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仮想通貨ATMが始めて設置されたインド仮想通貨市場の最新動向




2018年9月30日、インドのZebpay取引所は、全ての仮想通貨取引を停止しました。銀行との取引停止や法定通貨と仮想通貨の交換不能が、中央銀行(RBI)が発表した7月の「仮想通貨取引禁止令」から3ヵ月後に利いた模様です。

日本とインドは現金主義という共通した慣習があり、キャッシュレス化があまり進んでいません。

また、インドでは、仮想通貨は他の仮想通貨との取引のみの扱いになっています。

仮想通貨ATMがインドで初めて設置される

その一方で、インドの仮想通貨取引所であるウノコイン(Unocoin)は、インドで初めて仮想通貨ATMを設置しました。

インドでは政府が仮想通貨の規制を行っている一方で、仮想通貨そのものはインド国内でも高く評価されており、銀行や一般企業でも流通しています。

インド政府は仮想通貨を完全に規制している訳ではなく、仮想通貨を利用した取引に対して18%もの税金を課す可能性を2018年5月に発表し、コモディティ(代替可能性を持つ経済的価値)として利用を認めることを2018年7月に発表しています。

10年後、20年後には、世界の超大国となるインド

インドの人口は世界第二位で13億1690万人と中国の人口に迫る勢いで増加しており、名目GDPは272兆円(2018年)とイギリスに継ぐ第6位の地位に急上昇しています。

アジアでは、中国・日本に継ぐ3番目に該当します。

また、若年層が多い人口構成比率を踏まえても、10年後、20年後には世界トップレベルの超大国になるのは間違いなく、インドとの良好な関係を築くことは日本にとっても喫緊の課題であるとも言えます。

現時点においても市場規模はとても大きく、インドの仮想通貨に対する動向を調べておくことは、仮想通貨のトレンドを把握することにもつながります。つまり、仮想通貨が衰退したり、発展したりするタイミングを世界という大枠で捉えることが可能になるのです。

仮想通貨に規制をかけるインド政府と中央銀行の本音

2018年7月にインドの中央銀行(RBI)は、最高裁に仮想通貨の規制を申し出でました。

その背景には、仮想通貨が国内及び国外への金融市場に悪影響を及ぼす危険性があり、犯罪や違法な取引を防止するという目的があります。

しかし、仮想通貨を代表するリップル(Ripple)は、こうした規制の思惑に対して、危険性を問題視しているだけで、仮想通貨そのものの技術を決して否定はしていない、と判断しています。

ブロックチェーンの技術を高く評価しているのはインドの国民であり、規制緩和のために積極的な運動が行われています。

政府と銀行の規制があるため、仮想通貨の普及には時間がかかっていますが、資金洗浄などの犯罪を防止することが可能であれば、インド政府や銀行も規制を緩和するという方向転換を行うはずです。

何故なら、インド政府自体もブロックチェーン技術に大きな期待を寄せており、法整備を確実に整えることに成功すれば、仮想通貨に関する規制が緩和され、決済手段として急速に普及していくことが予想されます。

インドの規制当局は、インドの仮想通貨市場の将来について議論するために、デジタル資産交換やコミュニティが活発な海外市場での仮想通貨に関する法制度を研究するために、政府関係者を日本、英国、スイスに送ったことを明らかにしました。これは、仮想通貨に対するポジティブな反応だと言えます。

海外視察の成果が、どのような形で今後の最高裁判所の判断に反映されるのか注目に値します。

もし今後、「仮想通貨取引禁止令」が覆るようなことがあるなら、13億人いるインドマネーが仮想通貨市場に流入してくる可能性があります。

仮想通貨をコモディティとして扱うインド

インド財務省の高官は、仮想通貨の取引を効果的に規制し、「お金がどこから来ているのか」を知ることだと表明しています。

そのためにも「コモディティ」として許可することで、資金洗浄や不正行為を防ぎ、こうした犯罪に関わった投資家やファンドを追跡することに重点を置いています。

つまり、取引される資金が違法なものかどうかを確認し、それを資金源を追跡できるようにする仕組みが機能すれば、規制を緩和していくことを示唆しているのです。

その上で、インド政府やインド中央銀行は、仮想通貨を「コモディティ」として扱い、仮想通貨は法定通貨ではないと明確に提示することになるでしょう。

その理由は、「コモディティ」として見なすのであれば、関連するリスクを考慮した上で投資に関わっていると判断できるからです。

130万人の顧客がいるウノコイン(Unocoin)はATMで現金の入出金ができる

タイムズ・オブ・インディア誌によると、インド南部カルナータカ州都バンガロールの商業施設で1台目の仮想通貨ATMが設置されました。今後はムンバイとデリーにATMを設置する計画です。

ウノコイン(Unocoin)と関連取引所Unodaxの利用者は、1日あたり1000~1万ルピー(約1530〜1万5300円)を現金で預け入れたり、出金することができます。さらに預金残高で仮想通貨を購入することも可能です。

ATMで本人確認をするためには、取引所のユーザーIDとSMS経由で受け取ったワンタイムパスワードを入力する必要があります。

取り扱っている仮想通貨はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など30種類くらいです。

ウノコイン(Unocoin)CEOのSathvik Viswanath氏は、「我々には130万人の顧客基盤があり、仮想通貨禁止令の痛みを和らげられれば良いと思う」と述べています。

また、「財務大臣は仮想通貨は合法通貨ではないと言ったが、違法通貨であるとは言わなかった。これは大きな違いだ。これが意味するのは、自分の投資に責任を負い、業界には規制が存在しないということだけだ。」とも付け加えました。



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