのよ。そこで、ロシア政府はきちんと回らない分の紙幣(ルーブル)を大量に刷らざるを得ない状況に追い込まれてしまったの。

ロシア国内でお金が回らないんだから、紙幣をたくさん刷るしか選択肢はなかったのね。

ここで物の値段の目標(=物価上昇率)を決めて、上手に出回るお金の量を調整すれば良かった(=インフレターゲットと呼ぶ)のだけれど、一気にお金の量を増やしすぎちゃって、ルーブルの価値はどんどんと下落していったの。

こんな感じで物価が一年間で26倍にもなってしまった事もあるのよ。

とにかく、1995年までの4年間で1800倍にも物価が上昇してしまったから、以前に1万円だった商品が1800万円にまで上がってしまったのね。

これでは売り方がお金を数えるのも大変だし、買い方もお金がたくさん必要になりすぎて困ってしまう・・・。ここまでくると、紙幣のお金って本当に信用があるかどうかで全然違うことがはっきりと理解できるわ。

そこで、ロシア政府は思い切って「デノミネーション」という政策を取ることにしたのよ。

「デノミネーション」というのは、通貨の単位を切り下げることで、古い紙幣の1000ルーブルを、新しい紙幣の1ルーブルと交換するようにしたの。

つまり、さっきの商品だと旧1800万円が、新1.8万円の値段に変わることを意味するわ。

こうすれば買い物をする時に混乱することがなくなって、ロシア経済が正常に戻ると判断したのね。

お金と国債には安全、安心、信用が大切!

「流通手段、支払い手段」であるお金と、「国の借金証書」である国債には、それらの価値を保全する「信用力」がとても重要よ。

ロシア経済に「信用力」があり、ロシア国債を海外投資家に買ってもらえるうちは良かったのだけど、「アジア通貨危機」によって、新興国は投資したリターンも大きいけれど、リスクも大きいという心理的な不安感が広がってしまったの。

で結局、ロシア国債の売れ行きに陰りが出てきて、ロシア国債の値段が下がり、金利がどんどん高くなっていったのよ。国債も、普通のモノやサービスといった商品と一緒で、売れにくいものは「安くなる」し、何か「付加価値(プレミアム)」が必要となるわね。それがロシア国債の「金利上昇」につながっていったの。

すると、ロシア政府が支払うべき、国債の金利負担が大きくなってきて、ロシア財政は非常に厳しくなっていったの。

※日本の財務省は、当時のロシアのようになることを懸念して、消費税を8%に上げたり、さらに10%に上げようとしている。。。かなり的外れな意向だわ。

「IMF」が韓国経済の破綻(デフォルト、債務不履行)を救ったことで、「アジア通貨危機」による最悪のピンチを乗り切ったのだけど、それがきっかけとなって、ロシア国債が安心して買われ続けるには至らなかったわ。

そこで、ロシア国債をもっと買って欲しいがために、ますます「付加価値(プレミアム)」としての金利が上昇することになってしまったのね。「安全、安心、信用」を感じないものは、それだけ「リスク・プレミアム」が必要なのよ。そしたら、ロシア国債の金利は80%を越えるようになってしまったわ。

ここには、ロシア経済そのものへの「不信感」が色濃く現れているの。

「市場経済」に移行してからも、ロシア経済には、基幹産業といえるものが「石油と天然ガス」くらいしかなかったの。また、ロシアでは税金を国に納める習慣が定着しなかったから、石油と天然ガスを供給する会社くらいしかまともに税金を支払っていなかったのね。

そういった脆弱なロシア経済の状況下で、アジア通貨危機による世界の景気悪化が、「石油価格」に大きな影響を与え始めたわ。「石油価格」がどんどん下落してしまい、ロシアの石油会社の業績が悪化するという悲劇がロシアを襲ったのよ。

2008年に「金融危機」と「石油価格下落」が同時に起きたのと、同一の構図が見て取れるわね。

一般に、世界経済が成長している時は、景気が良いから、エネルギーの需要が増えて、「石油の価格は上昇」する傾向にあるの。

逆に、世界経済が衰退している時は、景気が悪いから、エネルギーの需要が減って、「石油の価格は下落」する傾向にあるの。

石油頼みのロシア経済にとって、世界経済の盛衰はとても大きな影響力を持っているのよ。今でも、石油、天然ガスの資源価格は、ロシア経済の命綱なの。

1998年に、財政難と国債の利払いに苦しむロシアは破綻(=デフォルト、債務不履行)の危機に陥ってしまい、「IMF」に支援を求めたの。

アジア通貨危機が起こった後の韓国経済は、「IMF」からの資金供給で何とか回復できたからね。

でも、「IMF」は完全にロシアを救うことができなかったので、国債の金利は170%にまで跳ね上がったのよ。こうなると、もうロシア国債は紙くずも同然。。。お金(通貨・紙幣)って価値の裏付けがないと本当に意味がなくなってしまうの。

そもそも、「IMF」は一度、ロシアに資金を供給して助けようとしたわ。ところが供給された金額では全然足りなくて、再びロシアは「IMF」に支援を求めたの。

この時、「IMF」の対応の仕方に批判が出てきて、ロシアはお金を借りることができなかったのよ。

「IMF」の資金は、先進国の「国民の税金」で賄われているから、無制限にロシアを救済しようとすると、それに乗じて金儲けを企む「ヘッジファンドの餌食」になってしまうと心配されたの。

「ハイリスク・ハイリターン」であるはずのロシアの「高い利回り国債」が、「ローリスク・ハイリターン」の損をしない「ギャンブルの道具」にされてしまう可能性が出てきたのね。



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