2022年2月から、コロナ禍に伴うサプライチェーンの寸断とロシア・ウクライナの紛争問題により、原材料費及び原油価格の高騰が続いています。
このトレンドは2021年後半から表面化していましたが、占星術の観点で見ると木星と海王星の惑星の配置と関係が深いです。
目次
コロナ禍の供給網寸断とロシアのウクライナ侵攻で原材料・原油が高騰
3月8日、原油価格は1バレル=123.70ドルと約13年7カ月ぶりの高値を付けました。ロシアは自国産原油を欧米が禁輸すれば「300ドルを超える」と脅しています。
国内のレギュラーガソリン価格は1リットル=172円台で過去最高を更新しました。
(原油価格チャート:2022年に入り急速に上昇)
その他、貴金属、木材、小麦などの価格もロシアのウクライナ侵攻後、急騰しています。
(金価格チャート:2022年に入り急速に上昇)
(銀価格チャート:2022年に入り急速に上昇)
(ニッケル価格チャート:2022年に入り急速に上昇)
(材木価格チャート:2021年後半から急速に上昇)
(小麦価格チャート:2022年に入り急速に上昇)
端的に言うと、インフレーション(インフレ=物価上昇が起こっている)のです。
急激なインフレへの対応に欧米の中央銀行は利上げと金融引き締めで対応
アメリカの中央銀行であるFRBは3月以降の利上げや金融引き締めなどの手段を通じて、このインフレを退治しようと試みています。
【2022年6月27日追記】1月~2月の株式相場の下落を見て、FRB総裁のパウエル議長はインフレ退治のペースを落とすことも検討しましたが、4月に入り、2022年末まで利上げと金融引き締めを優先することを決定しました。その結果、6月には0.75%の利上げを行い、7月以降も高い水準での利上げを予定しています。するとドル高を招き、円が売られ、世界的な株安を5月以降に再び引き起こしました。
パウエル議長、「明確で納得できる」インフレ後退まで利上げ継続
このインフレはコロナ禍によるサプライチェーン(供給網の寸断)だけでなく、資源大国であるロシアがウクライナへ軍事侵攻したことに起因するものです。
ロシアは天然ガスに関して埋蔵量が世界第一位を誇っています。また、その生産量は石油・ガスともに世界 トップクラスで、エネルギー資源国として際立った存在なのです。
そのため、中央銀行の金融政策だけではインフレを退治することは非常に難しいと言えます。
ロシアのウクライナ軍事侵攻に反対しているEU加盟国の多くは天然ガスをロシアに依存しています。
特にEU主要国であるドイツは原油の34%、石炭輸入量の45%、天然ガスの55%をロシアから輸入しており、エネルギー供給におけるロシアへの依存度が非常に高いのです。
となると、ロシアに厳しい経済制裁を課したり、軍事侵攻を大々的に反対することは、EU諸国にとって自国の経済を犠牲にすることと同義であり、エネルギー不足とインフレを招くことは避けられません。
実際に、ロシアはドイツがウクライナ侵攻に対する経済制裁を続けるならば、ノルドストリーム1の天然ガス供給を停止するという脅しも行っています。
【2022年6月27日追記】ノルドストリーム1停止も、機器修理の問題で─ロシア高官=通信社
そうなった場合、ヨーロッパ諸国の多くは極端な電力不足に陥り、天然ガス・石油の価格はさらに高騰するでしょう。
ドイツを筆頭に、ウクライナ侵攻を行うロシアを非難したいEU諸国は多いですが、エネルギー供給という人質ならぬモノ質を取られているのが現状です。
そのため、ウクライナに限らず、EU諸国の経済状況は、コスト上昇分を製品やサービスに価格転嫁できず、この先長期間に渡ってはかなり難しい状況が想定されます。
【2022年6月27日追記】
占星術では2022年の木星0度海王星がインフレを促進している
占星術の観点では、2022年3月~4月にかけて、木星と海王星が一緒に並ぶコンジャンクション(接合・0度)の惑星の配置がタイトに形成されます。
また春分の日の惑星の配置はその一年に多大な影響を及ぼすことになります。
(2022年3月春分図)
基本的に個人の占いレベルでこの木星と海王星の接合が見られると、無意識からのインスピレーションが高まって社会的な流行に敏感となり、直感やひらめきを通じて幸運を掴むことが多くなります。
夢やヴィジョンを追い求め、博愛的、理想主義的な発想を志すことが、人生を発展に導きます。ユートピア的な社会、組織、対人関係の在り方を模索することで成功を手に入れる配置です。
また、人の善意や明るい未来を信じ、それを具現化する能力が高まるとされています
ただし悪く出ると、自分の考え方や意見に一貫性や計画性がなく、実務能力や現実問題に対する取り組みで欠陥が出やすくなります。
※この問題は、西洋諸国がロシアに対する経済制裁で足並みが揃わないという形で惑星の影響が出ています。
それぞれの長所を真に活かすためには、注意深く、慎重で地に足のついた現実的な視点で行動できるかが鍵を握っています。
まさに今、ドイツで起こっていることです。
ドイツのショルツ首相は7日、ロシアからのエネルギー輸入が当面必要だとする声明を公表した。声明では「欧州が意識的にロシアからのエネルギー調達を制裁の例外にした」と指摘。欧州のエネルギー供給について「現時点ではほかの方法で確保することができない」とした。禁輸を求める内外の議論をけん制した形だ。
ショルツ氏はドイツ政府が欧州連合(EU)のパートナーとともに、ロシアからのエネルギーの代わりを確保するために全力で取り組んでいると述べた。ただ、これは「今日明日でできることではない」とも強調した。
地に足の着いた現実的な決断と実行力は、人生に限らず国家レベルでも目指すべき目標を達成するための重要な要素となります。
木星0度海王星のアスペクトは、自然を愛することで運気が上昇し、ボランティア・NPO・医療、社会福祉の分野では、同情心や利他的な精神が高まって追い風が吹きやすくなります。
※現に、ウクライナへは義勇兵が続々と集まり、国境なき医師団が活躍し、世界各国から多額の寄付金が送り届けられています。
このアスペクトを形成する時期、他人との共感や理解を深めたり、宗教や芸術、スピリチュアルな分野に対する関心が強くなる傾向にあります。
木星と海王星の接合が形成された時の社会的なトレンドとしては、消費意欲が旺盛になったり、贅沢さや物質的なゆとりを求めるなど、インフレを引き起こす要因が生まれると言われています。
木星には「拡大・発展・膨張」、海王星には「曖昧・混沌・無境界」などの意味があり、尚且つ、木星には「お金の価値・資本・金融資産」そして海王星には「現実離れ・地に足がつかない・膨張・バブル」という象意もあるため、過去においても大きな社会的変化の節目となってきました。
木星と海王星の接合(0度)は約12~13年周期で生じます。
このアスペクト(惑星同士の配置)が形成されると、
①通貨の膨脹と暴落によるインフレーションが発生(現在の金融市場の動向)
②通貨不安が起こる
③通貨体制の変動も起こる場合もある
が起こると言われています。
まさに今、起こっている変化だと言えるのではないでしょうか?
①は現在の金融市場:特に原油や天然ガスの動き
②はロシア通貨であるルーブル危機・ロシア国債デフォルト危機
③は国際決済手段の大きな変化の兆し(SWIFT以外の外貨輸送手段・中国のCPIS・仮想通貨による国外送金)
などが挙げられます。
木星0度海王星は変動為替相場制や80年代後半のバブル膨張を生み出してきた
木星0度海王星の影響によるこの50年間くらいで最も印象的な事象としては、
1971年8月15日にアメリカ・ニクソン大統領がドル防衛政策のため、1米ドル紙幣と金との兌換停止を宣言し、変動為替相場制が始まったことがあります。
この1971年8月15日の占星術チャートでは、はっきりと木星と海王星の接合(0度)が確認できます。これにより、1944年7月に始まったブレトン・ウッズ体制【金(きん)1オンス=35ドルと決められた金本位制=為替固定相場制】が終わりを告げました。
(1971年8月15日占星術チャート)
補足的に付け加えますと、1989年に木星と海王星が衝(180度)のアスペクトを形成した時は、10月の東西ドイツ統一に先立って、ドイツ通貨であるマルクが統合されただけでなく、日本は熱狂に浮かれ、財テクブームが盛んな株式市場のバブルの最盛期でした。
ところが、翌年1990年1月からは日本経済のバブル崩壊が始まり、株価・不動産共に大きく暴落しました。この時の痛手の体験が、その後の不良債権処理や長引くデフレ不況など日本経済低迷の原因となっています。
1989年末までは日本経済のバブル絶頂は続きましたが、しかし年後半の10月から12月で海王星は土星と接合(+木星と海王星の衝)していたので、株価膨張にブレーキがかかる前兆がはっきりと現れていました。
2008年7月に原油価格が1バレル=145ドルを突破した2か月後の9月、アメリカを震源地としたリーマンショックによる全世界株価暴落が起こり、日経平均株価もその引力に引きずられる形で2009年3月まで下落し続けました。
木星0度海王星はリーマンショック後のアメリカ株高をもたらしてきた
しかし、木星0度海王星が形成される2009年4月~5月にかけて急激に持ち直しの動きがみられました。
(2009年5月占星術チャート)
ニューヨークダウ平均株価も2009年春頃から上昇に転じた長期足のチャートで、2021年まで史上最強レベルの上昇トレンドが継続しました。
(1998年~2021年年ニューヨークダウ株価チャート)
(2022年3月ニューヨークダウ株価チャート)
【2022年6月27日追記】
※リーマンショック後の木星0度海王星以後、ずっと右肩上がりで上昇してきたが、ここにきてピークアウトしている。
2022年前半に入り、日米欧の株価は既に下落トレンドへと転換している傾向があります。
ロシアのウクライナ侵攻は双方がすっきりとした形で終わりそうな気配が全くありません。
ロシアはナチスヒトラーを彷彿とさせるような残虐かつ高圧的な態度をとっており、ウクライナは自国の主権を守るために必死で戦っています。
もし、アメリカあるいはNATOがロシアと軍事衝突することになれば、それは第三次世界大戦の始まりを意味します。
そのため、アメリカやNATOはウクライナの問題に直接的に関与しようとせず、自国になるべく被害が及ばない範囲を考慮したロシアへの経済制裁だけを行っています。
核兵器の使用をちらつかせるロシアのプーチン政権が倒れない限り、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫は世界経済の減速要因であり続けるでしょう。
2022年6月、ロシアの外貨建て国債のデフォルトがついに始まった!
ロシアが外貨建て国債のデフォルト(債務不履行)状態に陥りました。
1918年、旧ソ連の初代指導者レーニンが帝政ロシア時代の債務の履行を拒否した時以来で約100年ぶりの出来事です。
欧米がロシアに科した金融制裁が効果をもたらしたもので、2件のユーロ債の利払いが履行できなくなっています。
債権者が5月27日の期日に受け取るはずだった約1億ドル(約135億円)の利払い猶予期間が終了し、デフォルトが決定的となりました。
ロシアは現在、
1.中央銀行の外貨準備が凍結され、上位金融機関も国際金融システムから締め出されている。
2.今回のデフォルトは、ロシアの経済、金融、政治的孤立が急速に進むことを意味している。
という厳しい現実に直面しています。
2022年の木星と海王星の接合は、かつてない規模で原材料価格と資源価格の高騰をもたらしました。それは、5月には物価上昇率が17%となったロシア国民にとってもダメージであり、数年ぶりの大きな景気後退をもたらしています。
2022年は世界経済全体にとって、コストプッシュインフレ(原材料高の上昇)のダメージがモノやサービスの価格上昇圧力となり、企業収益の圧迫要因となるため、非常に厳しい年となりそうです。
一日でも早くロシアとウクライナの紛争が解決し、平和な日々が戻ってくることを切望しています。