地方のガソリンスタンドの数がめっきり少なくなっています。そのために、貴重な交通手段である車での移動がし辛くなるなど、日々の生活、暮らしに大きな支障をきたしていることでしょう。
ガソリンスタンドの数が最も多かったのは、1994年で、約6万か所ありました。ところが、2016年の時点では31467か所とちょうど半分に減少しています。
面白いことに奇妙な現象が起きています。ガソリンスタンドの数が最も多かった1994年の自家乗用車保有は約4000万台、2016年では6000万台と逆に増えているのです。
この数字から、車を持つ人が多いのに対して、ガソリンスタンドの数が少なくなっている、という逆転現象が起こっていることが分かります。当然、地方では不便に感じていらっしゃる人が多いはずです。
自動車の普及とEV車
自動車の普及率のデータとして、福井県が175.2%、富山県が171.2%、山形県が167.8%、群馬県が165.5%、長野県が158.8%、栃木県が162.8%となっています。その他、北海道や東北、九州の各県も、全て普及率が100%を超えています。
その一方で、都心部では、東京が45.6%、大阪が65.7%、神奈川が73.1%、京都が83.5%と路上電車、地下鉄、バスの交通網が発達しており、自家用車を持っていなくても不便さを感じていない人も多いと言えます。
愛知県が129.5%とやや多めなのは、トヨタのお膝元であること、名古屋は大都市でありながら、愛知県全体の面積が広く、岐阜、長野、静岡といった自然の豊富な地域に隣接していることも影響があるでしょう。
このような状況下において、大都市圏以外の地域では特に、EV車を購入する傾向が高まってきています。ガソリンスタンドに行くのに、片道20~30kmもあるようでは、それだけ時間と労力がかかります。故に、この傾向は必然的なのかもしれません。また、EV車を購入後、10万km以上走行すれば、ガソリン費負担に比べてお得になると認識する人も増えています。
エンジンからモーターへ
今現在という時代は、「馬からガソリン車、ガソリン車からEV車(電気自動車)」という100年に1度の大転換期であり、世界的な変化の潮流の真っただ中にあると言えます。
エンジンで走る車から、モーターで走る車へとシフトしつつあり、自動車が家電化しているとさえも言及されています。
実際に、吸引力の強い掃除機やオシャレな扇風機、空気清浄機で有名なダイソンという会社が、2020年までにEV車の生産に乗り出すことを表明しています。
これまでの主力製品で培った蓄電池やモーターの技術を生かし、独自開発を目指すというのです。
このように、自動車業界は、EVへの新たな異業種参入で、開発や販売における競争は一段と激しくなっています。
その背景として、ヨーロッパを発祥として電気自動車(EV)シフトが加速していることが挙げられます。
ドイツでは昨年の秋に2030年までにガソリン車の販売を禁止する決議が国会で採択され、イギリスとフランスの政府も、今年の夏に2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表しました。
このトレンドは、アジアにも波及しており、インド政府は2030年までに販売する車をすべてEV車にするという目標を掲げました。中国政府も電気自動車(EV)の生産を後押ししており、その割合は、なんと51・6%増の34万8000台と大きく伸びています。その一方で、ハイブリッド車は生産が同4・0%増の7万6000台に過ぎません。この数値から、日本とは違い、中国は「ハイブリッド車よりもEV車を普及させる」ことに重点を置いていることが分かります。
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題や、中国・インドの深刻なPM2.5の公害問題もこうした「脱石油依存」を後押ししているのでしょう。
我が国、日本でも、2030年までに新車販売に占めるEVやプラグインハイブリッドの割合を5~7割にする目標を掲げています。しかし、ヨーロッパやインド、中国ほどドラステックではないのは、日本はエンジン製造型の車を製造する多くの会社が、産業構造の主要な中核を担ってきたことが要因です。部品を提供する関連メーカーが対応できない事態も想定して、いきなり政策変更をするのが難しいという見方もあります。
そのためか、EV車の国内での普及率は、まだ0.1%、ハイブリッド車で9.1%です。
EV車の普及はガソリンの需要を押し下げますが、逆に電力の需要は伸びる、という課題も今後出てきます。
最後に 全てがEV車になった場合
全てがEV車になった場合、消費電力は10%伸びるという試算もあり、石油への依存を減らすためには、再生可能エネルギーによる供給能力を高めていく必要性があります。それが不可能な状態では、原発の再稼働を避けられないことでしょう。
「EV車の普及=再生可能エネルギーの普及とその生産効率の向上」が極めて重要なテーマとなってくるのです。