2020年8月末の火星は、牡羊座の20.3度付近にあり9月からの火星逆行に備えるがごとく、進行速度がゆっくりし始めました。
7年8ヶ月に渡って激務をこなした安倍晋三総理大臣は、日本の歴代総理として在任期間最長記録を更新(2959日・第二位は桂太郎氏の2886日・第三位は佐藤栄作氏の2800日)した直後、体調不良を理由に総理大臣としての立場を辞任しました。
火星には本来、行動力、積極性、トラブルなどの意味があります。上手く活用できれば、「安倍一強の長期政権」とまで言われてきたように、その行動力と積極性が持ち味がスムーズに発揮されます。
しかし、病気を理由に辞任した安倍総理には、もはやその面影はありませんでした。
現在の彼のホロスコープチャート(出世図)は、国家を守る役割(蟹座)としての先駆者を象意する木星・天王星のコンジャンクション(接合)に、山羊座のトランジット土星が180度の凶角を形成し、尚且つ、自らの身体的、心理的痛みを表すキロンにトランジット冥王星が逆行しながら接合という形で直撃しています。
※2020年8月28日の安倍首相のチャートとトランジットの関係
ここでは、人生の運命的な痛みと向き合う事態をどうしても避けられず、社会的立場よりも、私的な健康回復を優先するという選択を余儀なくされています。
コロナ禍や経済不況、医療体制の不備などに対する自らの政策が空回りし、その上に元法相の買収スキャンダル、不必要なマスクの配布、その領収書の疑惑、Go To キャンペーンの不成功など、昨年まで困難とされていた憲法改正や北方領土返還、拉致問題解決に前向きに向かう姿勢は今や垣間見えず、下向き、内向きのマインドになっていることが辞任発表の記者会見ではっきりと読み取ることが出来ました。
そもそも、火星逆行の入り口と出口は、国家間あるいは国内の対立や国内の紛争、停滞、遅延などが起こりやすい傾向があります。2016年のブレグジット(イギリスのEU離脱がまさにその典型例でした)
さらに、2020年8月末~9月に渡る牡羊座の火星と山羊座の土星は、強い緊張のアスペクト(90度)によって特徴付けられています。
こうした火星と土星の配置は、問題を解決しようとする粘り強い闘争心に対して、アクセルとブレーキのような葛藤が生じ、前に進むことを阻もうとする影響力がもたらされます。
これに加えて、9月10日から火星は逆行を開始しました。
これまで通り、木星と土星はコンジャンクションを形成し続け、月の状態も不安定なため、普段は陽気な人でも、気分が著しく変化しやすくなります。
安倍総理大臣が8月末に行なったように、あなたにとっても、2020年9月はいくつかの大事なことを「整理する良い機会」です。
9月2日の魚座満月と同時に、土星は金星とオポジション(衝・180度)という反対のエネルギーを受け、水星からは吉角のトライン(120度)を形成します。
太陽も天王星とのトライン(120度)を形成し、月は海王星と幅の広いコンジャンクション・接合を形成します。
この間、感情は強くなり、個人的なニーズは大きくなるでしょう。
しかし、感情に振り回されたり、囚われる代わりに、「整理する良い機会」を利用して本当に必要なものを再定義できます。
補償行為(代償行為)や偏った傾向を意識的に控え、より内側の調和を見つける方法を見つけましょう。
金星は、9月4日に火星とスクエア(90度)の凶角を形成し、9月6日に獅子座に入ります。内面の美しい輝きは、周囲の世界で予期しない共鳴や意味のある偶然の一致、出会いを見つけるのに役立ちます。
8月末に安倍首相辞任劇が起こった時、火星は1度単位でしか順行しておらず、ほとんど静止していました。静止している度合いだけ、そのパワーは強まります。豊富なバイタリティによって前進しようとするのを阻止する火星の大きな力が安倍首相に影響を与えました。
こうした出来事は、天空上で動いている惑星の配置なので、他人事ではなく誰にでも起こり得ることです。
火星の牡羊座は、9月10日から11月14日まで逆行を続けます。
火星逆行の期間は、木星、土星、冥王星とスクエア(90度)を形成し続けます。(火星と木星、土星、冥王星のスクエア(90度)は2021年1月まで)
3月から始まった木星、土星、冥王星の接合(コンジャンクション)は、新型コロナの感染拡大に大きな影響を与えています。
特に、土星と冥王星の接合(コンジャンクション)が新型コロナの感染拡大と密接な関係があります。
このアスペクトは2月に一回完全な接合となり、10月~11月にかけて再びタイトに接合しています。
そのため、欧米で新型コロナウイルス、すなわちCovid-19に関する出来事の影響に対処する必要が生じているのです。
しかし、こうした出来事の背後には、人類の無意識の中でより深い対立があり、それを自覚して癒していく態度が求められています。
最も中核的な課題は、アメリカの大統領選挙に象徴されるように、「分断と対立」という集合的なマインドをどうやって癒していくかです。
国家も組織も会社も個人も、自己中心主義、自己優先主義という理念によって正常性を失っている場合が多く見受けられます。
しかし、共感と利他愛と奉仕活動、慈善行為は、必ず報われます。
次のビジネスの主流は、SDGsと呼ばれる「持続可能でより良い世界を目指すこと」です。
この流れは毎年行なわれるスイスのダボス会議などでも確定しています。
つまり、エゴ中心の経済活動から、エヴァ(利他愛)中心の経済活動にシフトしていくことが国連サミットで採択され、その具体的な取り組みが行なわれつつある段階に来ているのです。
特に気候変動などは緊急性を要するテーマと言えるでしょう。
今後、私達、人間が正常で健全に戻るかどうかが問われており、近代以降~2019年まで正常で健全と考えられてきたことが、本当は「問題そのもの」であったかという新たな価値観が台頭しつつあります。
2020年9月13日に木星は逆行を終了しますが、木星は「さらに大きく、もっと拡大して」という形で問題解決案が提供されます。
大きくて高価なアイデアが提示され、部分的に実用化されるでしょう。とは言え、そのような方法にはかなり慎重な姿勢が求められます。
2020年9月29日に土星も逆行を終了します。同時に、火星と接合しているリリスが土星とスクエア(90度)になります。
9月22日以降、天秤座にいる太陽は、牡羊座のキロンと真逆の相対する位置に在住しています。
そのため、「もっと多くの、さらに大きな」といった木星が提示する解決策は、持続可能性がほとんど認められないでしょう。
それは構造的な弱点を再び明らかにするだけでなく、雰囲気がますます緊張し、火に油を注ぐような燃料が供給されることになります。
それによって、いくつかの損失や被害が生じるリスクがあるでしょう。とは言え、火星逆行期の影響で、本来は禁止されるべきはずのもので、間違った方向に進んでいく争いが起こる可能性が高まります。
それは11月3日の後、アメリカ大統領選挙結果に対して「法廷闘争も辞さない」トランプ氏の態度によく表れています。
もちろん、私達は皆、パンデミックとそれに関連する大混乱によって引き起こされる問題に何らかの形で影響を受けています。それでも、集中し続けるのに役立つのは個人が掲げるヴィジョンと理想の追求です。ヴィジョンは特に壮大である必要はありません。特に、それはあなたの人生と直接的に関係があるべきです。達成可能な目標を設定し、自分を他の人と比較しないように注意しましょう。例えば、専門能力を磨く、よりリラックスした関係を築く、創造的または精神的な発達を志す、日常生活への対処などに焦点を当てることが大切です。
あなたの心理的幸福度は、インパクトのある社会的現実よりも、個人的な考え方、解釈の仕方、物事の見方によって決定されることを覚えておいてください。
【2022年7月10日更新】
安倍晋三元首相は、7月8日に元統一教会信者である母親の過度な献金によって、人生を破壊されたという男性が自作した銃で致命傷を負い、失血死による死亡が確認されました。
とても痛ましい事件ですが、警備体制の不備に対する故意の可能性を含めた様々な憶測が飛び交っています。その後すぐに起こった台湾情勢の緊張などを踏まえると、平和を望んでいない勢力が安倍元首相の外交手腕を恐れていたのかもしれません。いずれにせよ、安倍元首相は「自由・民主主義・法の支配」によって世界の秩序を守ろうとし、実際にその手法は機能していました。ロシアや中国は「力による現状変更」を行うことを厭わないですが、それでも安倍元首相に対しては敬意を表していました。
そうした安倍元首相の能力を苦々しく思っていた連中がいたとしても不思議ではありません。
その証に世界の秩序はますます不安定化し、ますます混沌と化し、ますます紛争や暴力が起こりやすい状況になりつつあります。
世界の主要なリーダー達が安倍元首相を悼むのは当然のことであり、それだけの成果を上げてきたという事実があります。
今後、ロシアとウクライナ情勢の悪化や台湾有事を防ぐためには、平和外交を得意とするカリスマ的存在が必要です。しかし、それは計り知れない程に難しいことを改めて知ることになるでしょう。
それだけ、安倍元首相の功績は大きかったと言えます。
2022年7月8日の安倍元首相 突然の暗殺を占星術で読み解く
最後に2022年7月8日時点での安倍氏のホロスコープチャートを確認しておきます。
暗殺で真っ先に目につくのは、トランジット土星が進行図の火星とコンジャクト(接合)していること、これは事故や事件などのトラブルを暗示します。さらにその対向には冥王星があり、「自分軸の冥王星」と「他者軸の火星0度土星」が180度の衝の関係によって極めて破壊的で暴力的なアスペクトとなっていることです。
さらに体調悪化と関係していた2020年8月時点での木星0度天王星に対して、再びトランジット冥王星が180度の凶角を形成しています。また、至近距離を示す3ハウスの進行図の海王星と、突然の死を表す12ハウス天王星が90度のスクエアとなっています。こうした複合的な凶角のアスペクトが「暗殺という悲劇の死」を遂げたことと関連しています。