融資 資金調達

融資・資金調達

金融機関の「貸し出し」判断基準と中小企業が資金調達に当たって考慮して欲しい項目の違い

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現在、金融機関が取り組むべきサービス内容の充実と多様化が課題として指摘されています。

ところが、そのような状況下にあっても、企業が行っている事業活動を評価する際に、必ずしも、規模の小さい企業の要望を満たしている状況ではありません。

中小企業が希望している「借り入れ」「資金調達」の方法の割合

中小企業が希望する資金調達の方法を、東京商工リサーチがアンケート調査によって調べています。

すると一般的には、

公的金融機関からの借入 39.9%
事業性を評価した担保・保証によらない借入 38.1%
信用保証協会の保証付借入 37.4%

を要望する中小企業の比率が高いことが分かってきました。

さらに意外なことに、

代表者などの保証による借入 34.7%
不動産を担保とする借入 31.5%

を希望する中小企業も3割を超えているというデータも浮かび上がっています。

これを見ると、今までのビジネス慣例に従った選択肢を取るのが無難だという経営者の見解が伺えます。

ところがその一方で、

従業員規模が21人以上の企業においては、

事業性を評価した担保・保証によらない借入 40%以上

を希望しています。

現状において中小企業が「借り入れ」「資金調達」を行っている方法の割合

次に、実際に中小企業が資金調達を行う方法を調べてみると、

代表者などの保証による借入 60.1%
信用保証協会の保証付借入 53.6%
不動産を担保とする借入 48.7%
事業性を評価した担保・保証によらない借入 20.3%

という結果になっています。

やはり、不動産担保あるいは保証付きの借入の比率が50%を超えているのが現状です。

「事業性を評価した担保・保証によらない借入」においては、規模の小さい企業ほど借入実績が低くなっています。

つまり、担保や保証がないために、借入がし難いという事実が読み取れます。

現在、金融機関が重点を置いて取り組んでいる「貸し出し」の方法

上記の内容とは裏腹に面白いデータも同時に分かってきています。

金融機関は貸し手としてビジネスを行っていますが、最近になって重点を置いて取り組んでいる方法は次の通りになります。

信用保証協会の保証付貸出 86.1%
事業性を評価した担保・保証によらないプロパー貸出 60.5%

銀行が融資を行う方法は、大きく以下の2つに分けられます。

1.プロパー融資・・・銀行が独自に審査を行う融資のこと。
2.信用保証協会の保証付き融資・・・信用保証協会が保証を行う融資のこと。

1.のプロパー融資は、銀行が直接融資を行う仕組みを指します。

proper(プロパー)には英語で「本来の、固有の」という意味があります。

そこで、銀行が本来行うべき金融サービスを指して「プロパー融資」と呼ばれています。

プロパー融資は銀行の審査が厳しく、長ければ3週間~1ヶ月という時間が掛かります。

そのため、融資をしてもらうための対策を事前に十分に練る必要があります。

ただし、一度審査に通りさえすれば、その後のメリットが大きく、融資の上限額が基本的にありません。

プロパー審査では、

1.税引き後当期利益が最初にチェックされ、その利益が多いほど審査に通りやすくなります。

2.自己資本(貸借対照表における純資産の部の金額)についても厳しくチェックされます。

※自己資本とは、企業が自社内部で調達した資本のことを意味し、他人資本と対をなします。

自己資本=出資者から調達した資本金(株主の出資金)+内部留保 (剰余金)

という形で構成されています。

自己資本は、借入金や社債などの外部資本と違い,返済の義務はありません。

最近では、内部留保 (剰余金) のみを自己資本とする考え方もあります。

これら以外で大切なのは、お金という数字ではなく、経営者の善意や人柄が重視されることも多いです。

もちろん、決算書の分析が優先されますが、最終判断には経営者の人柄が影響を及ぼす場合が多いです。

この点に関しては、下町ロケットのTVドラマが参考になれば幸いです。

2.の信用保証協会は、中小企業を支援することを目的に保証を行っている協会です。

信用保証協会が保証人としての役割を果たすため、一般的な融資に比べて銀行は融資をしやすくなります。

信用保証協会保証付き融資は、借り手が一定の保証料を負担する必要がありますが、「銀行側に貸し倒れのリスクが無い」といった理由で審査が通りやすい制度となっています。

そもそも、信用保証協会は公益法人であり、中小企業が市中金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証することで、中小企業の資金繰りの円滑化を図ることを目的としています。


今後、金融機関が重点を置いて取り組みたい「貸し出し」の方法

金融機関が、今後重点を置いて取り組みたい貸出の方法は、次の通りとなります。

これまでの不動産担保主義から脱却し、企業の成長性を評価しようという前向きな姿勢が感じられます。

事業性を評価した担保・保証によらないプロパー貸出 61.4%
売掛債権の流動化による貸出 49.6%
動産担保による貸出 49.2%
知的財産担保による貸出 41.4%

事業性を評価した担保・保証によらないプロパー貸出が最も多いのは、従来通りの厳格な審査によって、企業と真摯に向き合おうという真っ当な方法が支持されているためだと思われます。

動産担保による貸出

不動産ではなく動産を担保にする貸出を検討しているケースが49.2%もあるのは驚きです。

動産とは、現金・商品・家財などのように形を変えずに移転できる財産のことで、衣料品,食料品、電気製品,家具,自動車,書物、医薬品、農業用機械などが含まれます。

土地神話時代とは違い、明らかにトレンドの変化の流れを感じさせます。

知的財産担保による貸出

また、知的財産担保による貸出が多くなっているのは、IT企業など知的アイディアを創造し具現化する企業が増加していることも大いに関係があります。

知的財産の特徴の一つとして、「もの」とは異なり「財産的価値を有する情報」であることが挙げられます。

情報は容易に模倣されるという欠点があり、しかも、物品の消費と違って「利用すればなくなるという性質がない」ため、不特定多数の人々が同時並行して利用することが可能です。

そこで、幅広い知的創造活動の成果について、その創作者に一定期間の権利保護を与えるようにしたのが知的財産権という制度です。

1.知的財産とは、発明、解明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるものを言います。

2.知的財産権とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権など法律で保護される利益に関する権利を言います。

知的財産は、創作者の権利を保護し、本来自由に利用できる情報を、社会が必要とする限度に制約するため、様々な法律で保護されています。

近年、政府では「知的財産立国」の実現を目指しており、知的財産を取り巻く環境は大きく変化しています。

知的財産権の活用は、日本経済の活性化にとって重要!

今後、知的財産権の制度活用は、日本経済の活性化だけではなく、企業や大学・研究機関においても重要な位置を占めていくでしょう。

金融庁の「平成29事務年度金融行政方針」では、「事業性評価に基づく融資や本業支援の促進」と明記されているように、数年前から、「事業性評価」の重要性が指摘されています。

知財ビジネスを評価することで、特許などの知的財産がどのようにビジネスに貢献し、企業利益につながっているか、といった事業の全体像や強みをより客観的に把握することが可能となります。

現在、全国各地で評価書を作成する調査会社と金融機関が業務提携を行っています。

そして、金融機関の融資制度に知財ビジネス評価書を組み込むことで、独自の融資制度を提供するといった動きが広がりを見せています。

中小企業の知的財産や技術力に関する評価書の作成支援を実施し、成長性や経営力を総合的に評価することは、新たな企業価値の発見と円滑な資金調達を支援し、融資を促すことにつながります。

このように、技術、製品、サービスだけでなく、将来性や経営力を含む企業の総合的な評価を実施しているケースは実際に増えてきており、中小企業と金融機関が相互理解を深めることを促進しています。

少子高齢化が進む日本において、この取り組みは最優先に行うべきテーマです。

知的財産立国を目指す日本

日本は、「知的財産立国」を目指しています。

それは国家戦略であり、

1.「ものづくり」における発明や創作工夫を尊重する

2.技術・デザイン・ブランドや音楽・映画の価値ある「情報コンテンツ」を産業の基盤に据える

3.特許、商標、ノウハウなどの無形資産を創造することで、実体経済と社会の再活性化を図る

というヴィジョンに裏打ちされています。

このヴィジョンの実現のために金融機関に課せられた役割は非常に大きいです

不動産や高貴な動産を担保にするという発想から、根本的にアイディアや創造性が付加価値を持つという評価基準を作成していかなければなりません。

中小企業の成長性に密接に関わる知的財産を評価することは、金融機関が企業の事業性や中長期的な成長性を見極めるために有益だと言えます。

※無形資産とは、物理的形状を持たない資産であり、権利などの形で売買したり、合併などの企業結合により移転できる資産を意味します。

無形資産の種類としては、

・特許や商標、著作権といった知的資産

・熟練工の持つ技能や知識といった人的資産

・企業文化や生産、経営管理プロセスといった企業の基盤的資産

があります。

知的財産に関する経営の悩み相談

知的財産に関する経営の悩みや課題を相談したい際には、以下の連絡先に問い合わせてみてください。

無料&秘密厳守で聞くことができます。

知財総合支援窓口
0570-082100

売掛債権の流動化による貸出

金融機関の事業性を評価した担保・保証によらない貸出は、現時点では20.3%に過ぎません。

しかし、金融機関が今後重点を置いて取り組みたい貸出の方法として、

知的財産担保による貸出が41.4%   売掛債権の流動化による貸出が49.6%

と非常に高い割合に上っています。

ということは、今後、知的財産担保と同じく、売掛債権の流動化による貸出についても、金融機関の取り組みが進められる可能性が高いと予想されます。

日本にファクタリングが浸透し始めたのは、「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」が2005年に制定されてからです。

この制定によって、債権譲渡における法律上の弱点が克服され、これまで複雑だった手続きが簡略化することとなりました。

登記制度の確立によって、それまでトラブルの原因となっていた二重譲渡を防止できるようになり、債権譲渡をしやすくなったのです。

アメリカやヨーロッパに比べて、日本のファクタリングの歴史はとても浅いです。

ところが、最近になって需要の増加もあり、ファクタリングを取り扱う会社が急速に増えてきました。

サービスも多様化、充実化しており、資金繰りに悩んでいる中小企業の頼れる味方となっています。

上手にファクタリングを活用することで、企業の事業活動を安定的に行うことが出来ます。

1.日本の経済において重要な役割を担っているのは中小企業です。

2.日本の中小企業の数は、全企業の内の99.7%を占めています。

しかし、中小企業にとって資金調達や資金繰りは常に頭を悩ませる問題となっています。

中小企業は短期的な資金不足に困ることが多いですのが、金融機関から融資を受ける場合、どうしても審査に時間がかかるという難点が生じてきます。

とはいえ、企業の財務状況によっては、急な資金調達を必要とする場合も多いのです。

そうした危機的な状況においては、早急に資金を調達しなければ、中小企業にとっては倒産してしまうリスクが発生するのです。

売り掛け先から代金の支払いがなければ、黒字経営であっても、そのリスクは付きまといます。

様々な資金調達手段がある中で、中小企業の資金繰りが難しい時に最も有効な手段がファクタリングなのです。

今後も、ファクタリング市場が拡大を続けていくのは経済活動の自然な流れだと考えられます。

金融機関から中小企業が借り入れるに当たって考慮して欲しい判断項目

規模が大きい企業にとっては、金融機関に資金調達を行う場合に考慮して欲しい項目として、

「財務内容」「事業の安定性・成長性」「返済実績・取引振り」

を挙げる比率が高くなっています。

その一方で、規模が大きい企業にとっては、

「技術力・開発力」「営業力・既存顧客との関係」

といった項目を考慮して欲しいという比率は低くなっています。

ところが、金融機関に資金調達を行う場合に企業規模が小さい(=従業員が少ない)中小企業ほど、

考慮して欲しい項目が「あまり考慮されていない」「全く考慮されていない」

と回答する比率が顕著に高くなっています。

規模の大きい企業と同じく、従業員数5人以下の中小企業も、「財務内容」「事業の安定性、成長性」「返済実績・取引振り」については、「十分考慮されている」「不十分ではあるが考慮されている」と回答している比率が77.0%と高いです。

しかし、中小企業が本音の部分で考慮して欲しい「技術力、開発力」「営業力、既存顧客との関係」については、金融機関の考慮が低い比率に留まっています。

金融機関における担保・保証以外の与信の判断項目

金融機関における担保・保証以外の与信の判断項目としては、

財務内容  99.0%
事業の安定性・成長性 94.1%
代表者の経営能力や人間性 76.9%
会社や経営者の資産余力 63.8%
返済実績・取引振り 59.4%
技術力、開発力 48.5%
営業力、既存顧客との関係 21.6%

という比率になっています。

このグラフを見れば、如何に中小企業のニーズとかけ離れているかが一目瞭然です。何としても、中小企業が資金を借りやすくする方法を見出していく必要があります。

※与信とは、取引相手に「信用を供与すること」を意味し、返済能力や返済原資、返済資質、返済担保などがチェックされます。

※こうした情報を基に、金融機関や消費者金融会社の融資枠、支払承諾の供与や、クレジットカード会社の利用可能枠が決まります。

金融機関の中小企業に対する返済条件の見直しとその影響について

金融機関から資金調達を行っている中小企業のうち、約20~30%の企業が返済条件の見直しを受けた経験があります。

そのうち、約10%が現在進行形で返済条件の見直しを受けています。

極論を言えば、貸し渋りや貸し剥がしの可能性もあります。

返済条件の見直しは、従業員規模が小さいほど高くなるというデータが出ています。

従業員数5人以下の企業では、金融機関に返済条件の見直しを柔軟に対応してもらえず、

「必要なタイミングで借入できなくなった」「必要な額を借入できなくなった」

という中小企業の比率が、それぞれ20.1%、28.0%と高くなっています。

中小企業から見た資金調達における金融機関に対しての評価

過去5年前と比較した場合、金融機関の中小企業に対する資金調達の対応は、「必要な額の借入」「必要なタイミングでの借入」において、約50%の企業が「向上している」「やや向上している」と評価しています。

その一方で、「評価して欲しい項目を考慮した貸出」「返済条件の柔軟な見直し」については、約40%の満足度に留まっています。

さらん、従業員数5人以下の中法企業に関しては、どの項目も「向上している」「やや向上している」と評価する声が少なく、逆に「低下している」「やや低下している」と厳しい評価になっています。

なお、

1.業界動向に関する情報収集・分析を行う部署の設置

2.技術動向に関する情報収集・分析を行う部署の設置

については、規模の小さい金融機関ほど取り組みを行う比率が低くなっています。

しかし、中小企業の成長のために資金提供に対する判断力向上を目指した取り組みを行った場合、

既往取引先の貸出案件拡大につながった 70.5%
新規取引先の獲得につながった 59.9%
既往取引シェア拡大につながった 50.6%
効果はほとんど感じられない 4.3%

となっており、金融機関にとって好ましい成果が出ていることが分かります。

このように、「中小企業の成長を促す」という観点から、資金提供に関して判断力を向上させる取り組みは、金融機関にとっても「収益の拡大に貢献する」という具体的な効果がもたらされるのです。



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